街を正常化させる手っ取り早い方法
「第一候補は暗殺なんですけどね。毒殺なんか簡単で理想的です」
この娘の親の顔が見てみたい。
グレイズさんに視線を向けると肩をすくめて苦笑いをしていた。
インテグラが部屋に自分の荷物を置きながら話す。以前の部屋はもう引き払った。多分、ろくなことにならないだろうという用心だ。チンピラAくんはおそらく警察署の方々が拘束しておいてくれるだろう。
「だけど私は殺しはやらないことにしているので却下です。あとそれやっても同じような問題が起こるのも考えられますしね。多分、直接対決になるでしょうね」
直接対決か~。私には関係ないかな~。
「そういやあんたってさ。なんで1対1じゃないときだと敬語になるの?」
ふと思ったことを口に出してみると目をパチクリさせて私のことを見つめてきた。
「私も気付かなかったな。というか他と喋っているインテグラをあまりみたことないな」
「そ、それはですね」
こころなしかインテグラの声色が上ずっている。
「地元に私に色々と、それは色々と教えてくださった方がいたのですが…外にいるときに多数で話すときはお行儀よくしなさいと…」
お行儀良くあった場面があっただろうか?
「うっ…」
それを聞いてグレイズさんも頭を押さえる。
「あ、あの方のことか…」
どうやら双方とも思い当たる節があるらしい。トラウマになっているじゃないの。
「それに作戦会議中は敬語のほうが身が引き締まるってのもあります」
「ああ、そういうこと」
スイッチのオンオフの問題か。
「で、直接対決って言うけどどうすんのよ」
「公式戦になるでしょうね。そのほうが内外に力の差ってやつを見せつけられます」
「よそ者の私達がやったら台無しじゃない?」
「どうにか1対1じゃなくてタッグ戦みたいにすればいいんですよ。私と警察署の誰かで」
「ふ~ん、あんたそんなに強いの」
「いいえ。まともにぶつかれば7割強の確率で負けますね」
おいおい。
「ボウルのファクターは球体状のエネルギーを射出する『スローイング』。単順な分、強力です」
「どこで調べたのよそれ」
「公式戦の記録をあさりました。こういうマフィアは自己顕示するのが仕事ですから簡単に見つかります」
「7割強で負けるってどういう根拠よ」
「身体ステータスにおいて全て私が劣っています。しかも私のファクターは敵対している場合、それなりの時間触れないと意味がない。なので不意打ちで武器使ってまぁなんとかって感じだから勝算は3割ないかな、と」
「随分と分の悪い掛けだこと」
「いいえ。ヒャクパー勝ちますよ」
「どうやって?」
「そりゃあ、さんざん嫌がらせして相手の戦力を削ぎ落としまくってから宣戦布告するに決まっているじゃないですか」
しれっとインテグラはこういった。
「なんで小汚いマフィア相手に小綺麗に戦わなきゃいけないんですか。ボロッカスに痛めつけてから大恥かかせてやりますよ」
ニッコリと彼女は笑い、私もたしかにそうだなと笑い返した。
「裏方なら協力はさせてもらうわ。妹絡みで人任せってのも悪いしね」
「あなたならそう言ってくれると思いましたよ」
二人で陰気に笑い合う。
あんな事を平気でやっている連中にふさわしい目にあってもらうという気持ちもあった。
後ろでグレイズさんがため息をしていたが聞かなかったことにした。