File23 惑星リーシオのお祭り① 嬉しい再会
更新が遅くなって申し訳ありませんでした。
惑星オルランゲアを出発してから5日。
そのあいだ、どういうつもりかはしらないが、フィナ嬢とメイドが料理を教えてほしいといってきた。
まあ、暇潰しにはなるし、作りおきを増やしておくためにも引き受けることにし、5日間でかなりの量の作りおきの作成や、料理を教えることが出来た。
それ以外は一切の問題なく、スムーズに惑星リーシオに到着した。
惑星リーシオの宇宙港は、まだ本番前だというのに祭一色だった。
至るところに、祭事の時にかざる赤地に黄色の文字を書いた旗が飾られ、三角の旗がついた紐がはりめぐらされたり、なぜか真っ赤な絨毯が敷かれていたりと、周りじゅう赤と黄色ばかりだった。
それでも宇宙港としては機能しており、到着後すぐに、荷物は回収されていった。
そうして、カリス氏から依頼証明をもらうと、俺の仕事の1つが終わった。
あとはカウンターにチェックにいき、報酬をうけとるだけだ。
しかし、そこである事件が起こった。
それを予知出来なかったのは、俺の油断に他ならない。
「ショウン~♪」
「サラ姉ちゃん?」
そう。
ドラコニアル人の主星でのお祭りとなれば、ドラッケン一家がいないはずはないのだ。
「スターフライト社のストライキの情報が入った時点で来ると思ってたわ~♪あ、お爺様とマヤとティナも来ているけどいまはお仕事中」
「つーかなんで貨物配達受付に居るんだよ?」
惑星リーシオに来ているのはともかく、貨物配達受付に来ているのは予測が出来なかった。
「ショウンに会いにいこうとして停泊地に行こうとしたら、搬入で忙しいから入るなって言われたからよ」
不満そうな表情を浮かべるが、それがいちいち無駄に色っぽいのが悩ましいところだ。
「いまの停泊地は戦場なんだから無関係の人間が入れるわけないだろ。それで何の用?」
「なによ~お姉ちゃんがせっかく会いに来たのに~」
普段から忙しいサラ姉ちゃんがやってくるから、なにか大変な事態でも起こったかとおもったが、そうでもないらしい。
「とりあえず先に事務処理をさせてくれ」
これをやっておかないと、雀の涙ほどとはいえ、報酬が貰えない。
カウンターで終了の報告をし、乗客からの依頼証明を渡すと、ようやく報酬が支払われる。
代替輸送より、乗客を乗せた分の方が高額なのは気にしてはいけない。
さらには、全ての代替輸送は終了したとの報告が告げられ、ようやく安堵のため息がつけるようになった。
そうしていざ船に戻ろうとすると、サラ姉ちゃんが腕を組んできた。
「恥ずかしいから止めてくれよ」
「何よ~こんなに美人なお姉ちゃんと腕が組めてるのにぃ♪」
「俺は針のむしろだよ」
サラ姉ちゃんに憧れたり、御近づきになりたいと思っている連中はいっぱいいる。
特にドラコニアル人にはそういう連中が多い。
そのドラコニアル人が多い惑星リーシオで、俺を赤ん坊の頃から知っているとはいえ、ヒューマノイドの俺がサラ姉ちゃんと腕を組んでいたりすると、妬みの視線が飛んでくるわけだ。
そんなことは気にも留めず、サラ姉ちゃんは腕を絡めてくる。
「このあとどうするの?」
「代替輸送の荷物はもうないみたいだから、一晩泊まってから手近な惑星に行って仕事をうけるよ」
「新華祭を見ていけばいいのに…。じゃあせめて今晩はドラッケン本家に泊まりなさいよ」
俺の返答に不満そうな表情を浮かべる。
「ドラッケンのお屋敷かあ、5年前にいったきりだし…わかった。お邪魔するよ」
他種族でありながらも、家族同然に接してくれるドラッケンの人達には感謝してもしきれない。
「じゃあ決まりね!お婆様達喜ぶわ!」
サラ姉ちゃんは嬉しそうに、眩しくなるくらいの大輪の笑顔を浮かべた。
宇宙港から惑星上に降りるための軌道エレベーターにむかったところ、
「ライアットさん!」
「あ、ヴルヴィアさん」
フィナ・ヴルヴィアを始めとした一行にでくわした。
まあ、新華祭の為に戻ってきたのだから、鉢合わせしてもおかしいことではない。
「あら、フィナじゃない!カリスも!」
「サラさん!お久しぶりです!」
「ど、どうも…」
だが、サラ姉ちゃんと知り合いらしいというのは初耳だ。
というかそんな話をお客さんとするわけがない。
さらに、カリス氏は知り合いというだけではないらしい。
「知り合いだったの?」
「学生時代からの友人よ。でもなんでショウンがフィナ達を知ってるの」
「さっき乗せてきたんだよ」
知り合いなのは間違いないようで、驚いているのは向こうも同じらしい。
「サラさんの知り合いなの?」
「ショウンの子供のころから知ってるわ」
「ドラッケンの一家なの?」
「本当はなってほしいんだけど、貨物配達業者をやるんだって」
「じゃあフリーなんだ」
フィナ嬢は、ちらちらと俺を見ながら、サラ姉ちゃんに質問をしていく。
そしていきなり俺の手を取り、
「ショウンさん。ヴルヴィア一家。いえ、私の専属料理人になってくださいませんか?」
と、言ってきたので、
「お断りします」
「間髪いれずに?」
即座にお断りした。
その俺の容赦ない返答に、フィナ嬢は唖然としていた。
「無駄よ。私達が何年勧誘してても断られてるし、リキュキエル・エンタープライズのお嬢ちゃんからもアプローチされてるけど、それも断ってるし」
俺が中学校に通っていたころから勧誘していたサラ姉ちゃんが、諦めの表情でフィナ嬢に説明する。
「俺の料理は運航時の時間潰し兼単なる趣味。本業は貨物配達業者なの」
「残念です…あのオムライスや卵焼きや煮卵がもう食べられないなんて…」
「諦めなさい。私達だって滅多に食べられないんだから。でもまあ。私はお願いしたら作って貰えるけどね♪」
「羨ましいです…」
俺の発言は無視して、2人で色々盛り上がってしまっていた。
その様子を呆れながら見ていた俺を、カリス氏が睨み付けてきた。
あれは、自分の姉に近づくのを警戒しているのか、それとも…な、感じだ。
その状況がしばらく続いたあと、ようやく別れることになった。
ドラッケン一族の本拠地ともいえるこの屋敷は、下手な政府庁舎よりも巨大だ。
それでいて、金持ちに有りがちなごてごてとした雰囲気はなく、どちらかと言えば、砦か要塞のような質実剛健な雰囲気だ。
実際のところ、そういう用途も備えてあるのだろう。
子供のころは、両親・祖父と一緒に何度もやって来ていたものだが、ここ5年ほどは足を向けていなかった。
「変わってないな…」
久しぶりに見たドラッケン本宅の内装に、懐かしさを感じていたところに、近づいてくる人影があった。
その人影は、
「よくきたなショウン。お前の爺さんの葬儀の時以来か」
ドラッケングループ現・総帥エドガー・ドラッケンは、ドラコニアル人のなかでも珍しい銀の鱗を持っているダンディなイケオジだ。
「お義父様やサラ達に聞いてはいたけれど、元気そうでよかったわ。身体の方は大丈夫?お見舞いに行けなくてごめんなさいね」
そしてその妻で副総帥のリチェリーナ・ドラッケンはさらに珍しい金の鱗を持っていて、三姉妹の母親らしい美貌も備えている。
「エドガーおじさん、リチェリーナさん。お久しぶりです」
夫婦共々やり手の経営者であり、リチェリーナさんにいたっては、防衛軍の少佐で訓練教官という経歴の持ち主だ。
ちなみに『リチェリーナおばさん』と呼ぶと、ものすごい笑顔で『OHANASI』をしてくる。
まあ実際のところは、予備知識がなければ、娘3人と並んでいると、4人姉妹に見えてしまうほどだ。
そこに、サラ姉ちゃんが車椅子を押してやってきた。
その車椅子に乗っていたのは、
「久しぶりねショウン」
「ばあちゃん!」
俺は思わず駆け寄ってハグをしてしまった。
「元気そうでよかったわ。入院したときに立体映像電話で話した時以来ね」
「ばあちゃんも元気そうで嬉しいよ♪」
ばあちゃんことテレジア・ドラッケンは、黄色の鱗をもった、実に品の良い、年齢を感じさせない老婦人、いわゆる美婆というやつだ。
脚を悪くしてからは、自宅で悠々自適な生活をしているが、時々銀行や証券ファンドの相談役をやっているらしい。
本当はじいちゃんと一緒に船に乗りたいのかもしれない。
「入院した時に直接お見舞いに行きたかったのだけど、クロイドったら『お前の足が余計悪くなったら、ショウンが悲しむぞ』って行かせてくれなかったのよ。この車椅子だって必要ないのに、どうしても乗れって聞かなくて…」
ばあちゃんは本気でため息をついているが、じいちゃんとは未だにラブラブだ。
そこに、サラ姉ちゃんがさっと入ってきて、
「お婆様。今日はショウンが夕食を振る舞ってくれるそうですよ」
自分の願望をさらっとばあちゃんに報告した。
その報告を聞いたばあちゃんは、一気に眩しいまでの笑顔を浮かべた。
「あら♪それなら芙蓉蛋(ふようたん=中華風オムレツ)がいいわ♪蟹と海老とお肉とお野菜と…あとはなにがいいかしら?」
元々作るつもりではあったが、こんなに喜んでくれるなら、暇潰し程度の腕ではあるが、ふるいがいがあるというものだ。
その日の夕食は、実に作るのが大変だったが、
実に楽しいものだった。
なぜかお客さんとして、フィナとカリス(おまけにマリエラ)も参加していたが…
そしてその翌朝。
とんでもない一報が飛び込んできた。
「大変です!『持ち寄り』の品が失くなってしまいました!」
表現に色々苦しんだ結果遅くなってしまいました。
元々更新は不定期なので、期待せずにお願いいたします
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします




