29話 【side】愚者は生き地獄派の道を進む。
引き続き三章いくぞっ!!
ふぁい!
♢
暴力や恐喝、仲間の監禁未遂など。
サンタナは、さまざまなことで罪に問われた。
が、そのどれもがどちらかといえば、軽いものだった。
彼の小さな器では、罪さえも大きなことは犯せなかったのである。
身柄を拘束される期間自体は短かった。
拘留の刑が終わり、サンタナは外へ出られることとなった。
しかし彼を待ち受けていたのは、まさに生き地獄であった。
元どおり、違う女でもひっかけてパーティーを組めばいい。そんなふうに楽観視していたが、そそがれるのは白い目ばかり。
ギルドでは啓蒙のため、罪を犯した場合は名前や内容などを掲示されることがある。
サンタナの名前もそのリストに載っていたらしい。
「おい聞いたか? あいつ、犯罪者らしいぞ。仲間を手籠にしようとしたとか」
「なにそれ、怖い……。ってか、ありえないよねぇ。視界に入らないでほしいかも」
これまでに経験がないことの連続であった。
貴族家出身であるため、向かうところ向かうところ、チヤホヤと扱われてきたサンタナには、到底耐えられるものではなかった。
甘んじて自分の罪を悔いればいいものを、それを大きすぎるプライドが邪魔をする。
「…………くそ、ヨシュアの奴め」
サンタナは、舌打ちだけを残して、ギルドを後にせざるを得なかった。
それはつまり、この街での冒険者としての生活を捨てたに等しかった。
「まさか僕がドブさらいなんてあり得ないしな。ははは……」
いまさら他の職につくような柔軟な考えも、器用さも、彼には持ち合わせがない。
結果、半ば追い出されるような形で、サンタナはライトタウンを後にした。
幸い、少し離れの地まで行けば、まだ汚名は届いていなかった。
山の麓にある、名も知らぬ町へ辿り着く。
代わりにサンタナの勇猛たる噂を知っている者もいて、彼は気をよくした。
「どうして、あなたのような方がこのような小さな町に?」
「…………あぁ、ちょっと」
考えていなかった質問だった。
少し答えに詰まったのち、浮かんだ答えに、頬が引きつる。
「最近、レンタル冒険者っていうのを始めたんです」
ヨシュアがミリリという少女と始めたサービスだというのは、耳にしていた。
それをそっくりそのまま利用させてもらうこととしたわけだ。
……僕はやはり天才だ。
サンタナは、そう一人、ほくそ笑むのだった。
自分の判断の誤りに気づくこともなく。
自ら選んだ生き地獄で、愚者は喘ぎ苦しむ。
そうそううまくはいきません。
二章完結! 評価などでお祝いしてくれたら、嬉しいです。どーか、お願いします!
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4/19〜4/20にかけて、連投し、二章終わりまで話を進めます(19日は4話、20日は5話以上投稿の予定です)。
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