表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/263

File32 惑星ダナークズへの貨物輸送② 腐った正義と最後の晩餐

なんとか書き上がりました。

超空間にはいって5日目の朝。

行程は実に順調だった。

順調すぎて怖くなるほどだ。

ヴォルダルからオルランゲアに帰る時も、いまのようになんの問題もなかった。

それでも不安になるのは、いままでの経験からだ。

昼近くになったころ、コックピットで定期点検をしている時に、救難信号(SOS)が飛び込んできた。

即座に超空間(ハイパースペース)から脱出すると、SOSの発信元へ通信(コール)を入れた。

「こちら貨客船ホワイトカーゴⅡ。SOSを受信した。そちらの状況はどうなってる?」

発信元は沈黙を保っていた。

おそらくトラブル対処のために席を離れているのだろう。

すると、少しして返答があった。

『こちらは銀河共和国防衛軍東部方面軍所属・軽巡洋艦アールシェピースだ。デブリの衝突で噴出口(ノズル)部分に損傷があり、現在移動が出来ない。軍に連絡はしてあるのであと数時間したら救助がくる手はずになっている。とはいえ、ダナークズの基地に補給に向かうところだったんで色々不足気味だ。食料の提供を要請したい』

現れたのは、まさにテンプレートな軍人といった感じの30代の男だった。

「こっちは小型の貨客船だから、提供しても全員には無理だぞ」

『艦長以下数人でいい』

「それならなんとかなる」

『たすかる』

奇妙な要請だとおもった。

戦時下でもないだろうに、これだけの軍艦で食料が不足するということがあるはずがない。

にも関わらず、食料が不足するとはどういうことだろうか?

そんなことを考えているうちに、相手の船が見えてきた。

近寄ると、船外活動をしている連中が何人もいて、修理をしていた。

ノズルの部分がひしゃげていて、再生か切り離しかをしているらしい。

そうしてゆっくりと、軽巡洋艦アールシェピースの進入ハッチに接近する。

『ホワイトカーゴⅡ。こちらからガイドビームを射出する』

「了解。アールシェピース側からのガイドビームを確認。自動航行装置(オートドライブ)にて接舷(せつげん)開始」

自動航行装置(オートドライブ)のスイッチを入れると、ゆっくりと近づいていき、停止する。

接舷(せつげん)完了。停止する」

『ホワイトカーゴⅡの停止を確認。連結通路を展開する』

しばらくすると、ガチャンという連結通路が接触した音が聞こえた。

『通路を設置して、空気を注入。ドアを開けてくれ』

「了解」

ドッキングが完了し、扉が開くと同時に入ってきた3人は、以前海賊行為をしていたあのガキ共と同じ雰囲気の連中だった。

連中は、挨拶をすることもなくラウンジのソファーにどっかりと座り込み、

「オーウェン・ガグガルスト中佐だ。この船を臨時の休憩所にしてやる。有り難く思え」

「おい!酒だ!早くしろ!」

「ちっ…女はいねえのかよ」

やっぱり、およそ軍人とは思えないような態度だった。

船乗りとしての矜持として、救難信号には必ず応答する事にしているが、こんな連中を相手にしなくてはならないなら、来ない方がましだった。

「いくらなんでも横暴が過ぎるんじゃないのか?こっちは救難信号をキャッチしてきたんだぞ!」

最低限の礼儀すら守らない連中に、遠慮はいらない。

まずは抗議をしてみる。

「俺は大佐だぞ?艦長だぞ?逆らっていいと思っているのか?」

「いいからさっさと酒を持ってこいよ!」

「あーむこうから女つれてくっかな~」

わかった。

こいつらは本物のアホだ。

会話の余地すらない。

銀河共和国防衛軍は国と国民を守るための軍隊だ。

それがこの有り様ではどうしようもない。

どうやって叩き出してやろうかと考えたその瞬間、振動が俺の船を揺らした。

「なっなんだ?」

何事かと思って操縦室(コックピット)に向かうと、軽巡洋艦の後部、接舷しているのとは反対側から炎が噴き出しているのが確認出来た。

連中も、振動が気になってついてきていたため、その光景を目の当たりにすることになった。

俺はすぐに通信(コール)ボタンを押した。

「どうしたアールシェピース?!何があった?」

『機関部で爆発!潜伏したテロリストの仕業と判明!そのテロリストは艦長以下の計4名と判明!』

「なんだと?!テロリストは貴様達だろうが!」

その言葉に、艦長は俺を押し退けて怒鳴り付けた。

『残念ですが艦長。貴殿方の腰巾着の伍長が吐いてくれましたよ。あなたの命令で機関部に爆弾を仕掛けたってな!』

「ぐっ…」

どうにも会話がおかしい。

ここにいる連中がテロリストだったとしたら、相手をテロリスト呼ばわりするのは違うだろう。

向こうにしたって、爆発から犯人捕縛までが早すぎる。

どういう事なんだと考えていると、向こうから信じられない言葉が放たれた。

『おとなしく拘束されるならよし。拒否するならその貨客船ごと砲撃する!』

俺は艦長を押し退け、モニターの向こうの奴を怒鳴り付けた。

「おいふざけるなよ!どうして俺まで殺されなきゃならないんだ!?」

『正義のための尊い犠牲だ。そいつらを逃がすわけにはいかない。我々はその連中のせいで、何度も煮え湯を飲まされてきたのだからな!』

「無関係の民間人巻き込んでか。大した正義だな!」

『君のことは大々的に発表させてもらうよ。正義のために自ら犠牲になった民間人としてね。2時間待ってやろう。それまでに決めるんだな』

そういい放つと、そいつは通信を切った。

糞がっ!

あいつの顔をみるかぎり、完全に自分の正義に酔ってやがる!

たしかにこいつらのせいで煮え湯を飲まされてきたのは間違いないのだろう。

だからといって、無関係な人間を巻き込んでいいわけがない。

おそらくこの連中をより悪役にするために、俺を生贄の羊(スケープゴート)にしたのだろう。

自分がより正義の側に立つために。


そしてその悪役にされた連中は、

「おいお前!なんとかしろ!」

「知るか!俺は巻き込まれた被害者だぞ!」

軍人でもない俺に丸投げをしてきやがった。

「今のうちに逃げ出したらどうだ?」

酒を出せとわめいていたやつが、そう提案してきた。

「主砲が狙ってるから、動いたとたんに撃ち抜かれる。よしんば発進出来ても、艦載機が飛んできて撃ち落とされるだけだ」

が、死ぬのが早まるだけだ。

「くそっ!マコーリーの奴め!」

へー。あの正義野郎はマコーリーというのか。

覚えたぞ。


それにしてもどうしよう?

こいつらに、

「観念して捕まったらどうだ?」

と、進言したとしても、

「ふざけるな!エリートである我々があんな一般兵に下ってたまるものか!」

と、返されるだけだろう。

銀河帝国には平民と貴族という階級があるが、我が共和国には貧困と富裕という階級が存在しているのが事実だ。

どうせこいつらは投降なんかしない。

こんな連中のついでに殺されてたまるものか。

2時間ってのは、噴出口(ノズル)の修理にかかる時間だろう。

機関部での爆発はたぶんフェイク。

こいつらの手下が爆破しようとしたのを先に捕縛して、 航行に支障の無い爆破をしたのだろう。

何しろ犯人の捕縛がはやすぎだ。

ともかく、こいつらを無力化することが先決だ。


俺はキッチンに向かってから女に姿を変えると、料理を始めた。

その音に気がついた艦長がキッチンにやってきた。

「おい!なにして…おっ女?!」

「女だって!?」

艦長の声に、女を要求していた奴が即座に反応した。

「おい女。今までどこにいた?」

艦長が銃をかまえる。

その銃の構え方だけで、こいつが優秀な軍人ではないことがよくわかる。

俺は、こいつらが好みそうな味の濃い肉料理の下ごしらえをしながら、質問に答えてやった。

「俺はシュメール人だからな。今まであんたらの目の前にいたよ」

「それで何をしている?」

「飯をつくるんだよ。腹が減ってるといいアイデアも浮かばないだろ?それに、下手をしたら死ぬんだから最後の晩餐だよ。そして、男よりは女の作ったものの方がいいだろ?」

連中に、受付嬢たちのような営業スマイルを向けてやった。

そのおかげもあってか、連中は俺の提案に乗ってきた。

しかし、

「最後になるならお前の身体でも楽しませてもらうからな」

と、言ってきた。

GMSC(ジムシス=Galaxy・Movies・Studio・Colony=ギャラクシー・ムービー・スタジオ・コロニー)の映画じゃあるまいに誰がするか!

それ以前にそういうことを考える関係にすらなってないだろうが!

こいつらは本物のアホだ。


それから約1時間半後。

ビール・赤ワイン・ウィスキー・果実酒を飲みまくり。

ビーフステーキ・ポークソテー・フライドポテト・シュリンプフライ・フィッシュフライ・タルタルソース・酢豚・エビチリ・炒飯・蟹玉・唐揚げなどなど…

貪るままに喰らいつくしてくれた。

睡眠薬入りの酒と食事を。

俺は直ぐ様連中を拘束し、武器をとりあげた。

これで撃沈はされない。

筈だ。

用語解説

GMSC(ジムシス=Galaxy・Movies・Studio・Colony=ギャラクシー・ムービー・スタジオ・コロニー):映画制作のためだけに建設された専用コロニー群。つまりはハ◯ウッド。



多少は誤字が減ったと思います…


ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします


コロナ→☆(゜o(○=(`皿´♯)o



作品とは関係ない話ですが


2020年末4月12日に、

声優の藤原啓治さんが永眠されました。

陽気で子煩悩なお父さんから、

胸糞の悪くなる悪役まで、

幅の広い演技をされる大好きな声優さんでした。

この作品内のキャラクターのセリフを考える時に、

藤原啓治さんの声で想像して制作をしていました。


心よりのご冥福をお祈りいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] コロニー郡→コロニー群…ではないでしょうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ