File24 惑星リーシオのお祭り② 自分の役割
今回は早めに出来上がりました。
バレンタインデーまでは22件だったブックマークが、14日ほどで170件を越えていたので何事かと思ってチェックしたら、日間ランキングで2位になってました…。
ナンデェェェ?!
ともかく、御拝読ありがとうございます。
『大変です!『持ち寄り』の品が失くなってしまいました!』
その一報が入ったのは、ばあちゃんリクエストのだし巻き玉子を、目の前で作っていた時だった。
『本社の倉庫に置いてあった惑星ヤルマドの化粧餅が、今朝確認したところ、全て跡形もなくきえてしまっていて…』
「保管場所を間違えたとかではないのだな?」
『はい。間違いありません!』
立体映像電話で、会社の人から連絡を受けたエドガーおじさんは、かなり焦った様子で頭を抱えていた。
『持ち寄り』は、各個人各家さまざまにお土産を『持ち寄り』その食べ比べをするのという趣旨で実行される。
しかし本当の趣旨は、持ち寄ったものを振る舞うことで『今年も仲良くしましょうね』という意思表示のためで、これを用意しないということは、『お前達と仲良くなるつもりはない!』と言っているのと同じことになるらしい。
「とにかく品物をさがせ。それと、従業員全員の所在を確認して集合させろ!だが他の家に気取られるなよ!警察にもその辺りを説明しておいてくれ。私もすぐにそちらへ行く」
「お父様、私も」
エドガーおじさんは報告して来た社員の人に指示をすると、朝食もそこそこに屋敷を出ていき、サラ姉ちゃんもそれに続いた。
「ようし!薄汚いこそ泥野郎を必ず探しだしてふん縛ってやる!」
ティナ姉ちゃんは、残りの朝食を一気に平らげると、汎用端末を取り出して連絡を始めながら出ていってしまった。
そしてその場に残ったのは、じいちゃんとばあちゃんとリチェリーナさんとマヤ姉ちゃんと俺の5人だった。
本音を言えば、俺もすぐにでも捜査に参加したかったが、ばあちゃんのだし巻き玉子を仕上げる方が先決だ。
「はい。リクエストのだし巻き玉子」
「まあ、美味しそう♪」
もちろんドラコニアル人用の大振りサイズだ。
「ショウンちゃん!次私のね!」
「お母様ずるい!次私!」
リチェリーナさんとマヤ姉ちゃんが、目をキラキラさせながら、卵焼き用の四角くて大きめのフライパンを凝視している。
ちなみに、会社経営から一線を退いているじいちゃんとばあちゃんはともかく、リチェリーナさんとマヤ姉ちゃんがのんびりしているのは、きちんと自分の役割をわかっているからだ。
エドガーおじさん・サラ姉ちゃん・ティナ姉ちゃんが攻撃部隊とすると、リチェリーナさんとマヤ姉ちゃんは防衛部隊。
混乱の隙を突かれないために、しっかりと本丸に陣取っているのだ。
俺は卵を割りながら、じいちゃんに声をかける。
「なあじいちゃん。前みたいに時間稼ぎにしかならないとおもうけど、俺の作り置きでいいなら提供するよ。追加も作るし」
実は6年ほど前、俺のじいさん=祖父が存命だった頃にもこの祭を見物にきた事がある。
その時にも同じようなトラブルがあった。
今回のような窃盗ではなく、純粋な向こうの配達遅延だったが。
その時は俺が作っていた煮卵を『持ち寄り』にして、本命が届くまでの時間稼ぎをしたのだ。
「…そうじゃな。頼めるかショウン」
「任しといてくれ」
そう言いながら、俺は卵の入ったボウルに出汁をいれ、卵を撹拌し始めた。
朝食が終わったら、食材集め開始だ!
視点変換 ◇サラフィニア・ドラッケン◇
今回の事件…。
実行犯はまだわからないけれど、黒幕は予測できる。
あいつだ。
歴史ある名家ということに胡座をかき、横暴と傲慢を繰り返し、マフィア同然、いやマフィア以下のカスに成り下がったションクス家の連中に間違いない。
その当主であるポング・ションクスは、歴代のションクス家当主のなかでも、稀代の無能といわれている。
先代まではちゃんと商取引をしていた相手に対して、暴力による一方的な搾取を実行する。
自分達の拠点がある星の住人から、保護料と称する略奪を行い、払わなければ暴力を差し向ける。
ションクス家の側にいた一家に対して、忠誠の証を見せろといって人質(若い女性)を無理矢理取っていったりと、
自分の足下をないがしろにする行為を平然とおこなったことが、稀代の無能といわれている原因だ。
そして奴は、私や妹達に対して、『自分の情婦になれ』と、ぬかしてきたのだ。
あの時、私が顔にビンタ・マヤが脛を蹴り・ティナが腹に前蹴りを食らわせたけれど、それだけで済まさずに、手足の2~3本へし折っておけば良かった。
とはいえ証拠がない。
まずは監視カメラの映像からかしらね…。
なんとしても『持ち寄り』の品物を取り返さないと。
でも…以前の事もあるし、ちょっと期待したいわね♪
視点変換 ◇ティナロッサ・ドラッケン◇
『持ち寄り』の化粧餅が失くなってから20時間。
俺とその部下達は、ようやく実行犯を追い込んだ。
実行犯はうちの警備員の一人だった。
「てめえ…よくも裏切ってくれたなあ!」
路地裏に、部下と一緒に犯人を追い詰め、顔面を思い切りぶん殴ってやる。
犯人はガシャン!と金網にぶつかって倒れこんだ。
現場の話だと、真面目で嫁バカ・娘バカって話だった。
勤務状態も良好、ふざけた上役もいない。
そんな奴がどうしてこんな真似をしたのか、それが不思議だった。
そいつは、ぐったりとしたまま俺達を見つめ、
「し…仕方なかったんだ…」
そう答えた。
「何がしかたないってんだよ!」
その答えに腹が立った俺は、そいつの襟首を掴み上げた。
「家族を人質に取られたんだ!」
「!」
男の悲鳴にも似た言葉に、俺は襟首を掴んだ手を離した。
「協力しないと家族を殺す。帰してやるのは新華祭が終わってからだと…」
「証拠は?」
「これです…」
男の汎用端末には、家族である妻と娘が縛られている画像があった。
「嘘や狂言じゃあねえみてえだな。誰に命令された?」
「直接には黒いスーツのヒューマンの男だった。でも間違いなくションクスの連中だ。そいつが乗り込んだ車に見覚えがあったんだ」
それを聞いた瞬間、俺は頭に血が登るのがわかった。
以前に姉2人と買い物に行った時に絡んできたクソ野郎の面が浮かんできたからだ。
俺達3人の前に立ちはだかると開口一番、
『お前達がドラッケンの三姉妹か。よし。全員俺の情婦にしてやる。この俺の情婦になれるんだありがたいと思え。ほら、ついてこい。一人ずつ可愛がってやる』
と、抜かしやがったので、
サラ姉ちゃんが顔にビンタ。
マヤ姉ちゃんが脛に爪先蹴り。
俺は腹に前蹴りを食らわせてやった。
今にして思えば、あの時尻尾の4~5本引きちぎってやればよかったぜ!
ともかく、こうなったらこの家族が監禁されているところを見つけ出さねえとな!
せっかくあのクソ野郎をムショにぶちこめるチャンスなんだからな!
視点終了
化粧餅は福井県の羽二重餅をイメージしてます。
ショウンの卵焼きは、テリー伊藤さんのご実家の○武の卵焼きをイメージしてます。
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誤字報告ありがとうございました




