File65 惑星ビーテンツへの貨物輸送② 胡散臭いおっさん
お待たせしたしました。
以前の投稿分から見つかる誤字やミスの多さよ…
救助したちっちゃいおっさんの第一声は、「腹が減った」だった。
なので、夕食に準備しておいた、バターロール・ひよこ豆のクリームシチューに加えて、急遽ポークステーキを焼いて出してやったところ、冷凍睡眠から覚めたばかりだというのに、シチューは3杯、ステーキは6枚も平らげた。
さらには酒が欲しいといってきたので、赤ワインを出してやったらボトル1本まるまる飲み干しやがった。
「いやー助かったわー!なにしろ下手したら10年20年や。それが1ヶ月ほどで救助されるとは、ほんまついてるわ♪商売の勘もまだまだ鈍ってないやろうしな」
「なにか商売をなさってるんで?」
ワインをボトル1本飲み干したくせに酔っぱらう様子もなく、腹が満ちて満足したちっちゃいおっさんに、軽く質問をした。
すると、
「そうや!自称銀河一のブローカー!ニゼー・コギアとはワイのことや!」
と、ドヤ顔で自己紹介をしてくれた。
怪しい。とにかく怪しい。
何が、何処が、どう怪しいと聞かれると難しいが、間違いなくこのちっちゃいおっさんは怪しいと本能が告げている。
このちっちゃいおっさんからにじみ出る『胡散臭い感』は半端なもんじゃない。
このおっさんが使ってるのは、晋蓬皇国の一地方の訛り言葉で、晋蓬皇国の商売人なら誰でもしゃべれるらしい。
もちろん、このしゃべり方をする人に会ったことも会話をしたこともある。
それを踏まえてなお、この目の前のちっちゃいおっさんは胡散臭かった。
チャーリーの奴に知り合いかどうか訪ねてみるか?
とりあえず、あのおっさんが寝た後にこっそり連絡してみるか。
だがまあ要救助者だったのだから、回収はしておいて間違いではないだろう。
「そないゆうたらこの船はどこに向こうてるんや?」
「ビーテンツですよ」
「はー、よう流れてきたもんやな」
どこで救難カプセルに入ったのかは知らないが、けっこうな距離を流れてきたらしい。
随分ホッとした表情を浮かべていた。
「せや。参考までに聞きたいんやけど、積み荷は何なんや?」
「サークルエイトの品物ですよ」
「なるほど。布団やシーツなんかか」
なぜか積み荷を聞いてきたちっちゃいおっさんは、何故か納得したような表情を浮かべていた。
「じゃあ、これ片付けたら超空間に入るんでそこに座っといて下さい」
「りょーかいりょーかい♪」
通常空間でもゆっくりは進んでいたが、やはり超空間跳躍には敵わない。
食器を食器洗い機に入れた後、超空間跳躍を開始するべく、操縦室に向かった。
視点変換 ◇ニゼー・コギア◇
いやービビったわー。
まさかワイがランレイで騙しにつこうた船の1台やったとは思いもよらんかったわ。
まあ、ワイの姿を見とるわけやないから、喋りさえせんかったら大丈夫やろ。
それにしてもあの兄ちゃん料理が上手いな。
ワイがマネジメントするなら、飯の旨い貨客船として、乗船と食事を別料金にして、金持ち相手に広告を打つところやな。
しかしそれやったら、貨客船やのうて客船にして、内装を充実させて、美人のウェイトレスを雇うたほうが儲かるな。
そのうちに兄ちゃんがコクピットからでてきて、
「寝るならこの部屋を使ってください。奥にはトイレとバスルームもあるので」
と、いうてきた。
貨客船いうても、ベッドがあるぐらいのがほとんどやのに、寝室や風呂まであるとは、なかなか有難いこっちゃで。
「おおきに。ほな、風呂借りてから寝かせてもらうわ」
とにかくいまは、風呂に入ってから、ベッドでゆっくりさせてもらおか。
カプセルのなかではずっと座ったままやったからな。
と、いいたいが、まず最初にやっとくことがある。
兄ちゃんが操縦室にこもっとるうちに、船内の金目のものチェックや!
あの螺旋階段の上は…ちっ!電磁シールドが張ってるか…。
台所は食材やら酒やら。高い酒なんかはないな。
風呂もトイレも寝室も金目のもんが全くないやないか!
まあ、向こうもそれぐらいは理解してあえて置いてないっちゅうわけやな。
やっぱり本命は貨物室の寝具やな。
さてそれをどうやって掠め取るかやな。
救難カプセルに1ヶ月乗ってたんやからワイが依頼人とは言えんし、1ヶ月前に盗まれたもんやとわめいても信憑性は薄い。
取引先とは友人やから、あとは任しときや。
ぐらいが妥当やろか?
まあええ。兄ちゃんが操縦室から出てこんうちに早いとこ休んで、明日また作戦をねるとしよか。
視点返還 ◇ショウン・ライアット◇
俺は、船を再び超空間跳躍させると、チャーリーに通信をいれた。
『ようショウン。珍しいな、お前から連絡するなんて』
「ちょっと聞きたいことがあってな」
俺は、こっそり撮影したちっちゃいおっさんの画像をチャーリーに送り、
「このおっさんが何者か知らないかと思ってな。一応ブローカーらしいんだが」
すると、チャーリーの顔が急に険しくなった。
『こいつは…。なあ。こいつがどうかしたのか?』
「救難カプセルで漂っていたのを救助した」
『そうか…』
チャーリーは真剣な表情のまま、ちっちゃいおっさんの画像を眺めていた。
「どうしたんだ?」
『そいつはニゼー・コギア。俺達ブローカー仲間の間でも有名な面汚しだ』
なんなんだろうと思いながら声をかけると、意外な、というかやっぱりな答が返ってきた。
『寸借詐欺や窃盗はもちろん、他人の商品を勝手に売り飛ばしたり、支払いの時に金が足りないからまけろとわめいたり、赤の他人を自分の商売に勝手に巻き込んで金だけ持ち逃げしたりするカスだ。GCPOや地元警察からも手配書がでてるはずだ』
「にしては見かけたことがないな」
『基本こそ泥だからな。直前でバレることが多いし、被害金額がショボいんだよ。しかしそのせいで、俺達まっとうなブローカーまでもが、あいつの同類に見られちまうんだよ!』
チャーリーは本気で頭にきているようだった。
「とりあえず付き出した方がいいよな?」
『無論だな。で、今どこに向かってるんだ?』
「ビーテンツだ」
『よし。通報は俺がやる。そっちでやったら感づかれるかもしれないからな。それと、ビーテンツにいるブローカー達にも連絡しておく、逃がしたくないからな。たぶんお前の荷物も売りさばくつもりだろうから、それからも目を逸らさせた方がいい』
チャーリーの奴は本気らしい。
目が尋常でなくギラついている。
あのちっちゃいおっさんはどれだけのことをやってきたんだ?
「しかし、目を逸らせと言われてもなあ…」
『大丈夫。お前なら簡単な手がある♪』
チャーリーはにんまりと笑った。
ああ、その顔を見れば、どうすればいいのかわかってしまう自分に嫌気がさす。
こいつは書いてて楽しい小悪党です!
ちなみにこのニゼー・コギアのイメージは小野坂昌也さんです!
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