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File03 惑星ソアクルのフードコート 仕事仲間と依頼人

本日3回目の投稿です。

これ以降はいつ更新するかわかりません。

気まぐれ執筆なので。


4/20 ちょっと修正しました

5/28 ちょっと修正しました

6/6  サブタイトルを改編しました

 船に燃料を入れてから、船内の洗濯機(ランドリー)に洗濯物を放りこむ。

 自分だけとか、長期の乗客フライトならともかく、短期の場合は洗濯機(ランドリー)は回さないようにしている。

 その間に、補給という名の買い出しにいく。

 宇宙港(ポート)には、宇宙生活をする人達のための様々な施設が充実している。

 生鮮食品・日用雑貨・衣服・服飾品・家具・寝具・書籍・娯楽品・医薬品・携帯武器・ジャンクパーツ・小型宇宙船・宇宙船パーツ等が売られている市場(マーケット)

 各種飲食店・各種ブランドショップ・映画館・図書館・スポーツジム・レンタルオフィス・スパ・病院・ホテル・風俗店なども充実している。

 そのなかで、色々な飲食店の集まったフードコートは、貨物輸送業者(トランスポーター)の連中がよく利用している。

 市場(マーケット)で色々補充して船に積み込み、洗濯物をクローゼットにしまった後、フードコートに晩飯を食いにいった。


 このフードコートは、宇宙港(ポート)なら必ずあるため、同業者が集まり、情報交換の場となっている。

 とはいえ、知り合いが居なければ情報交換もなにもない。

 パン付きのミックスグリルのプレートにコーヒーを注文し静かに食事を楽しんでいた。

 が、

「ようショウン。女の姿でいるってことは、ついに俺様のカノジョになるってことだよな?」

 いきなり隣に座ってきた、ガタイのデカイ、革のライダースの上下にリーゼントのこの男はトニー・マードック。

 俺と同業の貨物輸送業者(トランスポーター)だ。

「いやー嬉しいぜ。ついに俺様と一緒にっ!?」

 ふざけたセリフを吐きながら、肩に手を回してくるアホの顎に、短針銃(ニードルガン)をつきつけてやった。

「一緒になんだ?」

「め…飯でも食わねえか?おごるぜ」

「ありがとう。でもおごってくれるのは今度な」

 トニーが手を放したので、短針銃(ニードルガン)を仕舞う。

 護身用なら光線銃(レイ・ガン)熱線銃(ブラスター)でもいいのだが、銃の腕に自信がないので、外した時の被害を考えて短針銃(ニードルガン)にしている。

 これでも殺傷は可能だから、護身には十分だ。

「兄貴。バーガーとコーラ、買ってきたっすよ」

 そこに、トニーと同じように革のライダースの上下に、ソフトモヒカンという髪型の、背の低い少年が、バーガーと飲み物を持ってきた。

「あれ。ショウンさんじゃないっすか!今日は女の子なんすね」

「『月のもの』が来てな」

「そりゃ大変っすね」

 こいつはサムソン・カスタス。

 トニーの子分で相棒。というか、トニーが保護しているというのが正しい。

 トニーが船の運転や整備。サムは仕事の受注や交渉。情報収集や書類仕事をやっている。

 はっきりいって、大人のトニーよりしっかりしているのは間違いない。

「そういえば、スターフライト社のストライキの話、知ってるっすか?」

「そのおかげで金は入ったけど、休みは返上になった」

「そっちじゃなくて、20分前に再開されたほうっす」

 これには俺もトニーも驚いた。

「おいサム。マジな話なのかそれ?」

「はいっす兄貴。なんでも朝のストを解除したのは、客がうるさいからってんで、しぶしぶ動かしたらしいっすよ」

 実はサムは、情報通としてかなりの有名人だ。

 どうやって入手しているかは教えてくれないが、早い上に正確なので、色々な所から勧誘も多いらしい。

 本人は「おいらは兄貴と一心同体っすから」と、すべて断っているらしいが。

「しかも、客船だけじゃなくて貨物関係も数日のうちにストるんじゃないかって話っす」

「つーことはあれか?またタダ働きの強制労働かよ!」

 トニーはサムの情報を聞いて苦い顔をする。

 スターフライト社は、政府主体のライフラインも一部請け負っているのだが、これがなにかしらの原因でストップすると、俺達の様な貨物輸送業者(トランスポーター)が緊急で駆り出される事になる。

 一応報酬はでるが、かなりきついにも関わらず雀の涙なので、有り難くない事この上ない。

 これを回避するためには、長めの依頼でこの辺りを離れておくことだ。

「つーわけでショウンさん。情報料がわりにツーショットお願いしまっす!」

 サムは、目を輝かせながら俺に詰め寄ってくる。

 嫌な予感ありありなので、断ってもいいのだが、今回以外にも情報で世話になっているので無下にもできない。

「1枚だけな」

「あざっす!」

 俺に許可をもらうと、サムは汎用端末(ツール)を取り出し、俺の横に来て自撮りの為に腕をのばす。

 そして撮影の瞬間、俺の胸に思い切り自分の顔を押し付けてきた。

 嫌な予感は当たった。

 トニーはすぐさまサムを捕まえると、拳でこめかみをぐりぐりやりはじめた。

「サムてめえ!なんつー羨ましい事を!」

「痛い痛い痛い!ギブっす兄貴ー!」

 仕事も出来て、明るく、人当たりも良いが、エロガキなのが唯一の問題点だ。


「よう。景気良さそうだな」

「皆様。お久しぶりでございます」

 トニーがサムにお仕置きをしているところに、レゲエと呼ばれるスタイルをした肌の黒い男と、パステルカラーのボディスーツを着た、顔のない女性型アンドロイドがやってきた。

 男の方はチャーリー・レックという商売人兼仲介人(ブローカー)だ。

 一緒にいる顔のない女性型アンドロイドは、チャーリーの所有する秘書のティラナだ。

「まあボチボチだっ!」

「痛い痛い痛い痛い!兄貴!そろそろ勘弁してくださいっす!」

 トニーは力の限り、サムのこめかみを万力のようにぐりぐりしている。

「なんだ?サムの奴はまたセクハラか?まあ、ショウンの奴が女バージョンだからな。無理もねえ」

「このエロガキは誰にでもそうだろう」

 さっきのツーショットがあるため、助けてはやらない。

 こいつのセクハラが俺のせいだなどと冗談じゃない。

「んなこたねえよ。コイツは人を見てやってんだ。お前はこいつがガキだから大目に見てる。ティラナは元々が愛玩用人造人間(セクサロイド)だから気にしねえ。だが、ササラやレズ集団なんかのおっかないのには絶対やらねえからな」

 トニーは子分の性格を熟知しているためか容赦がない。

「トニー様。サム様の顔色が青くなってますが…」

 ティラナがサムの様子を見て、状況を報告する。

「あ、やべえ」

 トニーはサムの様子をみて、流石に不味いと思って解放する。

 サムのぐったりした様子に、ティラナが抱き抱えると、

「大丈夫ですか?」

「だ…だめかもー♪」

 しっかりその胸に顔を押し当てていた。


 このティラナは、トニーが言った様に元々は安物の愛玩用人造人間(セクサロイド)だ。

 そのため、事をいたすための胴体はバイオ体で、肘と膝の先と頭が機械体になっている。

 特に頭は、耳の部分にヘッドフォン状のパーツがあるのと、鼻を中心とした顔の凹凸(おうとつ)があるだけで、眉・目・鼻の穴・口がなく、つるんとしている。

 いわゆるのっぺらぼうというやつだ。

 チャーリーは、その彼女の電子頭脳を最高級のものにグレードアップさせ、秘書として使っている。

 その学習能力の高さからか、真面目で有能な上に、のっぺらぼうであるにも関わらず、実に表情豊かだ。

 電子頭脳以外を全部バイオ体にしたらどうかと、何人かで進言したことがあるが、

「そんなことしたら(かどわ)かされるじゃねえか!」

 の、一言で却下された。


「それで、今日は何の用だ?」

 プレートはすっかり食べ終わり、残りのコーヒーを飲みながら、やって来た理由を聞いた。

「実は明後日の朝一番で、惑星ビーテンツまで荷物をたのみたい。俺達も一緒にな」

 チャーリーはコーラを飲みながら、仕事の話をしてきた。

 最初はビールを頼もうとしたが、ティラナに止められて仕方なくコーラにした。

「わりぃが、俺達は明日の一番で逆方向だ」

「惑星ダナークズにペットフードのコンテナっす」

 トニーとサムは自分のスケジュールを伝えてチャーリーの依頼を断る。

 すると、チャーリーは当然俺を見る

「本当なら2、3日休みたいが、強制労働がくる可能性があるなら離れた方がいいが、積み荷によるな」

 はっきりいって、強制労働をするより依頼を受けた方が楽なので、受ける気は満々だ。

「ビーテンツの公共施設に入れる事務用品の色々を60t分だ。報酬は俺達の分も含めて20万クレジットでどうだ?」

「それならOKだ。銀河貨物輸送業者組合(ギャラクシートランスポーターギルド)にはきちんと通しておけよ」

「わかってるよ。助かるぜ」

「ありがとうございますショウン様」

 ティラナが丁寧にお礼を言ってくる。

 顔が無いにも関わらず、嬉しそうなのが伝わってくる。

 その時、ふと先月の頭のことを思い出した。

「でもこの前、安い連中を見つけたっていってなかったか?」

「ありゃだめだ!大損こかされた!」

 かなり不愉快な思いをしたのか、コーラのカップをテーブルに叩きつけた。

「なんて連中なんだ?」

「チーム・ブラナンと言う、貨物輸送業者(トランスポーター)です」

「「「あー」」」

 ティラナの答えに、貨物輸送業者(おれをふくめた)3人が声を揃えた。

「そいつらも貨客船持ちだったんだが、遅配(おくれる)誤配(まちがえる)欠損(こわす)欠品(なくなる)は当たり前な連中だったんだ!最初は料金も安いから大目に見てやってたが、最終的に大赤字だこん畜生!」

「皆さん御存知だったのですね」

 憤るチャーリーと違い、ティラナは冷静だった。

「当たり前っす。そいつら、依頼人に対する態度が悪い上に、乗客の女性や依頼人の女性にまで手を出してたみたいっす。俺だってお客さんにそんな失礼なことはしないっすよ」

 ティラナの問いに。サムは得意そうに答えるが

「してたら今頃お前はボーイズバー行きだ」

「俺は!絶対!お客さんに失礼なことはしないっす!」

 トニーの一言に、サムは気を付けの姿勢で返事をする。

 サムは、ソフトモヒカンをやめればなかなかにかわいい顔をしているため、そういう趣味の連中から人気があるらしい。

 俺と同じシュメール人かとおもったが、そうではないのは確認済みだ。

「で、組合ではどっかの交通企業の業務妨害と判断して除名したのが今月のなかば。組合史上最速だったらしい」

 俺はコーヒーを飲み干すと、汎用端末(ツール)を取り出して予定を書き込んだ。

「そんなのによく仕事たのんだな?」

「私が定期メンテナンス中だったんです」

「「「なるほど」」」

 また貨物輸送業者(どうぎょうしゃ)3人の声が揃った。


 こうして食事と情報交換と仕事の受注がおわると、後は船に帰って寝るだけだ。

 願わくは、休みの間に強制労働が発令しないことを祈るだけだ。


キャラクターの年齢はこんな感じです。

(登場順)


ショウン・ライアット:22歳

ササラ:永遠の17歳

オルバート・カルザン:48歳

ロベリア・レナル:34歳

デニス:23歳

コビー:36歳

テバル・ウィグルズ:21歳

フッティ・ オルグド・ポールダル:24歳

エルゼリア・コールマン:45歳

ロナ:24歳

トニー・マードック:28歳

サムソン・カスタス:11歳

チャーリー・レック:35歳

ティラナ:5歳


だいたいな感じです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 愉快な雑談が楽しいです。3部目で10人以上の登場人物を出せるのは想像力豊かなんだなと思いました。 [一言] 他の作品も見てみたくなりました。大変、勉強になります。
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