2話 実は俺のレベル35じゃないんです。桁が違うんです。強すぎる……。
引き続きよろしくお願いします。
本日まだ投稿いたします。
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実際、すぐに魔物は襲いかかってきた。
やってきたのは、ポイズンシャーク黄。
その牙は痺れる毒でコーティングされていて、生身を噛まれれば、ひとたまりもないとされる凶悪モンスターだ。
それを相手取る俺の武器はといえば、片手短剣に盾。
ソードに、弓に、召喚士。
パーティーメンバーのバランスを見て、手にしていた武器だった。
防御にも攻撃にも、それなりの力を発揮する、バランス型である。
「……久しぶりに、直接相手にするなぁ」
普段の俺は、前線で戦わないようにしていた。後衛部隊を守護するためというのもあるが、なにより。
ーーーー『平均』でいるためだった。
俺は『平均』的になろうと常に努力をしてきた。
それは俺の信念とさえ化していた。
集団行動をする以上、突出して変わっていると、内輪からの反感を買うことはたやすく想像がつく。
才能があろうがなかろうが、人の集団というのは異端分子を嫌うのだ。
それはもう幼い頃から痛いほど分からされていた。
ならば、と俺は周りの面子に合わせて技量を調節することにした。
空気や状況を冷静に読んで、その時々のポジションに収まってきたのだ。
そうして、ここまで生きてきてかつ、冒険者をやってきたわけだが。
パーティーを失い、一人残された今。俺に『平均』という制限は消えていた。
魔力を抑える効果のあるネックレスを外し、短剣の柄を握る。
鞘を滑らせると同時に、ポイズンシャークが身体を鞭にして襲いかかってきた。
そのまるまる肥えた胴体は人と変わらぬほど太く、全長に至っては人間の数倍ある。
よだれが滴るのは、くすんだ黄色の牙からだ。
俊敏かつ、毒麻痺による異常状態を引き起こす魔物。
たしかに危険極まりない。
だが、『平均』を意識しない俺には、
「剣よ空気を震わせろ、短剣・幻刀突き!」
ポイズンシャーク程度、敵ではなかった。
魔法詠唱に合わせ、乱れる標的の首元を狙い澄まして、突く。
風の魔力を伝えた刃は、その刀身の倍近く先にいる魔物の首元を正確に貫いていた。
ポイズンシャークの身体がまたたくまに薄れて消え、ドロップアイテムたる『大蛇の毒牙』が地面へと落ちる。
次に襲いかかってきたモンスター・ブラックラットの群れは、盾で勢いをいなしつつ、
「……風よ、舞え。回転剣舞!」
一網打尽にしてやった。
俺は自分のステータスバーを確認する。
さっきサンタナは、俺のレベルを35だと言っていたっけ。
けれど、それは違う。
俺は平均的にいるために、1の位を特殊魔法で隠すようにしていたのだ。
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冒険者 ヨシュア・エンリケ
レベル 350
使用可能魔法属性
火、水、風、土、雷、光
特殊スキル
俊敏(高)、持久(高)、打撃(高)、魔力保有(大)、広範探知(高)、目利き(高)
ギフト
【無限変化】
あらゆる武器や魔法への適性を有する。
一定以上の条件が揃うと、スキルを習得可能。
武器別習熟度
短剣 SS
長剣 B
大剣 B
弓 B
ランス C
魔法杖 B
……etc
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これが平均値……。なんて、そんなわけがなかった。
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