File26 惑星リーシオのお祭り④ クズの取る行動は種族を問わない
なんとか書きあがりました
ポングは、狂喜に満ちた表情で襲いかかってきた。
ドラコニアル人特有の優れた身体能力を使い、恐らく俺の首を掴み取り、折られたくなければ契約書にサインをしろとでも言うのだろう。
しかし、その動きは素人丸出しだった。
俺はポングの腕を掴み取り、そのまま身体を回転させてぶん投げる、いわゆる背負い投げで床にたたきつけると、そのまま腕を取って関節を極め、足でポングの首を踏む。
これなら、相手がドラコニアル人といえど、首の骨くらいは折れるだろう。
そうしてすぐに取り巻きを睨み付けると、やっぱり懐から銃を、恐らく光線銃、を取り出そうとしていた。
因みにこの会場は武器の持ち込みは禁止だ。
「動くな!動いたらこいつの首をへし折る」
俺は足に力を入れ、掴んでいるポングの腕を軋ませる。
「動くなっ!お前らっ!絶対に動くなよっ!」
ポングは情けない声をだしながら、取り巻きに命令する。
命令通り、取り巻き達は動きを止める。
「そのまま警官が来るまでおとなしくしてるんだな」
しかし、取り巻き達はポングの命令を無視し、懐から銃を取り出すと、
「知るか!そんな奴助ける義理なんかあるわけねえだろうが!」
こちらに向けて発砲してきた。
俺は直ぐに飛び退いたが、床に転がされていたポングはよけれず、俺につかまれていた腕に、レーザーが当たってしまった。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!痛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
ポングは物凄い悲鳴をあげる。
とはいえ、傷の方はかすり傷ていどで、命に別状はなさそうだ。
同時に、ポングは人質にならないことがわかった。
幸い、俺が居たところが建物の壁に近いところだったこともあってか、誰も被弾することはなかった。
それを見た周りの人達は、直ぐ様その場から飛び退き、会場の外へ逃げ出していった。
もちろん姉ちゃん達も、じいちゃん夫妻やリチェリーナさん。社員さん達を連れて、会場の外へ向かってくれた。
とにかく接近して、叩きのめすのが先決。
そのために移動しようとしたとき、
「たっ助けてくれっ!金ならいくらでも出すっ!」
ポングが、よりによって俺の腰にしがみついてきやがった。
「離せ!助けてほしければ離せ!」
「嫌だぁ!離れないでくれぇっ!」
何とかして引き剥がそうとするが、ドラコニアル人の怪力でなかなか振りほどけない。
それを見た取り巻き達は、にんまりと笑いながら俺に視線を向けてくる。
そして連中が銃を俺に向けた瞬間、取り巻きの1人がうめき声をあげて床に倒れた。
「よう!待たせたな!糞野郎の逮捕状発行に時間かかってよ!」
その倒れた取り巻きの頭を踏みつけたのは、愛用の長い電磁警棒を構えたティナ姉ちゃんだった。
取り巻き達はそちらに銃を向けようとするが、いつのまにか接近していた警官隊によって、床に倒されて拘束されていった。
もちろんポングの奴も、元凶として拘束されるわけだが、
「離せ!おい警官!俺はションクス家の当主だぞ!このヒューマンの女が俺をいきなり投げ飛ばしたんだ!この俺がせっかく情婦にしてやろうと思ったのに!それとそいつらが勝手に銃を発砲したんだ!俺はなにもしていない!」
拘束されたままな癖に、かなり強気な台詞を吐いている。
しかも、助けてくれとすがり付いた相手すら罵倒するのかこいつ。
取り巻きの行動はともかく、俺が投げ飛ばしたのは正当防衛だ。
すると、茶色の鱗を持ったドラコニアル人の男が近寄ってきた。
そして汎用端末から投影された立体映像書類を見せつける。
「ポング・ションクス。お前には765の脱税と、573の恐喝と、401の窃盗と、168の誘拐と、634の強盗と、810の性的暴行と、数えるのもバカらしくなるくらいの暴行傷害と殺人の主犯として逮捕状がでている」
その男は自分の鱗の色と同じようなよれよれのトレンチコートを着ていた。
しかしながらその眼光は鋭く、ただ者ではない雰囲気をだしていた。
「知らん!全部濡れ衣だ!」
「残念だが全て証拠は揃っている。それにお前のお友達や親しいおじさん達も全て捕縛済みだ。残念だったな。もうお前の罪をもみ消してくれる奴はいない」
その言葉を聞いたポングは、真っ青な顔をしてその場に崩れ落ちた。
茶色の鱗の男は、ポングの腕に手錠をかけると、
「ご協力感謝します。では」
敬礼をし、迅速に会場からさっていった。
「これで、ションクス家は終わりだな…」
連行されていくポング達を見ながら、ティナ姉ちゃんがぼそりと呟いた。
「たすかったよティナ姉ちゃん」
俺は軽くほこりをはたきながら、ティナ姉ちゃんにお礼をいった。
さすがにあの状況で銃をむけられては、手も足も出せなかった。
もし射たれていたら、怪我どころではなかっただろう。
「じゃあお礼に卵焼き5本な♪」
「…はいはい。ネギ入りでも挽き肉入りでも小海老入りでも鰻入りでも、何でも作ってあげるよ」
「よっし!逮捕状貰う時に、鬱陶しい親父どもの長話を我慢したかいがあったぜ!あ、1つはプレーンにしろよ!」
ティナ姉ちゃんのその嬉しそうな笑顔に、今回の大規模代替輸送依頼を引き起こしたスターフライト社に、ちょっぴり感謝をしたのは秘密にしておこう。
視点変換 ◇茶色の鱗の男◇
「もしもし。私です。ポング・ションクス、及び関係者・協力者の全員の逮捕に成功しました」
『…はい。ありがとうございます。これでションクス家は壊滅。私達にとってのがん細胞は排除できましたね』
「長い間はびこっていましたからな。あの連中は…」
『今回の事でいろんなところにご迷惑をかけてしまって…』
「あなたが謝ることはありません。怠惰を咎められるべきはGCPOです。今回の成果は地元警察による地道な捜査の賜物ですよ」
『…いえいえ。私はお飾りみたいなものですから…』
「ともかく、これで心置きなく新華祭が楽しめますな」
『はい。それに今回は良いこともありましたしね。本当に偶然でしたが』
「『宝珠煮卵』ですかな?作成者はドラッケンの関係者で貨物輸送業者。今回の功労者でシュメール人のショウン・ライアットくんでしたな」
『レストランや食料品店を探し回っても見つからないわけです。あの船の中で食べた時は、叫びそうになったのを必死でこらえましたよ…』
「私ももらっておけば良かったですな♪」
ガチャ
『姉上。またお客が…と、失礼』
「お忙しそうですな」
『いえ、失礼しました』
「では、私はそろそろ」
『はい。では、よろしくお願いいたします』
「では失礼します。フィナ・ヴルヴィア惑星リーシオ評議員補佐官殿…」
視点終了
ブックマークが400件を越えていました…
本当にお読みいただきありがとうございます!
ひねり出すのに苦労しているので、不定期になってしまうのは申し訳ございません。
最近誤字報告の多さに自分でガックリしています
ちなみにポング・ションクスは超無能のマジクズなので、身内からも嫌われています。(# ゜Д゜)
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします




