File44 惑星ランレイへの貨物輸送⑥ いろんな思惑
主人公の出番は極少です!
あとがきをちょっと修正
視点変換 ◇ライティス・グラザール◇
ショウンのところで夕食をご馳走になり、自分達の船に帰った時には、それなりの時間になっていた。
「美味しかったですねえ。さすがショウンさんです! 末端価格天井知らずは伊達ではありませんでしたね♪」
アルセリアは興奮冷めやらぬ様子で、料理の味を反芻しているような表情だった。
「そういえば昼間もそんなこと言ってたけど、なんなんだいその末端価格って?」
実に幸福そうなところに大変申し訳ないけれど、気になっていた事を質問してみることにした。
「実は、オルランゲアの貨物輸送受付の受付嬢の人たちの間で、ショウンさんの作ったデザートが仕事を頼むときの通貨みたいになってるんです。噂じゃあ有給休暇の売買まで行われているとか!」
「大丈夫なのかなオルランゲアのギルドは…………」
アルセリアが、嬉しそうに、かつ興奮しながら話してくれた内容に、一抹の不安を感じてしまう……。
「けっ! いつかデザートの密造だか密売だかなんかでパクられりゃあいいんだよ!」
ジャンは相変わらずだが、あれでも心配はしているんだろう。
ショウンもそのあたりは一緒だろうしね。
そう思いながら、帰り際に渡された袋をテーブルに置いた。
「ところでそれはなんですか?」
「ショウンからもらった、トルコライスとチョコレートプリンの余り。それとダックワーズだって。勿体無いから明日のお前の昼飯にでもしてくれってさ」
ジャンに向かって袋を差し出し、ショウンの言葉をつたえてやる。
すると案の定、
「まあそこまでされたら仕方ないから食ってやるか」
嫌そうなセリフを吐きながらも、嬉しそうな顔をしながら袋を掴みとった。
しかしその瞬間、アルセリアがその袋を掴んだ手を掴み取った。
「何をいってるんですか? トルコライスはお子さまランチなんですよね? 大人は食べないんですよね? 私は育ち盛りなんですから譲ってくださいよ!」
そして、食事の時の話を持ち出して、お土産を奪おうとした。
彼女はドラコニアル人なので、僕達より年齢は上だが、外見も精神年齢も育ち盛りの子供には間違いない。
「ざけんな! テメーはたらふく食っただろうが!」
「それぐらいドラコニアル人にはおやつです!」
そしてその子供と真剣に喧嘩をする大人がいた。
「まあまあ。ショウンもジャンに食わせるつもりで渡してるんだから。アルセリアは今日はもうやめときな。それに、あんまり食べすぎると太るよ」
その一言にアルセリアは一瞬固まり、
「…………わかりました」
と、おとなしく引き下がってくれた。
ドラコニアル人といえど女の子、『太るよ』の呪文は効果抜群だ。
だがまあ、ガキ同然の成人男性には通用しないわけで…………。
「じゃあこのメシと菓子は俺のモンだな♪」
袋を掲げて、勝ち誇った顔をアルセリアに向ける。
「ちょっとまってください! ダックワーズはさっきのメニューにはなかったじゃないですか!」
「うるせえ! これは全部俺のモンだ!」
そうなると喧嘩が再燃してしまうことになる。
なのでもうほおっておくことにした。
既に2人は袋を掴んで、引っ張りあいまで始めていた。
あんなに引っ張りあってたら破れておっこちるぞ。
そう思っていた矢先、
「「あっ……」」
2人の絶望の声が聞こえた。
「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」
ほらやっぱり。
視点変換 ◇???◇
まったく…………なんでこないに早うバレたんや?
朝方にあたふたしてる奴5人くらいにしか声かけてへんのに…………。
絶対に1人か2人は出発してると思てたのに、誰1人として出発してへんとはな。
最近の船乗りは薄情な上に根性の無いんばっかりで困るでほんま…………。
あかん。こんなことゆうてたら追手が近づいてきよった!
なんとかしてここからおさらばせんと…………。
お! これはコールドスリープ機能のある脱出ポッドや! ついてるで!
よし! 早速脱出と洒落こもか!
まずは銭の入った財布と、巻き上げた銭、汎用端末を服の隠しポケットに入れてと。
手持ちの袋には、安もんの着替えに、偽造した身分証明書の入った汎用端末に、偽金の入った財布。
パンフレット各種に、拾うたタバコにライター、お気に入りのグラビア雑誌。
これで銭を盗まれる確率は下がるし、とられても贋金やからな。
贋金がバレても、防犯のためと答えたら信用される。
さて、準備が終わったら、さっさとおさらばや!
ハッチを開けて中に乗り込んだら、レスキューモードにして脱出や!
視点変換 ◇第三者視点◇
惑星ランレイ宇宙港にあるホテルのなかで、最も高級で、最も歴史があり、最も悪趣味なホテルのロイヤルスイートに、宇宙港内に大名行列を再現した原因であるディウェンザー・オーシェクがいた。
「なに? ほとんど断られただと?!」
「はい…………色々と都合もあったらしく……」
「都合? この私の命令以上に優先するものなどあるわけがないだろうが!」
気弱そうな青年、評議員補佐官のファグレス・コニサーズが、自分が要求したものを用意できなかった事に対して、高い酒の入ったグラスを投げつけた。
コニサーズは避けることはせず、甘んじてそのグラスと中身の酒と氷を食らい、割れたグラスによって額から血が流れた。
例え少々傷を負うことになっても、避けるとさらに面倒なことになるのが分かっているからだ。
「まったく。評議員たるこの私の誘いを断るとはな…………。『処理』はきちんとしておけよ」
「はい。それはしっかりと……」
ここで言う『処理』とは、行方不明者がでるという事と同意であり、オーシェクの誘いを断った者は、余すことなくそうなることを示していた。
オーシェクは、新しいグラスに酒をそそいで一口喉に流すと、ソファーに座り直した。
「それで、応じたのは誰だ?」
「この少年です」
コニサーズは、額から流れる血をハンカチで押さえながら、汎用端末を起動し、誘いに応じた少年の立体映像を見せた。
その少年は、浅黒い肌に華奢な身体、あどけなさの残る中性的な顔をしていた。
それを見たオーシェクは、いままでの怒りを綺麗に忘れ、にやけた笑顔を浮かべていた。
「おお、あの通路にいた浅黒い肌の少年か。なんとも柔らかそうな…………いやいや、利発そうな子だったな」
「はい。オーシェク評議員とぜひお話がしてみたいといっています」
コニサーズは、オーシェクの明らかな失言を無視し、『対談』の開始をうかがう。
「では彼を私の部屋に。ゆっくりと朝まで語り合いたいからな」
オーシェクは満足そうな笑みを浮かべながら、グラスに残った酒を飲み干した。
視点返還 ◇ショウン・ライアット◇
翌朝。
昨日の食事会の料理の材料の残りを、どうしようかと考えながらテレビをつけると、衝撃のニュースが流れてきた。
『…………速報が入りました。評議員のディウェンザー・オーシェク氏が昨日未明に亡くなりました。死因は心臓発作で、惑星ランレイの視察の日程中に磁気嵐に遭遇し、取り壊しが計画されているランレイ宇宙港内のホテルで宿泊したところ、その深夜未明に心臓発作が発症し、死亡したとの事です。事件性はなく、純粋な突然死であるとのことです……』
マジか! の一言だった。
磁気嵐が治まったと思ったら間髪を入れずにこれだ。
あんな評判の悪い奴でも心労が祟ったんだろうか?
まあ、また磁気嵐に巻き込まれないうちに、早いとこ仕事とって離れた方がいいな。
抹消される通信記録
…………私です
はい。無事完了しました……
表向きは穏便にしておきましたが、少年との色欲の果ての腹上死とわかれば、いずれマスコミが食いつきます
……はい
その辺りは抜かり無く
あの少年も、家族の敵討ちができて本望だったでしょう
……はい
……はい
そちらの処理は既に開始しています
では失礼いたします
評議長閣下……
ピッ
ふん……いい気なものだ……
老害め……
通信抹消
勝手なCVイメージ
ミィミス・ラッペリオ:遠藤綾さん
フィナ・ヴルヴィア:川澄綾子さん
カリス・ヴルヴィア:小西克幸さん
メイド マリエラ・カデム:上坂すみれさん
ウィルティア・ルナーシュ:能登麻美子さん
サラ・トライミナル:水橋かおりさん
ケビン・コールマン:下野紘さん
ジャック・ファルコン・ケイデイル:島崎信長さん
アーデント・ラツィム:渕上舞さん
ジャン・インフェッド:岡本信彦さん
ライティス・グラザール:阪口大助さん
アルセリア・イーベッツ:高橋李依さん
そしてついに主人公のイメージが朧気に決まりました。
男女が同じ人の場合:佐倉綾音さん
男女が別の人の場合
男時・金本涼輔さん
女時・東山奈央さん
以上失礼いたしました。
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします
7/7 ミィミス女史のイメージを変更しました。
理由はいずれ…




