File45 惑星ランレイから惑星ルブコールへの空移動 利害の一致
道路の冠水でたいへんでした
衝撃のニュースに驚きながらも、俺は仕事を取るべく貨物配達受付に向かった。
そこに行くまでの道のりに、すでに他の惑星のマスコミ連中が走り回っていた。
磁気嵐が解除になって間もない筈なのに、たいしたフットワークだと感心する。
ともあれ俺には関係ないので、貨物配達受付に向かうことにする。
しかしそこで告げられたのは、非情な一言であった。
「申し訳ありません。今現在、そちらの船に載せられるような貨物の依頼は発注されておりません」
「まじで?」
見れば、発注されているのは、最低でも500t単位の鉱石や希土類、採掘用重機などの輸送ばかりで、最大240tの俺の船では不可能なものばかりだった。
何回見直しても発注内容が変わったりすることはなく、俺の船でも運べる荷物の依頼が、いつ発注されるかわからないので、諦める選択肢しかなかった。
こうなれば別の星に移動するしかないが、どうせなら西周りのルートを行ってみようと思う。
惑星ランレイから一番近い、惑星ルブコールは、食料生産事業で有名な星だ。
その中でも一番有名なのがワインの醸造。
共和国内だけに留まらず、帝国や連邦にも名前を知られているくらいだ。
そこなら、受けれる仕事もあるだろう。
そう考えたなら実行あるのみ。
船にもどり、直ぐ様出発準備をする。
その最中に、ジャンのやつから通信があり、アルセリアのせいでトルコライスが食べられなかったから作れと言われたが、仕事がないので移動するといったら、あっさりと引いた。
こちらから挨拶はしておくつもりだったから、都合はよかった。
惑星ルブコールまでは、俺の船で4日。
時間もあるので色々と作り置きをしておくことにしようと思う。
そうしてすぐに出発し、惑星ルブコールまでの4日間は、作り置きを作りながらあっと言う間に過ぎていった。
惑星ルブコール。
共和国内にある惑星の中でも、食料の生産力にかけてはトップクラスを誇っている。
宇宙港への搭乗口である軌道エレベーターの周囲以外は全てが畑や果樹園や牧場だと言われているほどだ。
その中でも一番有名で、一番成果が出たのが以前にも説明したワインの醸造だ。
ウィルティア・ルナーシュ評議員を乗せた時に、ジェームズ・ハンズクリットが要求したのが、ここのワイン醸造所のひとつが生産している、シャトー・クルグリュウェストルだ。
因みに、比較的手に入りやすい物でも100万クレジットはする超高級ワインだ。
希少品なんかいくらするのか想像するだけで怖い。
その宇宙港にたどりついたのが夕暮れ時(午後8時台)で、いつもの店が閉まっていたため、船で夕食を済ませて早めに寝た。
翌朝は早起きして、貨物配達受付にならんだ。
これで依頼がなかったら、燃料の無駄遣いになっちまう。
幸い人はまばらで、すぐに順番がきた。
「いらっしゃいませ。惑星ルブコール貨物配達受付にようこそ」
「240tまでの荷物は配達はないか?」
「はい。少々お待ちください」
俺はどきどきしながら犬耳の受付嬢の返答を待った。
「240t以下の貨物配達の依頼はこれだけになります」
有難いことに8件程の依頼があり、報酬もなかなかによかった。
そのなかでランレイ行きを除外したなかでも、一番条件がいいのがあった。
「こいつを頼む」
「はい。惑星ラットゼル行きのワインの配達ですね。あ…。ライアットさん。ちょっと質問をよろしいでしょうか?」
俺が依頼を選択すると、犬耳の受付嬢が待ったをかけてきた。
「別にいいけど、何かあるのか?」
「実は、惑星ラットゼル行きの依頼には便乗希望の方がいらっしゃるのですが、ライアットさんの船は貨客船ですよね?」
犬耳の受付嬢は、俺に顔をむけてそう質問してくる。
「確かにそうだが、乗せれても4人まで、到着までは時間もかかるんだが?」
「少々お待ちを…」
受付嬢は色々と連絡をしはじめた。
そして暫くすると、全員から返答をもらったのか、こちらに向き直った。
「それでもいいそうです。何しろまた…」
そこまでいった受付嬢の顔が曇る。
それだけで俺は全てを察した。
いや、察せない奴はいないだろう。
「ストライキか?」
「はい…」
受付嬢から聞いた話では、スターフライト社のストライキが急に始まったらしい。
しかも今回はなかなか大規模らしく、復帰の見込みがないらしい。
ちなみに現在、スターフライト社に対して、政府主体のライフライン請け負いの資格を剥奪しようという動きが高まっている。
多分そう遠くないうちに実行されるに違いない。
「引き受けるよ。その代わり、こっちの指示には従ってもらうってことをよくいっといてくれ」
「了解しました」
こうして俺は、めでたく依頼を受けることができた。
なので、途中のワイン直売の店で赤・白・ロゼの手頃なのを何本か購入することにした。
今回は便乗してきた4人の客の内訳はこんな感じだ。
1人目はカーティ・ロトス。
黒目にショートボブの黒髪のビジネスウーマン。
2人目はアマベル・レスティスという優男の男子大学生だ。
3人目と4人目は、カルデス・ウェンズとアラデラ・ウェンズの御夫妻。
元気そうな爺さんと、品の良い婆さんだ。
もちろんというか当然の事だが、全員大人しく停泊地で貨物の積み込みを待ってくれた。
これこそが正しい乗客の姿だ。
貨物の積み込み中に勝手に乗ろうとする奴等の方がおかしいのだ。
積み込みが完了してチェックを終わらせ、管制塔に通信をいれる。
「管制塔。こちら登録ナンバーSEC201103。貨客船『ホワイトカーゴⅡ』。出港許可を求む」
『こちら管制塔。『ホワイトカーゴⅡ』出港を許可する』
いつものお決まりのやり取りをしてから、いつもの行動をし、超空間跳躍を実行する。
そのいつもの事とはいえ、何回やってもジャンプの瞬間は緊張するものだ。
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