File22 惑星オルランゲアからの大規模代替輸送依頼② 貨客船でのおもてなし?
遅くなりました
リアルで多忙だったのと、ちょっとモチベーションが上がらなかったためです
申し訳ありませんでした
出発してから、銀河標準時で4時間が経過した。
俺は読んでいた立体映像書籍を閉じると、操縦室から出ることにした。
お客と自分に、夕食を提供するためだ。
1度だけ、トイレにいきがてら、お茶とお茶請け(チョコチップ入りパウンドケーキ)を出しておいたが、彼らはじいちゃんやドラッケン三姉妹と同じドラコニアル人。
あれぐらいで胃袋が膨れたりはしないだろうから、夕食は多めに作った方がいいだろう。
そう思いながら、お客の3人に話しかける。
「あの…いまから夕食つくりますが、なにか食べられない物とかありますか?」
話す内容は食事のメニューだ。
ドラコニアル人だから大抵は大丈夫だろうが、5日もいるのだからそのあたりは聞いておいた方がいいだろう。
「それは大丈夫です。あの…キッチンを見せていただいてよろしいですか?」
お客の姉・フィナ嬢が、キッチンを見たいと言い出した。
実はこういう客はたまにいる。
まあ、船のキッチンなんかなかなか入らないだろうし、わからなくもない。
「どうぞ」
なので、キッチンに案内する。
「貨客船のキッチンにしては立派なのですね」
「料理は長期フライトの時間潰しになるんですよ」
普通はこのサイズの船なら、簡単な煮炊きができるくらいの給湯室みたいなのがあるくらいなのだが、俺は船が広くなったのを幸いに、ちょっとした町の食堂の厨房並みの広さと設備を整えてみたりした。
とはいえ、設置した翌日に、嬉しくなって作りおきなんかを山ほど作って置き場に困ったのだけは反省している。
フィナ嬢は物珍しそうにキッチンをみまわしている。
その彼女を放置しつつ、夕食作りを開始した。
野菜を切ったり、卵を割ったり、鶏肉を炒めたりしているのを、なぜかフィナ嬢がガン見をしてくる。
ドラコニアル人だから料理に関心があるのはわかるが、ずっと見つめられるとどうしても緊張してしまう。
そうして苦労して作り上げたのは、
ドラコニアル人用に、40㎝ほどある楕円形の皿に盛り付けた超大盛りサイズの、オムレツをのせるタイプのオムライス、具入りデミグラスソース掛け。
山盛りのエビフライ・オニオンフライ・ポテトフライ。
フレンチドレッシングセパレート(白くない酢と油と塩・胡椒だけのやつ)をかけた、ボウルサイズのコールスローサラダ。
そして作りおきしておいたパンナコッタだ。
「うむ。なかなかいけるな♪量も我々に合わせてくれているのが有りがたい」
カリス氏は育ちがいいのか、ペースは早いが、食べ方は丁寧だ。
「美味しいです!このデミグラスソースは最高です!乗せられたオムレツがぷるぷるです!エビのフライもぷりっぷりで素晴らしいです!」
メイドのマリエラ嬢は、オムライスを食べてはエビフライ。オムライスを食べてはオニオンフライ。オムライスを食べてはポテトフライ。そしてコールスローサラダというローテーションを繰り返していた。
「ほれ、ほんほうにおいひひでふ♪ヒンフルだからこほ、こははひのきかかいほひひさ、ふくっはひほほうへのひょははわかひはふ!(これ、本当に美味しいです♪シンプルだからこそ、誤魔化しの利かない美味しさ、作った人の腕の良さがわかります!)」
特にフィナ嬢は、口いっぱいにオムライスを頬張り、眼をキラキラさせながらスプーンを口に運んでいた。
いた。
反応を見る限り、どうやら3人とも気に入ってもらえたようだ。
「姉上…ちゃんと飲み込んでから喋って下さい…」
まあ、姉のはしたない姿に、カリス氏は頭を抱えていたが…。
夕食後。
マリエラ嬢が後片付けを手伝うといってきた。
メイドの彼女からすると、なにもしないのは何となく落ち着かないらしく、俺がコックピットに居る間に、船内の掃除もやっていたらしい。
流石にキッチンやバスルームには入らなかったらしいが。
それが終われば、次は風呂だ。
シャワーではなく、バスタブのある晋蓬皇国方式のバスルームだ。
ヴォルダルで泊まった晋蓬皇国風の旅館のバスルームを気に入って設置したのだ。
流石にこれには驚き、女性2人が嬉しそうにしていた。
が、それ以上に気に入っていたのがカリス氏だった。
何しろ外に聞こえるくらいの音で鼻歌を歌っていたくらいだ。
そして銀河標準時も遅くなると、客室に入ってもらうことになる。
この客室のベッドは俺の部屋に設置してあるのと同じものだ。
普通は主人の2人が部屋に、使用人のマリエラ嬢がカウチが普通だが、カリス氏は自分がソファーに寝て、使用人のマリエラ嬢を部屋で寝かせるらしい。
以前、同じように使用人をつれた金持ちを乗せたことがあるが、かなり横柄でムカつく奴だったのをおもいだす。
『シュメール人だったら女の姿でいろ!』と、怒鳴り散らし、女の姿になったらなったでセクハラ三昧。
使用人にも、怒鳴る。物をぶつけるとやりたい放題。
使用人が後ろを向く寸前に物凄い表情をしていたのを覚えている。
それと比較すれば、マリエラ嬢がにこやかなのは、ヴルヴィア家は良い雇い主ということだ。
こうして、大きな問題がおこることなく。
初日の夜は過ぎていった。
視点変換 ◇フィナ・ヴルヴィア◇
今年も私達ドラコニアル人にとって大きな祭事の1つである、新華祭の季節がやってきました。
このお祭りは、一族郎党全員が集まり、その年に成人を迎えた者を祝福し、その成長をたしかめるお祭りです。
このお祭りの目玉は、その年に成人した者だけで行う武術トーナメントです。
希望制で、出場資格は成人したドラコニアル人だけです。
私も30年ほど前に出場し、ベスト4にはいりました。
そしてこのお祭りにはもう1つの目玉があります。
それは『持ち寄り』です。
各個人各家さまざまにお土産を『持ち寄り』その食べ比べをするのです。
食べ比べといっても勝敗を決めるものではないため、毎年同じものを持ってきている方や、逆に毎年違う物をもってきている方もいます。
私達も、そのための品物は用意してあります。
今回、いきなりのストライキで大変に焦ってしまいましたが、そのお陰でこのような素晴らしいお料理と料理人に出会うことができたのですから、感謝しなければいけません。
最初のオムライスから始まり、出された食事やお菓子は本当に素晴らしいものばかりでした。
御本人は普通だと仰っていましたが、そんなことはありません。
私達ドラコニアル人の舌をこれだけ満足させる料理がつくれるなら、一流の料理人を名乗っても全く問題ありません。
貨物配達業者をしているのが残念でなりません。
ですが、貨物配達業者をしていたからこそ、いままで誰にもスカウトされていなかったともいえます。
彼をどうにかして引き抜いて、我が家の御抱え料理人に出来ないでしょうか?
カリスから聞いた話だと、彼はシュメール人、色仕掛け的なものは通用しません。
どうにかして信頼を得て、検討くらいはしてもらえるようになりたいものです。
視点終了
サイズは違いますが、オムライス・オニオンフライ・コールスローサラダは実際に制作しました
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