File09 惑星オルランゲアへの貨物輸送② 航海練習艦侵入
内容が浮かばない上に、文章がまとまらないため遅くなりました
ガキ共は、何が面白いのか、ブリッジにいる全員で馬鹿笑いをしつつ、会話をしていた。
内容は、今まで撃ち落としてきた相手とのやり取りを馬鹿にした話だったり、相手の命請いに応じて、相手が安堵したところに主砲をうちこんだ話だったり、乗組員に女性が居たときには、助けてやる代わりに犯らせろと脅迫し、楽しんだ後にやっぱり助けない。などと、海賊顔負けの極悪非道っぷりな内容だった。
それをわざわざ聞かせているのは、脅しのつもりなのだろう。
そのあいだに、GCPOへのSOS信号には、目の前の航海練習艦の船体登録証明と登録ナンバーの情報と、何が起こったかを詳細に書き込み、超空間からの脱出の為の準備も整った。
ので、今のうちこっそりと、超空間から脱出してやった。
もちろん、すぐさまにSOS信号を発信し、エンジン全開で距離を稼ぎ始める。
するとすぐにGCPOから通信がきた。
『こちらはGCPOオルランゲア支部だ。軍の練習艦が海賊をしているとはどういう事だ?!』
職員は、困惑しながらもこちらの現状を尋ねてくる。
「もしかすると、練習艦が乗っ取られたのかも知れない。乗っていたのは確かに学生の年齢層だったが、未成年の海賊がいない訳じゃない」
そう説明はしたが、あいつらは間違いなく養成学校の学生だろう。
「とにかく早いとこ来てくれないと宇宙の藻屑にされちまう!」
『わかった!迅速に…ガガーッ!』
ズドン!
通信が切れた次の瞬間、船がとにかく揺れ、あり得ない方向に吹き飛ばされているのだけがわかった。
だが次の瞬間、船がいきなり停止した。
操縦席に座ってベルトをしていたため、壁に叩き付けられることはなかったが、脳みそはしっかりシェイクされた。
モニターには、エンジンの片方が破壊された際の警報が鳴っていた。
おまけに竜骨にまで損傷が出たらしい。
照準固定警報が無かったことから、ビームを撃ってないことがわかる。
何をやったかはわからないが、牽引光線に捕まったことだけはわかった。
『やるじゃねえか。俺達に気が付かれずに脱出するなんてよ。お前の船の積み荷のことがなきゃ、主砲で吹き飛ばしてやるところだぜ』
ガキ大将が強制的に通信を繋げてきた。
「ビームを射たずに、どうやって俺の船をぶち壊してくれたんだか教えてほしいねえ」
俺が悔しそうに吐き捨てると、見下すようににやつき、
『俺の船の操舵士は優秀でな、お前の船のエンジンだけ壊せるように船首を当てる事くらい簡単なんだよ』
気分よくペラペラと話してくれて、
『いまから戦闘機用の格納庫に入れて、荷物をいただくことにする。ブルッて待ってな♪ははははは!』
馬鹿笑いをしながら通信を切った。
回収されるまでの時間は少ない。
そのあいだに、装備をしておく事にしよう。
視点変換 ◇養成学校生徒A◇
拿捕された貨物船が、牽引光線に捕らえられた状態で格納庫内に入ってくる。
格納庫内のアームが貨物船を掴み、ドロイドが火の出ている箇所に消火剤を吹き付ける。
「ようやくお宝と対面だな」
「でもよぉ。あの議員の娘が全部持ってくんだろ?」
「最初に幾つかもらっておくに決まってんだろ?」
船に近づいていく連中は、そんなことを話ながら銃の点検をしていた。
無抵抗の相手に銃を突きつけるのが楽しいらしい。
俺は銃撃戦が楽しみたいけどな。
貨物船が床に完全固定されると、貨物船の貨物ハッチが開き始めた。
貨物ハッチが3分の1ほど開いた時に、先頭にいた3人が急に倒れてしまった。
「おい!どうした?」
数人が彼らに近づいていった。
すると、またそいつらは急に倒れてしまった。
何かある。
そう思った瞬間、半分開いた貨物ハッチから何かが飛び出してきた。
それに、一番近くの奴がやられた。
俺は慌て光線銃を構えようとして…
視点返還 ◇ショウン・ライアット◇
…少し時間が巻き戻る…
ガタンと大きな音がして、船が固定されたのがわかった。
俺は貨物ハッチのスイッチをおし、短針銃をホルスターから抜いた。
そしてゆっくり開いていく貨物ハッチを見つめ、頭のようなものが見えた瞬間に、短針銃の引き金を絞った。
「おい!どうした?」
外から声が聞こえ、新しく頭が見える。
直ぐ様短針銃の引き金を絞り、頭が消えたと同時に、左腰に差してあった電磁警棒を引き抜くと、半分だけ開いた貨物ハッチから飛び出した。
同時に、現場にいる相手の数を確認した。
そして、一番近くにいた奴を電磁警棒で気絶させ、こちらに銃を向けようとした、一番遠方にいた奴の額に、短針銃を命中させた。
電磁警棒で気絶させた奴を、そいつの近くにいた奴に投げつけ、さらにその近くにいた奴の腕を取ってから足を払い、背中から思い切り床に叩き付けた。
その状態に驚いていた奴に、短針銃を放って気絶させる。
そして間髪を容れずに投げ飛ばした奴の頭に短針銃を一発叩きこむ。
立っている連中が居なくなったところで、人間を投げつけて倒れた奴に銃をつきつけ、頭を射つ。
「ふう…油断してくれてて助かったな」
短針銃をホルスターに、電磁警棒を、スイッチを切って腰に差す。
「12時間はこのままだけど、とりあえず拘束するか」
こいつらは殺したわけではない。
短針銃の弾丸を殺傷力のない麻酔弾に変えておいたので、気絶しているだけだ。
とりあえず、こいつらの腕と足をロープで縛り付けておく。
そして全員を拘束した後、幾つかある通路に向かってみる。
艦内の案内図を貼っているかなと思っていたが、艦内に攻めこまれた時のためなのか、ただ単に設置ミスなのか貼っていなかった。
「しまったなあ…1人道案内に残しておきゃよかった」
短針銃の麻酔弾はけっこう強力なので、おこすのには時間がかかる。
まあ、暫くしないうちに見回りくらいには出くわすだろう。
連中を拘束した後、奥への通路を警戒しながら進んでいく。
それにしても、この船は人気がない。
このサイズの船なら、300人近くはいていいはずだ。
よく考えれば、さっきの襲撃の時に、警報が鳴ってもいいのに、うんともすんとも言わない。
モニター越しに垣間見えたブリッジのメンバーは、自信過剰な感じだったので監視すらしてないというのは理解できるが、タンカーじゃあるまいし、これだけの船でこれだけ人がいないのは不気味だ。
もしかすると、連中は本当に海賊で、生徒は全員殺された。
何て事にはなってないよな?
そんな事を考えながらも、生徒がいつ襲って来るかと警戒していたのだが、一向に現れる気配がない。
「もしかして罠か?」
そんなことを呟きつつ進んでいくと、不意に声が聞こえた。
「よ…、も…こし…」
聞こえてくるのはドアの向こうかららしく、正確には聞こえない。
が、出ている部屋はわかった。
直ぐにドアの死角に向かうと、短針銃を構えた。
「よし!開いた!」
嬉しそうな顔をして飛び出てきたのは、長い髪の女子生徒だった。
直ぐ様その頭に短針銃を突き付け、
「動くな」
定番の台詞を突き付けた。
「だ…誰?」
俺と女子生徒の台詞に、部屋の中の連中は動きを止めたらしく、出てくる気配はない。
女子生徒も、両手を上げて抵抗しない意思をしめした。
「お前らの偉大な艦長閣下に拿捕されたしがない貨物輸送業者だよ」
「違う!」
女子生徒は両手を上げたまま声をあげる。
「あいつは艦長じゃない!」
「じゃあ海賊か?」
「養成学校の生徒に間違いはない。でもあいつらは正規の艦長やブリッジクルーじゃないんだ!」
部屋の中にいた奴が声をあげた。
どうやら男のようだ。
「どういうことだ?」
「話すと、長くなるわ」
とりあえず女子生徒の頭から短針銃を離し、ホルスターに収める。
「見たところ監禁されてたみたいだし、こっちも事情が知りたいし、道案内も頼みたいからな」
俺の言葉に女子生徒がほっとした表情になる。
ブリッジに向かいながら聞いた話によると、
元々はここにいる6人がブリッジクルーで、最初に出てきた女子生徒が艦長なのだそうだ。
ではあの連中はというと、偉いさんや金持ちの子供である自分達が、船のトップになれなかったことに我慢できず、30人程でクーデターを起こしたという。
監視役の女性教師と、夜中に襲撃された、ドアのロックをあけた男子生徒を人質に取られ、従わざるを得なかったらしい。
その上、連中が女子生徒を強姦しようとしたのを、その監視役の女性教師が自分が身代わりになるからやめてほしいと訴えたのだそうだ。
もしかすると、あとの連中が出てこないのは、その女性教師をいたぶっているからなのかも知れない。
ちなみにクーデターが起こったのは1ヶ月前。
脱出が今までかかったのは、男子生徒が最大出力の気絶銃を食らい、意識が戻らなかったためらしい。
彼ら以外の乗組員は、全員が倉庫に閉じ込められ、彼らだけ隔離されたのは、煽動をされないためらしい。
学生だから、即座に閉じ込められた連中や、暴行を受けているであろう女性教師を助けにいくと言い出すかと思ったのだが、
「いま人数が増えると、相手に気づかれてしまいますから。先生も殺されたりはしていないでしょうし」
と、意外に冷静だった。
かなり我慢していたようではあったが。
ちなみにこの捕らえられていたメンバーは、
艦長:マリーダ・ウェスロック 女子生徒
副長:ヨハン・ローウィン 男子生徒
操舵士:ミュナン・スリップス 女子生徒
砲手:ヘレン・シーダー 女子生徒
機関長:ソーカ・フィオダ 女子生徒
通信士兼電子戦担当:マッコイ・ダルレガ 男子生徒
という構成だった。
それにしても残りの連中は本当に出てこない。
それを怪しみながら歩いていると、広い部屋にでた。
左側に船自体の出入口があり、俺達が入ってきた入り口以外にも扉がいくつかあった。
「ここはエントランス兼ブリーフィングルームです。ここを抜ければブリッジはもうすぐです」
艦長のマリーダがそう説明してくれる。
その時、向こう側の扉の1つが開いた。
用語説明
今回は銃を優先的に
光線銃&熱線銃
一般的なレーザーガンのイメージがあるのがこの2つです。
じつは、光線銃と熱線銃との境界は曖昧で、海外作品だと、同じ作品でも翻訳家によって代わることがあるらしいです。
ですので、一般的なイメージで考えると
光線銃:発射音が静かで貫通力が高い
熱線銃:発射音が大きく、貫通力は低いが、破壊力が高い。
という感じでしょうか。
短針銃
通常の弾丸の代わりに、針をガスで打ち出すのがこのニードルガンです。
対生物用に特化されていて、暗殺なんかに用いられます。
針そのものの威力はあまりなく、車のドアにも止められるくらいです。
作品によっては酸の針で鉄も溶かすなどと言うものもあるらしいです。
麻酔銃
トランキライジングガンとかスリープガンと呼ばれる麻酔銃は、弾丸や光線が命中すると、対象が寝てしまうものを差します。
動物を捕獲する時によく使われます。
金属の歯車シリーズをしっている人には馴染み深いものとおもいます。
麻痺銃
パラライザーと呼ばれる麻痺銃は、弾丸や光線が命中すると、対象の身体が麻痺し、身体が動かなくなると言うものもです。
この時、意識があるのが通常ですが、強力な場合、心臓も麻痺させてしまう場合があるので、注意が必要です。
気絶銃
スタンガン・スタナー・ショックガンと呼ばれるこれらは、日本では相手に押し当てるものがすぐに思い浮かぶはずです。
基本として、電撃で相手を痺れさせ、身体の拘束と同時に意識を混濁させて気絶させます。
針がコードに繋がったテーザーガンを、テレビなどで見たことがあるのではないでしょうか。
ちなみに金属の歯車シリーズは大好きです
ご意見ご感想お待ちしております
!