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シューティング・スター  作者: 白石来
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ー7ー 【異世界~カカ砂漠】

 「ポエルトまで行くなら、絶対ドラゴン!限定色のホワイトが週末価格で半額だよ!旦那、ツイてるね」

 「駄目駄目駄目。お兄さん、そいつの言うことなんざ、てんで嘘っぱちだ。ホワイト・ドラゴンなんて、途中のカカ砂漠でくたばっちまうぜ。それに引き換え、うちのエリマキラクダのエリちゃん。飲まず食わずでも一週間は文句のひとつも言いませんぜ」

 「ちょいとお若いの。エリマキラクダが絶滅危惧種で売買禁止になったの知らないわけ?悪いこと言わないからさ、アルマジロホースにしときなって。安くしとくよ」

 南側の商人街に『乗り物』を買いに来た悟とセトは、ヤナギ婆さんの首飾りを見せたとたん、商人達に囲まれてしまったのだ。

 「皆さんもポエルトを往き来してるんですよね?何に乗っていらっしゃるんですか?」

 セトが尋ねると、商人達は急に大人しくなった。

 「・・いや、それはあの、みんなキウイバードだよ。我々庶民の足って言ったら、これしかないから」

 「じゃあ、キウイバードを二羽。それと、この首飾りに金の精霊が宿ってることくらい、私にもわかってますから。ちゃんとした取引してくださいね」

 セトのお陰で、無事に乗り物を調達できたが、悟はセトの意外な一面を見た気がした。


 「ヤナギ婆さん、本当にありがとう。トキをよろしくお願いします」

 「礼には及ばねえさ。家族が助け合うのは当たり前だべ」

 ヤナギ婆さんはいつもの調子で笑った。

 「トキ、ヤナギ婆さんの言うこと良く聞くんだよ」

 「お姉ちゃん、サトル兄ちゃん、行っちゃだめ!」

 トキは涙をぽろぽろこぼして訴えた。

 「だめなの!」

 「お姉ちゃんとサトル兄ちゃんは、ちょっとおつかいに行くだけだから」

 「お父は?お母は?」

 「お婆と一緒に牧場に帰るべ?お父もお母もお家に帰ってるかもしんねえべ」

 ヤナギ婆さんが代わりに答えると、トキはようやく納得し、頷いた。

 「サトル!トキ!ガルーダの神は、決してお前達を見捨てたりしない。諦めねば、必ず道は拓かれる!」

 ヤナギ婆さんの言葉を心に刻み、悟とセトはポエルトへと急いだ。


 キルトからポエルトへは、カカ砂漠を抜けるのが最短コースだ。悟とセトは、砂嵐で前が見えない中、方位磁石を頼りに南へ進んでいた。

 今日のうちにカカ砂漠を抜けたかったが、キウイバード達の体力も考え、見つけた小さな洞穴で一晩野宿することにする。

 キウイバードは、体長1.5m、身体は名前通りキウイの様な楕円形をしていて、ダチョウの様な脚を持っている、飛べない鳥だ。一人用の乗り物として重宝されており、性格も人懐っこい。羽の色が、悟のが緑色グリーン、セトのが黄金色ゴールドだったので、それぞれ「グリ」と「ゴル」と名づけた。

 気がつけば、一昨夜から丸二日近く寝ていない。焚き火に当たって暖まった2人を、すぐに睡魔が襲ってきた。重い目蓋を開ける余力もなく、そのまま2人は深い眠りに落ちた。


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