File87 惑星ソアクルへの貨物輸送② どんなところにも馬鹿はいるらしい
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フレイムホイール号のSOSに遭遇してから2日後の朝。
無事何事もなく、惑星ソアクルに到着した。
ここにくるのも久しぶりだ。
しかしここには懸念材料がある。
それは、この惑星ソアクルの管制塔に勤務している管制官のテバル・ウィグルスだ。
あいつは、理由はわからないが、なにかと俺につっかかり、喧嘩を売ってくる。
最近まで、俺がシュメール人だとは知らなかったらしいが、女の時には気持ち悪いナンパをしてきた。
あの野郎の相手をするとなると少々気が滅入る。
が、きちんと許可をもらわないと、船を泊めれないので、テバル・ウィグルスが出ませんようにと祈りながら、通信機のスイッチをいれ、
「管制塔。こちら登録ナンバーSEC201103。貨客船『ホワイトカーゴⅡ』。入港許可を求む」
ソアクルの管制塔に通信を入れた。
『こちら、惑星ソアクル宇宙港管制塔。『ホワイトカーゴⅡ』の入港を許可する。No.353の停泊地に向かってくれ。久しぶりだなショウン。入院してたらしいが、もう大丈夫なのか?』
すると、対応をしてくれたのは、真面目で有名?な、フッティ・オルグド・ポールダルだった。
「あんたか。ああ、退院したのはかなり前だからもう大丈夫だ。それよりテバル・ウィグルスはどうしたんだ?ついにクビになったか?」
その嬉しさに、思わず楽しげにそう言ってしまった。
『いや。今日は休みなだけだ。とにかくNo.353の停泊地に向かってくれ』
「ああ。了解した」
テバル・ウィグルスの性格や行動は、同僚のポールダルの方がよく知っているだろう。
俺にとっては嫌な奴だが、彼にとっては同僚だ。
俺の言葉に、彼はなんとも微妙な笑顔を浮かべていた。
次回からは控えるようにしよう…。
No.353の停泊地に船を泊め、貨物の積み降ろし・引き渡しを終了し、受け取り証明をもらい、受付にやってきた。
「依頼の修了証明だ。手続きよろしく」
「了解しました。そうそう、イベントの時はありがとうございました!ついては…」
「言っとくが、二度と行かないからな!」
「えー?」
「えー?じゃねえ!とにかく手続きをしてくれ」
体調不良の時にひどい目にあわせてくれたロナ・フラングのところに。
趣味ではひどい目にあわされたが、仕事の面では信頼がおけるので、まあ、ビジネスライクな付き合いは続けていこうと思う。
「はぁーい…。じゃあ腕輪型端末を検査機にお願いしまーす」
ロナは残念そうにしながらも、きちんと仕事を始めた。
腕輪型端末を検査機にかざすと、ピピッという確認用の電子音が鳴る。
「本人と確認。報酬は現金と情報での半々でいいんだよね?」
「ああ、そうしてくれ」
「では、報酬の合計が68万クレジット。半分は情報で半分は現金でのお支払です。ご確認下さい」
ロナから34万クレジットの情報と、34万クレジットの現金を受け取れば依頼は終了だ。
「そうだ。オルランゲア行きの依頼はあるか?」
体調不良以降、いやその前からだが、トラブルばかり続くので、しばらく正しい休暇を2~3日取ろうと思う。
そのためには、まずは本拠地に戻ることだ。
「ちょっとまってね。えーと…『雑貨』が200tってのがあるけど」
「配達期限とかは大丈夫か?」
「明後日までだから問題ないですねー。到着が明日の夕方を予定すると、出発が18時くらいですよね?搬入は16時開始くらいでOK?」
「ああ。買い出しして、飯を食って、野暮用を済ませておくよ」
ロナは、こっちの予定や行動を、ある程度先読みしてくれるあたり、優秀なのは間違いないだろう。
新しい仕事の受付を終わらせると、まずは買い出しだ。
そのための生鮮食品売場に向かっている途中に、ふとドロイドの店が気になった。
ここには、様々なロボットやアンドロイドが販売されている。
その中でも、人形は、明らかなロボット感が出ているのはともかく、外見をリアルに人間に近づけている奴やバイオロイドなんかは、人身売買をしているような気分になる。
ま、金に余裕がないから買うつもりはないが。
買い出しが終わったら、一旦それを船に置いてから、フードコートにあるサンライトイエローリップルに、ミックスグリルプレートを食べに行く。
元々は亡くなった爺ちゃんの験担ぎだが、いまだに続けているのは、この店の味を気に入ってるからだろう。
その最中、備え付けのテレビのニュースで、スターフライト社からライフライン請け負いを引き継いだフォトンクラウド社の滑りだしは順調と報道されていた。
これで本当に、緊急タダ働きが減ってくれるだろう。
減ってくれないと本気で困る。
昼食も終わり、あとは搬入開始時間までは暇になる。
俺は、この時間を利用して、生まれて初めて抗議の通信をかけることにした。
相手は銀河ミルトシュランテ編集部だ。
そう、あのアラデラ・ウェンズ女史が書いた『取材記者のコラム』第3258回の記事を、ホームページから削除してもらうためだ。
出て直ぐに取り消せば良かったのだろうが、その時は思い付かなかった。
番号をチェックし、通信を接続する。
「もしもし。そちらは銀河ミルトシュランテ編集部で間違いないでしょうか?」
『はい。こちらは銀河ミルトシュランテ編集部ですが、どのような御用件でしょうか?』
画面にでたのは中年の男性で、ラフな格好で無精髭を生やしていた。
やっぱり編集作業とかしていたんだろうか?
それよりもこっちの要件だ。
「実はそちらのホームページの、第3258回の『取材記者のコラム』のことなんですが…」
俺がそう切り出した瞬間、男性は盛大にため息をつき、こちらを睨み付け、
『はあ…!またですか…。いい?うちは飲食店を紹介するガイドブックを製作しているの。だから、たとえ船の中にあったとしても、ちゃんとした飲食店なら取材はするんです。でもね、飲食店でもない船で出された食事は、どれだけ旨そうでも取材はしないの!言っとくけど、おたく以外にも何十件も「俺の船を特集でとりあげろ!」「あれは私の船よ!取材に来て!」っていうような通信が来てるんだよ!あ、知らないみたいだから教えてやるけど、記事はもう削除してあるから!もう無駄だから!残念だったな!』
そして一息でまくし立て、ブチンと通信を切った。
どうやらあの写真を利用してやろうと思った輩が、取材交渉をしてきていたらしい。
あの男性記者は、その対応にうんざりしてたんだろうな…。
ホームページを見てみると、たしかに『取材記者のコラム』の第3258回が削除されていた。
しかし、もしそれで取材をするにしても、アラデラ・ウェンズ女史に確認されたら一発でバレるだろうし、『料理の顔』がわかるドラコニアル人には通用しないと思うんだが…。
まあ…記事は消してくれたらしいから、いいか。
しかし、何十件そういうことを考える奴がいるっていうのはどうなんだ?
馬鹿にもほどがあるだろう…。
久しぶりの登場…できない人もいました
放置しておいた事案に、今になって対処しようとしたら、既に対処が出来ていた事実
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