22話 レンタル冒険者、推理力まで一流だとベタ褒めされる。
引き続きよろしくお願いします。
パン屋から出てきてすぐの、ミリリを呼び止める。
にまにまと、チーズフォッカチャを立ち食いしていた彼女だったが、俺が現状を整理すると、
「…………えぇ、えぇ!? でも、クエストは明日だって聞いてたよ!?」
それを落としてしまった。
よっぽどショックが大きかったらしい。
いつもなら、「チーズちゃん! 食べてあげられなくて、ごめんよぉ〜」なんて泣いていそうな場面だが、見向きもしなかった。
「どうするのっ。ソフィアちゃん、もう遠くにいるんだよね?」
「あぁ、そうらしい。探知魔法が届かない範囲だから、少なくともこの街の外だ」
「よーし、じゃあ外へゴーするしかないねっ」
いやいや、それはアバウトすぎる。
俺は既に前のめりになっていたミリリの襟を、くいっと引っ張った。
「外ってどこだよ、範囲が広すぎるって。せめて方角くらい定めないと無駄足になるだろー」
「そっか、それもそうだね……。じゃあ、えっと、聞き込みとか?」
「いいな、それ。早速やろうか」
すぐに街ゆく人を捕まえては、目撃情報を得んとする。
最近は、レンタル冒険者としての名も知れてきているらしい。
たくさんの人が、こころよく協力してくれた。
そうして掴んだサンタナの足取りは、こうだ。
魔法具屋で、防寒アイテムを買ったのち、携帯型の食料を購入。
正確には、乾パンの類のみを購入していったらしい。
「ふむふむ、ミリリ探偵にはさっぱりだよ。ヨシュアは?」
「分かったかもしれない」
「えっ、すごっ。本当に探偵さんだっ!?」
あくまで推理であるが、サンタナをよく知っていることもある。
ある程度、自信もあった。
「北の方角にあるダンジョン、ノースリバーサイドじゃないかな」
「防寒具買ってたから、寒いところだろうってこと?」
「それだけじゃない。乾パンをわざわざ買うということは、途中に町を通らないルートだろうなと思ってさ。
それから、もう一つ」
「そ、それは一体!?」
ミリリが唾を飲む音が聞こえる。
「乾パンしか買わなかったってことは、水は買ってない。つまり、豊富に手に入る場所だってことだよ。
あいつらに、水魔法を使える奴はいないしな」
普通、魔法属性は一人に一つだ。
サンタナは火、ソフィアは風、ルリは光である。俺が、水属性を担っていた。
「……鳥肌たったかも、私。しかも、アイシングドラゴンがいそうな場所でもあるし!
すごい、見事だよっ! 芸術だよ! レンタル探偵事務所気付けるレベルのそれだよっ」
「あんまり褒めると調子乗るぞー?」
「少しは乗っちゃいなって。ヨシュアは控えめすぎなんだよ」
そんなわけで、向かう方角が確定する。
前回たるサーニャの時の反省を生かして、今回はちゃんと承諾を得た上で、お姫様抱っこ。
「め、めっちゃ目立たない!? これ!? 嬉しいような恥ずかしいような、やっぱり嬉しいような、そんな感じなんだけど!!」
「大丈夫だっての」
どうせ、屋根の上をトップスピードで駆ければ、視認されることもあるまい。
風魔法に加え特殊スキル『俊敏(高)』を駆使して俺は、怒涛の追い上げを開始した。
「……ノースリバーサイドって、普通、馬でも半日かかる距離だよね?」
「あー、そうなんだ?」
「そうなのったらそうなの! この調子じゃ、一時間も掛からないんじゃない!?」
緊急事態である。
首につけていた魔力抑制ネックレスは外していた。
『平均』でいるためのリミッターを完全に解除してあった。
サンタナの悪行をいましめるため。そしてなにより、ソフィア、ルリを救うためだ。
手抜きなど出来てしまえば、それは嘘というものだろう。
【恐れ入りますが、下記をよろしくお願いします。】
4/19〜4/20にかけて、連投し、二章終わりまで話を進めます(19日は4話、20日は4話以上投稿の予定です)。
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