File36 カジノ専用コロニー『ロングショット』への貨客輸送③ 博打の結果
主人公の船・ホワイトカーゴの積載量を間違えていました!
積載量が倍になったのだから、
ホワイトカーゴ 120t
↓
ホワイトカーゴⅡ 240t
が、正しいのに、
ホワイトカーゴ 120t
↓
ホワイトカーゴⅡ 120t
になっていました。
ご指摘本当にありがとうございました!
なんで気がつかなかったんだろう…
「ギャンブルでだと?」
「ああ、こっちが勝ったら、そっちの兄ちゃん達の契約は成立。ショウンには土下座で謝罪だ。勝負の方法はルーレットでいいよな?」
バカ男は、楽しそうに提案をするチャーリーを胡散臭げに見つめていたが、すぐににやついた表情を浮かべた。
「なら、俺様が勝ったら、契約はなし。その女は俺様の女になる。ついでにそっちのアンドロイドと、1000万クレジットくらいのはした金ももらっとこうか!」
「ああいいぜ」
こいつ、ティラナと金まで要求しやがった!
というか、チャーリーの奴なんのつもりだ?
「おい!ふざけんな!」
「いくらなんでも今の提案に乗るのも出すのも非常識です」
俺はチャーリーの襟首を掴んで締め上げ、ティラナはチャーリーの耳を掴んで引っ張っている。
「まて!これには理由がある!とにかく放してくれ!」
とりあえず放してやると、チャーリーは俺とティラナの肩に腕を回し、小声で呟いてきた。
「俺はな、自分が起業したわけでもない癖に、その企業の威を借りてやりたい放題やるカスがセロリより嫌いなんだ。安心しろ、絶対にあんなカスにお前らを渡すかよ」
そのチャーリーの声には、バカ男に対する紛れもない怒りが込められていた。
「つーわけでショウン。ちょっと協力してくれるか?ディーラー。球を投げ入れるのをお前に頼みたい」
「それはいいけど…俺はディーラーなんかやったこと無いぞ?」
チャーリーの真剣な様子から、協力をするのは良いが、なぜディーラー?と、思っていると、
「では、当カジノの女性ディーラーの制服をお貸ししましょう」
ダンディー氏ことバデルテ・ギャンデック氏がいつの間にか話に入ってきた。
こうして俺は、ディーラーの制服に着替えた訳だが…
「…なんでドレスなんだ!普通ああいうのじゃないのか?!」
俺が着せられたのは、左肩だけのワンショルダーのノースリーブで、左の太ももの付け根部分から右足のすねの仲ほどまで斜めにカットされた銀のスパンコールドレスに、同じ銀のスパンコールが入ったカフス。
同じく銀のスパンコールの入ったハイヒール。
おまけに下着まで着替えさせられた。
俺はてっきり、ズボンにシャツにベストというスタイルだと思っていたのに。
「おー流石によく似合うな。髪が白銀だから余計に似合うぜ」
「これでディーラーとしての腕前があれば人気がでまくりますな♪」
「相変わらず何でも着こなすよなー。でもせっかくなら『バニースーツ』ってのが見たかったなー」
チャーリー・ギャンデック氏・ケビンの3人は、無責任な称賛をしてくれやがった。
後で覚えてろよ…。
特にケビン…。
準備の終えたルーレットのテーブルに移動すると、周りに見物客が群がっていたが、俺達が近寄ると、自然と道を空けてくれた。
そこを通る間、男どもの視線が絡み付いて気持ち悪過ぎたが。
それを抜けると、バカ男とチャーリーがそれぞれ対面の席に座り、俺はディーラーの位置につく。
「改めて手順の確認だ。勝負は一回きり。ベットの場所は一数字のみ、同じ場所に賭けるのはナシ。ショウンが球を投げ入れたらベット開始だ。いいな?」
「わかった。問題ねえ」
なかなかに緊張した雰囲気の2人とは別に、俺はディーラーに球の投げ方を教わっていた。
「これを回してから、ホイール(数字の書かれた回転盤)の壁に沿って、指の腹から弾き出すみたいに投げればいいんだな?」
「はい。今回は投げるだけなので、手順はそれだけです」
「わかったよ。ありがとう」
「お安いことです」
自分の仕事場だろうに、快くレクチャーをしてくれた。
球の弾き方を教える時は、やけに手を触ってきたがな。
「さあ!そろそろ始めてくれ!」
「わかった。じゃあさっそく回させてもらう」
俺はホイール(数字の書かれた回転盤)を回してから、その壁に沿って、指の腹から弾き出すみたいに投げた。
すると間髪入れず、
「黒の10だ」
チャーリーが自信ありげにチップをベットする。
「俺様は赤の23だ」
バカ男も自信たっぷりにチップをベットする。
それからはカラカラという、球がホイールを回る音だけが響いた。
そうして、ほんのわずかでありながら、長い長い時間がたったころ、
コォーン…
球はホイールの数字に落ち込んだ。
「黒の10!」
ギャンデック氏が数字を宣言する。
そして歓喜の声が上がると思った瞬間、
「イカサマだ!」
バカ男は席を立って大声を上げた。
しかしそのバカ男の発言は、賭けの相手である俺たちではなく、別の人間を怒らせてしまった。
「それはあり得ない。このルーレット台にはイカサマの仕掛けはないし、ディーラーを務めた彼女は違いなく素人だ。イカサマなどできよう筈がないし、何より…私が許さない」
ギャンデック氏は、自分のコロニーを侮辱したバカ男を、物凄い形相で睨み付けた。
パンフレットに書いてあったことだが、この『ロングショット』は客がイカサマを仕掛けてこない限り、イカサマは絶対にやらない。
という理念を掲げている。
さらには、ルーレットに球を入れたのは素人の俺だ。
イカサマなんかできるわけがない。
したとしても簡単に見破れるだろう。
それをイカサマだと公言するということは、理不尽なクレームを押し付けてくるクレーマーということだ。
そのクレーマーに対し、ギャンデック氏は睨み付けながら声をかけた。
「それから、君に立体映像電話だ。アンドリュー・アーノス君」
そして、ギャンデック氏の部下が持ってきた端末から映し出されたのは、壮年の男性だった。
それを見た瞬間に、バカ男は怒りを露にしながら訴え始めた。
「父さん!聞いてくれよ!こいつらがイカサマで俺をカモりやがったんだ!父さんの人脈で、このイカサマカジノを営業停止に追い込んでやってくれよ!」
バカ男は憤怒の表情をうかべながら、男性=父親に自分が受けた酷い仕打ちを告白し、報復をしてくれるように懇願した。
しかし、父親からでたのは、バカ男にとっては意外な言葉だった。
『アンドリュー。お前には愛想がつきた』
「え?」
父親。ケビンにこっそり聞いたところ、ロードニー・アーノスというらしい。
そのアーノス氏は相当に疲れた顔をしていた。
『末っ子ということで甘やかしてしまった私にも原因がある。が、学生のころから色々と問題ばかり起こしたうえに、私が助けてやっても反省の欠片もない。もう、お前を助けるのにもつかれた』
父親は、真底疲れた顔をしていた。
「ちょ…なにいってるんだよ父さん!そうだ!息子の俺が、取引先に暴力を振るわれたんだぜ?こいつらとの取引は打ちきりでいいよな?」
『セローデク商会さんは、我が社の創業当時からの取引先だ。我が社が何度も危機に陥った時にも、取引を続けてくださった大恩ある会社だ。それをお前の一存で破棄するなど冗談ではない!それに、殴られたのはお前のセクハラが原因で、しかもその女性はセローデク商会の社員の方では無いというじゃないか!いや、社員でなくとも女性にセクハラをすること自体が社会人失格だ!しかもその女性に、身体を差し出せともいったらしいな?』
「いや…それは…」
事実なだけに、バカ男は言葉に詰まる。
そのバカ男に、アーノス氏は最後通告を突き付けた。
『お前は唯今をもってクビだ。お前が勝手に使っている私のカードも凍結させた。私の名義のマンションも解約する。そして、警察にいって自分の罪を反省してこい!』
「そんな!?父さん!助けてくれよ父さん!父さん!」
バカ男が、アーノス氏に必死で助けを求めるが、答えることはなかった。
『息子の被害を受けた女性の方。本当に申し訳ありませんでした。息子はそのまま警察に付き出していただきたい』
「よろしいんで?」
『きっちりと自分の罪を償わせます』
俺としては、腹をぶん殴った時点で謝っていればチャラでも良かったが、アーノス氏の話から推測すると、色々と積み重ねがあったのだろう。
そんな話をしているうちに、失意のどん底のバカ男は、警備員に連れていかれた。
『セローデク商会の方には、改めてお詫びの機会を設けていただきたい。こちらとしても、そちら様との取引を切られる訳にはいきません。何とかお願い出来ませんか?』
アーノス氏は、画面越しに丁寧に頭をさげる。
すると、課長さんが直ぐ様に前に出てきて、同じように頭をさげた。
「こちらもそちら様との御縁は続けたいと思っておりますので、ぜひともお願いいたします」
『ありがとうございます!詳しい話は新しい担当者を通じて後日に』
「はい。よろしくお願いします。では」
サラリーマン同士?の定番な挨拶が終わり、ようやく事態は終息をむかえた。
…やっとこのキラキラなドレスを脱げる。
ショウンは、本気で嫌なこと以外は流されやすいようです。
多分文化祭で、ケビンになんかやらされているはずです。
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします
マスク不足なのに、道にマスクが落ちているのを良く見るのは何故なんだろう?




