File38 カジノ専用コロニー『ロングショット』への貨客輸送⑤ 原因があるから結果は起こる
今回、『多少の暴力表現』と、多大な『周りから見ればリア充表現』がありますので、ご注意ください。(笑)
視点変換 ◇ケビン・コールマン◇
正直スカッとした!
高校時代から、クラスどころか全校の男子から(一部女子からも)嫌われていたあの野郎の、股間を一撃された時のあの顔!
やっぱりショウンと一緒だと楽しい。
一緒に高校に行ってりゃ、俺の高校時代ももっと楽しかっただろう。
そんなことを考えてると、ショウンが話しかけてきた。
「おいケビン。あいつはいったいなんなんだ?」
「あいつはアルムオン・ボレーライト。ボレーライトカンパニーの一人息子で、自己中心的で、欲しくなったものはその瞬間に自分のもの。そのくせ飽きたら直ぐに壊すか捨てる。もちろん女の子も。噂じゃ、それが原因で自殺した子がいるって話だ」
「ろくなやつじゃないな…」
あいつの事をかいつまんで話すと、ショウンは心底気持ち悪がった。
が、しかし!
それよりも今の状況に俺は困惑していた。
ショウンが俺の腕を取ったのは、あいつに見せつけるためなのは理解している。
しかし、店を出て暫く立っても、俺の腕を離そうとしない。
「なぜだ?!」
「なにがだよ?」
「腕だよ!いつまでやってるんだ!」
するとショウンはため息をつき、
「お前相当疲れてるだろ。足元ヤバイぞ」
と、言ってきたので、自分の足元を見た。
言われるまで気がつかなかったが、足下がかなりふらついていた。
歩けていたのは、ショウンが支えてくれていたかららしい。
「わりぃ…。前の日まで仕事がたてこんでて、午前中は接待。午後は自己中野郎に絡まれたからな…」
どうやら、前日からの仕事と、接待での疲労。おまけにアルムオンの奴に出くわしたことで、疲れがどっとでてきたらしい。
「とりあえず、服屋まではこのまま連れて行ってやるよ」
「悪いな」
俺の友人は、半分男で半分女。
思えば、俺に彼女ができなかったのは、こいつがいたからなのかもしれないが、居てくれてよかったと、心から思う。
今も、おっぱいが腕に当たってるし!
「ちなみにさっきのやつのせいで気分悪くなったから、服は高めなやつな」
が、こういう容赦のないところはなかなか厳しい。
「手加減よろしく…」
俺は財布の中身が涼しくなるのを覚悟した。
視点返還 ◇ショウン・ライアット◇
ケビンのやつに、スニーカー・Tシャツ・ジーンズ・フライトジャケットを買わせてその場で着替え、ケビンの体調をかんがみてタクシーで最初のカジノに戻り、借りていた制服一式を返すと、ケビンたちはホテルに、俺とチャーリーとティラナは、俺の船に乗ってダナークズに向かって出発した。
そして船での夕食の時、俺はチャーリーに気になっていたことを訪ねてみた。
「なあ、あの賭けの時、運良く勝てたから良かったものの、負けたらどうするつもりだったんだ?」
「なにいってんだ。負けないためにお前に協力して貰ったんだぜ」
チャーリーはビールを飲み干すと、新しいのを開けながら話を始めた。
「一流のルーレットのディーラーになると、ホイールの回転や球への力の入れ方なんかで好きな数字に入れることができる。つまり、ホイールの回転と、ディーラーの球への力の入れ方で、入る目が解るんだよ」
「本当か?」
「ああ。だが一流のディーラーはそれをわからないようにやる。そこでお前にディーラーをやらせたんだ。素人のお前なら、ホイールも球を投げ込むのも丸解りだからな」
信じられない話だが、実際に的中したのだから、まあそうなのだろう。
「それでも外れるときもありますよね?」
ティラナが怪訝な顔でチャーリーに訪ねた。
賭けに負けていたら、俺だけじゃなく、彼女も被害にあっていたかもしれないのだから、気になるのは当然だ。
「お前らなら自分でぶん殴って戻ってくんだろ?それに勝ったからいいじゃねえか♪」
ケタケタ笑いながら、チャーリーはご機嫌にビールをあおった。
「ティラナ。追加料金って2倍くらいOK?」
「チャーリー様の個人口座から引き落としますから10倍くらいまでOKです」
「よし。じゃあそれで♪」
「まてまて!悪かった!謝る!10倍は止めてくれ!」
他人を賭けの景品にしてくれた上でのその態度にイラッときたので、これくらいの意趣返しは許容範囲だ。
そこに、つけたままのテレビから、驚くニュースが流れた。
『…速報です。本日午後、カジノ専用コロニー『ロングショット』内で、会社員のアルムオン・ボレーライトさん23歳が殺害されました。発見時、ボレーライトさんはウィロシ・ソーラット容疑者19歳に馬乗りにされ、全身を滅多刺しにされていました。ソーラット容疑者はボレーライトさんが死亡してもなお刃物を突き立て続けていたため、警備員が取り押さえようとしたところ錯乱状態になったため、警察は殺害の理由が怨恨であると判断し、捜査を続けています…』
俺は、そのニュースを聞いて思わず固まってしまった。
そこに、チャーリーが声をかけてくる。
「どうした?」
「俺が友人ケビンと服を買いにいった時に絡まれたっていったろ?その絡んできた奴が殺された」
「はあ?マジか!」
俺の言葉に、チャーリーは前のめりになって顔を寄せてきた。
「犯人は現行犯逮捕されていますね」
ティラナは画面を指差す。
その画面に写っている犯人の女の表情は、なんとなく嬉しそうにみえた。
十数時間前…
視点変換 ◇アルムオン・ボレーライト◇
なんでなんだ?
なんであの女は偉大な僕を拒絶した?
僕より優秀で、聡明で、カッコいい男なんかいるはずがないのに!
この僕の所有物のくせに僕を拒絶しやがって!
許さない!
絶対に思い知らせてやる!
自分が僕の所有物であることを!
僕に逆らったらどういう事になるかを!
プルルルルルルルル…ピッ!
「もしもしママ?」
『あらアルムオンちゃん。プロジェクト成功の御褒美は楽しんでいるの?』
「それどころじゃないんだよママ!僕殴られたんだ!僕の所有物(恋人)だった…えっと…」
そういえばあの銀髪女の名前は知らないな。
まあ適当に、
「シルヴィアに!」
で、いいだろう。
『んまあ!なんて身の程知らずな女なんでしょう!アルムオンちゃん!直ぐに病院に行きなさい!ママもすぐそっちにいくわ!』
「それでねママ。こっちに来るときに…」
「みーつけた♪」
「ん?なんだおま…ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
『アルムオンちゃん?どうしたのアルムオンちゃん!』
僕が振り返ると、なかなかに顔のととのった女がいて、いきなり僕の左脚を刺してきやがった!
「貴方は覚えてないとおもうけど」
女は僕の右腕を切りつけ、
「痛てえぇぇぇぇぇぇっ!」
「私のお姉ちゃんを自分のものだって勝手に決めつけて」
僕の顔を切りつけ、
「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「その時お姉ちゃんと付き合ってたハンスさんを自殺に見せかけて殺害し」
僕の右脇腹を刺し、
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁがっ!」
僕を蹴り飛ばし、壁に叩きつけた。
「挙げ句お姉ちゃんに飽きたら集団で暴行して顔を切り刻んでくれたわよね?貴方は覚えてないでしょうけど」
「なっなんだお前!何者だ!」
僕は左脚を引きずり、左腕で刺されたところを押さえ、切られた右腕をだらりとしながら、女から遠ざかろうとした。
「知らなくていいよ。教えたくもない」
女は、血に濡れたナイフをもったまま腕をだらりとしていた。
なぜこの女はこんなことをするのか?
金か?そう考えたが、偉大な僕はすぐに理解した。
「そうか!僕の恋人になりたいんだな!これは君なりの愛情表現なんだろう?」
「あれ?この世の美しい女は全て自分のものじゃなかったっけ?なのに。「なりたいんだな」はおかしいなあ~♪」
しかし女は、不気味な笑顔を浮かべながら近寄ってくる。
「そっそうだ!君は僕の恋人だ!だから恋人にこんなことは止めてくれ!」
「私のお姉ちゃんは、失意の果てに自殺したわ。お前のせいで」
女は光のない瞳で僕を睨み付けながら近寄り、僕の脚を引っ掛けて、
「がっ!」
僕に馬乗りになった。
そして光のない瞳で僕を見つめ、
「お前なんか生きるな」
そういうと、手にもったナイフを大きく振り上げた。
「止めろ…止めろ…助けてっママッ!ママー!」
次の瞬間、真っ暗になった。
視点終了
私がイメージしたケビン君の声のイメージの影響で、ケビン君が善◯に見えてくる弊害。
とりあえず謝っておきますごめんなさい
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