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12話 依頼人ちゃんの本当の目的を叶えるため、数百万人に一人、幻のスキル魔法発動します!




引き続きよろしくお願いします!

みなさまの応援、はげみになっています。



サーニャには、すぐに追いついた。


剣を鍛えるには、まず足腰からと言う。

走り込み等の鍛錬を積んできたため、俺はスピードに自信があった。


加えて風魔法や、特殊スキルの『俊敏(高)』を発動すれば、初級冒険者に劣るはずもない。


俺は、その華奢な腕を捕まえる。


「ヨシュアさん……! なんで…………」


サーニャは観念したようで、振り返ってから足を緩めた。

息がすっかり切れている。


「当たり前だろ、あんな形で逃げたら誰でも追うよ」

「それは、その、人混みが苦手だから怖くなっただけで……」

「そうじゃないだろ、分かってるよ、もう」


俺の言葉に、サーニャは目を見はる。


俺は考えを整理したうえで、たどり着いた答えを話しだした。


「この二日間、人に注目されてばっかりだったろ? それも、狙ってやってたんじゃないの」

「…………えっ。どうして、それ」

「不自然だったからだよ。

 昨日、変な連中に襲われたところまでは、別にそこまで違和感は覚えなかった。

でも、池に盾を落とすなんてそうないだろ? もしかしたら、わざと目立ちたくてやったんじゃないかって思ったんだ」


そして人だかりができるたび、サーニャはしきりに首を振って、周りを見ていた。

あれは怯えて挙動不審になっていたのではない。


「誰か人探しをしていた、とか。違うか?」

「…………なんでもお見通しなんだね? 強いし、速いし、頭もいいんだ……。すごいなぁ」

「あくまで推測だよ。外れてても笑うなよ」

「笑わない。だって、大当たりだから。………………騙すようなことして、ごめんなさい」


サーニャは深々頭を下げたが、俺はゆるゆる首を横へ振る。


いうほど迷惑は被っていないし、特に不信感もなかった。


前パーティーリーダー・サンタナの身勝手な行動を想起する。

あれのサポートに比べれば、なんてことはない。


「……本当はあたし、エルフを、探していたんです。自分と同じエルフ。生まれてから家族以外のエルフに会ったことがなくて。

 遠いところにある実家を出てからはもう、一人にも会ってません」


サーニャは時折声を詰まらせながら、理由について語りだす。


エルフの数は、いまや激減している。日に三人に会えたら神にも会える、なんて妙な都市伝説が生まれるくらいだ。


そのせい、サーニャは常に「珍しいもの」という好奇の目なか晒されてきたらしい。


耳を隠すのは、少しでもそれを減らすためだそう。


「……同じエルフに会えたら、そんなこともなくなるかもって思ったんです。あわよくば一緒に旅とか……、はい」


そもそも冒険者になると決めた理由も、色々な場所に行ける分、エルフ族に会える確率が上がるから、だそう。


けれど、パーティーメンバーを見つける段階で、すでに色物扱いを受けてしまった。

そもそも戦闘が得意でないこともあって、仲間を作れずにいたそう。


「そんなときです。ミリリさんがレンタル冒険者を触れ回ってるのをみたんです。それで、これだ! と思って……」

「ランクの高い冒険者と、人の多い初級ダンジョンに行けば、勝手に注目が集まる。

 そうしたら、エルフ族も近寄ってきてくれるかもしれない……ってことか」

「はい。でも、一人も見つからないまま、また勧誘ばっかりあって……。

 あんな形で抜け出してきちゃいました」


ちなみに、ゴロツキ連中に襲われることは、彼女も流石に想定していなかったらしい。


寿命が長いかわりに、極端に数の少ない種族エルフ。

その血を引くがゆえの、少女らしい悩みであり、勇気を持った行動だったのだろう。


さてと。

俺は、今に泣き出しそうなサーニャの頭にポンと手を乗せる。


「はじめから言ってくれれば良かったのに」

「無理難題だー、って断られたらと思うと怖かったから……」

「まぁいいよ。そういうことなら、うん。手貸してやるよ」

「えっ?」


サーニャの顎が、つと上向いた。


「あたし、ヨシュアさんを騙してたんだよ?」

「事情があるならしょーがないだろ」


うん。それを言い出したら、俺が『平均』でいようとするのも、ある意味ではホラだ。


というか、ぶっちゃけその辺はどうでもいい。

痛いほど、彼女の抱える悲痛さはすでに伝わってきていた。


ならば好んで力を貸そう。

なぜなら俺は、暫定でこそあれ、レンタル冒険者。そしてなにより、


「同じパーティーのメンバーだしな。期間限定だけど」


俺はにっと笑いかけてから、息を整えていく。

魔力は、身体、心、呼吸、どれが欠けても質が落ちるのだ。


一本の縦軸を作り出すイメージ、俺は極限まで無駄を取り除いていく。

全ての要素が満ちたとき、刮目。


「見えざるものをこの目に。『広範探知(高)』!」


特殊スキルを発動した。


「えっ、そのスキル。数百万人に一人も習得できない幻のスキルって話じゃーー」


あぁ、そういえばそうだっけ?




お読みいただき、ありがとうございます。

夜二話分更新いたします。


【恐れ入りますが、下記をお願いします】


・面白かった、楽しかった

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ブックマークも歓迎です!(╹◡╹)



よろしくお願いします!

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