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シューティング・スター  作者: 白石来
17/41

ー17ー 【異世界~天空の城】

 王の住まいである城までは、ラムダが案内してくれることになった。

 天上世界は、雲を加工して煉瓦のように固めた、ウォルクという素材で建築されており、白で統一された街並みが美しい。城は街全体が見渡せる高台にそびえており、悟達は風景に圧倒されながら、緩やかな螺旋状に組まれたウォルクの階段を昇っていく。

 城の正門まで辿り着くと、ラムダが門兵に話を通してくれた。

 「私が案内できるのはここまでだ。君達が呪いを封じてくれたら、一生の自慢になる。おじさんが消毒スプレーをかけたんだよ、ってね」

 悟達とラムダは笑顔で別れた。


 巨大な正門をくぐると、城まで100m程続くアプローチがあり、辺りには、広大な庭が広がっている。

 花の香りが漂い、蝶や小鳥が飛び交う、まさに楽園のような庭を、一体の巨大なロボットが、花の世話をしながら歩き回っていた。全体は土色をしており、眼はひとつ、腕が地面に着きそうなほどに長い。肩に小鳥が停まるロボットの姿は、妙に風景に馴染んでいた。


 ようやく城の入口に辿り着いた。ここにも門兵がいて、扉を開けてくれる。

 城の中はロビーになっていて、天井まで吹き抜けになっている。巨大なシャンデリアや、キングサイズのベッドより大きなソファなど、豪華な調度品に度肝を抜かれる。

 ロビーの大階段の手前に、燕尾服を着た、白髪の老人が立っている。悟達を見つけると、音もなく近づいてきて、正確に45度の会釈をした。

 「わたくし、オメガ王の元で第7執事を務めております、タウ、と申します」

 再び45度の会釈。

 「聞けば、天上世界に住む、そちらのミコ様、マコ様の2人を助けて下さり、送り届けてくれたとか。さらには、アリマ様は賢者様でおいでで、グルファの呪いを封じていただけるおつもりと。通常は皇族の来賓の方などに、わたくしども執事が付かせていただき、身の回りのお世話から、各種手続、テニスのお相手に至るまで、あらゆるお困りごとをサポートさせていただいているのですが、今回は誠に歓迎すべき御一行とあり、わたくしめが担当させていただく運びとなったわけです」

 三度45度。

 「まずはオメガ王にご挨拶いただき、その後の段取りについては、別室にてご案内させていただければ、と考えております」

 おそらく有能な執事なのだろうが、とにかく押しが強く、仕切りたがりのようだ。しばらくは様子をみるしかないだろう、と悟は思った。


 王の間の扉が開く。玉座にオメガ王が、隣にミュー王妃が鎮座している。

 「我が世界の民を救ってくれたこと、大いに感謝する」

 オメガ王は、悟達を見ておらず、虚空を見つめている様子だった。

 「さらには、グルファの呪いを封じるために、力を貸してくれるとのこと。我からも正式に依頼申し上げる」

 隣のミュー王妃は悟達を見、笑みを浮かべてはいるが、何か困ったような目をしていた。

 2人とも、心此処に在らずで、役割をこなしているような印象を、悟は受けた。


 王の間を後にし、タウ先導で別室へと移動した。

 「まずはお疲れ様でございました。さて、王からお話のあった、呪い封じの正式な依頼書をお渡しいたします」

 王の捺印が印刷された依頼書をちらりと見せ、タウはそれを手早く丸め、筒にしまった。代表で悟が受けとる。

 「次に、通常ですと滞在期間に合わせた申請が必要となりますが、呪い封じにかかる期間が分からないため、申請は免除させていただきます」

 これは良いニュースだった。

 「続いて、星降山への入山許可。こちらは一週間ほど、どうしてもお待ちいただく必要がございます。また、あらかじめ申し上げておきますが、星降山への外来種の持ち込み、星降山に生息する動植物の持ち帰りは厳禁ですので、あしからず」

 ようやくタウの事務連絡が完了した。

 「一週間待機、ってことですよね。その間に情報収集したいんですが、図書館ってありますか?あと、天上世界にも、大賢者様はいます?」

 悟が尋ねる。

 「王立図書館がございますよ。城から下っていただくと、ラグーンという城下町の役所に併設されてございます。また、この世界にも、大賢者様はいらっしゃいますよ。ただ、匿名で活動しており、たいそう気難しいお方と聞いておりますので、果たしてお会いになるかどうか・・・」

 無駄足になっても良いなら、と言って、タウは大賢者の住まいを教えてくれた。


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