File19 惑星オルランゲアのフードコート② 重要な情報に対価は必要
お待たせいたしました
「今日は実にラッキーだ。美しい華に二輪同時に出逢えるなんてな」
その影は、俺とキャシーの間に入り込んでくると、両方の肩に素早く手を回してきた。
「あんたかよ…」
「鬱陶しいから近寄るな」
俺もキャシーも肩に置かれた手を払いのける。
「つれないなあ…。だが、美しい華はそういうものか」
こいつはシュルゲート・ウッドベイル 。
俺とキャシー同様に1人で仕事をしている。
そして暇さえあれば女をナンパしているスケコマシと言うやつだ。
これに引っ掛かる女が一定数いるというのだから不思議だ。
「あんた目が悪いのか?なにが美しい華二輪だ。俺は男だぞ?」
「だがシュメール人だ。しってるぜ?シュメール人は産まれる直前に性転換する。それは同性の眼で意中の相手を探し、同性の視点から魅力的な異性を観察するためだ。ってな」
ドヤ顔でそういうと俺の手を握り、
「つまり俺にとってはお前も一輪の華なのさ…」
決め顔をして俺の顔を見つめてくる。
たしかにシュメール人の傾向として、中性的な顔立ちになるのは当然で、男の俺の顔も女に見えないことはないだろうが、見られる側としてはたまったものではない。
「なんの与太話だそれは?例えそれが真実だとしてもお前はいやだ」
「いずれ俺の魅力が分かるさ…」
そういうと俺の手を離し、腰の銃をくるくると回した後、俺に銃口をむけた。
撃つ気がないのはわかっているが、気分の良いものではない。
なにより、
「俺の相棒は、女のハートも撃ち抜くからな♪」
こういった歯の浮く台詞が一番気分が悪くなる。
基本悪い奴ではないし、仕事も信用できる。
それだけにうざすぎるのが問題だ。
それと、こいつの愛用する銃はコルテス社製リボルバー型カートリッジ式ブラスター。別名『ドラクーンバイト』。
要するにいちいちガンアクションをしないと気がすまない同業者の1人なのだ。
ちなみにここのフードコートでは、銃が出たくらいでは騒ぎにはならないので問題はない。
視点変換 ◇キャロライン・ウィルソン◇
今、私の目の前で夢のような光景が広がっている。
シュメール人のショウンを、シュルゲートが口説いている。
しかも!手を握り、「つまり俺にとってはお前も一輪の華なのさ…」ですって?!
しかも男の姿のままの彼に対して!
今大人気のBL小説『お前は俺のお姫様』の1シーンを彷彿させるじゃないの!
ショウンが来る前のトニーとサム君のやり取りも最高だった…。
まさか「おいらは兄貴と一心同体っすから」とか平然と言うなんて!
ヤバい鼻血出そう。顔がにやける。
ダメよ!今の私は貨物輸送業者!
姫剣士のキャロライン・ウィルソン!
大手BL同人作家の『スティックキャンディ』じゃないのよ!
大フィーバするのは、自分の船にもどって、この腕輪型端末に記録された映像を見ながらよ!
我慢…我慢…
視点返還 ◇ショウン・ライアット◇
シュルゲートは別のテーブルから椅子をもってきて、俺とキャシーの正面に座った。
「ここなら、常に視界に華が写るからな」
そういってウィンクをするが、ただむかつくだけだ。
そしてシュルゲートは懐から現金を取り出すと、おもむろにサムに投げ渡した。
「何かしらの情報をくれ。ホットな奴をな」
どうやらこいつは、サムに情報を貰いに来たらしい。
俺達が居るところで買うということは、情報をおごってくれるらしい。
「わかったっす」
サムはその金を受けとると、自慢の手帳を取り出した。
「俺達の仕事関連でいいっすよね」
テーブルにいた全員が、サムの言葉に耳を傾ける。
この少年の情報網は、下手な情報なんかより信用できるからだ。
「スターフライト社の内部派閥が、4つ5つになって互いに争ってるらしいっす。今はかろうじて機能してるみたいっすが、いつ爆発するかはわかんないっす」
「マジかよ。サム、そういうことは早く言え」
「ここにくる直前に仕入れたんっすよ」
兄貴分のトニーが咎めるように声をかけるが、サムはさらりとかわす。
「あと、惑星ランレイの宇宙港が老朽化で取り壊しが決定、来月には廃材の運搬及び資材の運搬の仕事が発注されるみたいっす。でも、保存会の人達から嘆願書が送られてきてるらしいっすから、どうなるかはわからないっす」
惑星ランレイの宇宙港は、仲間内どころか共和国内でも有名な年代物の宇宙港で、いつ取り壊されるのか噂になっていた宇宙港だ。
「ニュースにもなってないネタをよくみつけてくるのお」
「そこは俺の顔の広さっす」
ガルダイトのおっさんの感心の言葉に、サムは自分の胸をどんと叩く。
「で、最後に取って置きがあるんすけど…」
何故かサムが俺を見つめてくる。
「男5人はむさ苦しいっすよね~」
なるほどそういうことか…
「じゃあ俺は聞かなくていい」
「じゃあ俺も喋りません」
「おいおい。金をだしたのは俺だぞ?」
「じゃあまずそのとっておきを言え。その内容による。下らない内容だったらボーイズバーに放り込んでやるからな」
俺のボーイズバーの一言に、サムはぶるっと身体をふるわせる。
「おいショウン!勝手に決めるな!俺の弟分だぞ?」
「とっておきがまともなら問題ない」
トニーがサムを助けようとするが、それくらいのリスクは考えるべきだ。
「ほんとにとっておきだから大丈夫…」
サムは不安そうにしながらも、手帳をめくる。
「銀河帝国に近接している方面で、海賊が頻繁にでてるらしいんすけど、その海賊の正体が帝国貴族だって話っす」
それを聞いた瞬間、全員が眉をつりあげる。
「銀河帝国の貴族は、先の戦争以降は権力を削がれて弱体化してるときいたが?」
「それに反発している連中の内の誰かがって話みたいっす」
銀河帝国の貴族というのは、皇帝と貴族以外は奴隷としか思っておらず、他国である銀河共和国や星域連邦を属国としか考えていない。
ガルダイトのおっさんが言ったとおり、先の戦争以降はそういった思想の貴族は権力を削がれて弱体化しているが、昔の権勢を忘れられない連中が海賊をしているのだろう。
「で、そいつらが越境して海賊をしてる、と。近寄らない方が良さそうだな」
「残念っすけどこれ以上は情報は得られなかったっす」
サムは申し訳なさそうにするが、実際これはかなり重要な情報だ。
連中にとっては、『犯罪である略奪行為』ではなく、『貴族への献上義務を怠った者共への制裁』くらいに思っているのだろうが。
「それよりどうっすか!ちゃんとまともな情報だったっすよね!」
俺の思考を吹き飛ばしながら、サムが鼻息も荒く俺に詰めよってくる。
「わかったわかった…」
俺はため息をつきながら、女の姿に変身した。
「お~眼福眼福♪」
「金髪緑眼と銀髪碧眼の美女が並ぶと壮観だな」
「写真写真…」
「ショウン。お前は普段から女の方が絶対いいぞ」
男共は勝手なことをわめきたてる。
「意外とあっさり変身するんだな。女扱いを嫌うくせに」
「情報はかなり有用だったし、自分から言い出したからな…」
何故か少し不機嫌そうなキャシーに指摘されるも、反論が出来ないのが悔しい。
ちなみに回りの連中にも、俺とキャシーに視線を向けて来ているのがいるが、俺もキャシーも無視を決め込んでいる。
視点変換 ◇サムソン・カスタス◇
やっぱり美人が増えると場が華やかになるっすね!
それに、ショウンさんは今ノーブラっすから、ちょっと動くだけでぷるんぷるんするっす!
本人は全く気にしてないっすけど…。
おいらは今本当に幸せっす。
トニーの兄貴に拾われてなかったら、今頃スラムで虫ケラみたいに殺されていたかもしれないんっすから。
ちなみに女の姿のショウンさんは、俺の初恋の人っす。
なにしろ初対面の時に女の姿だった上に、手料理まで食べさせて貰えたっす。
だから、シュメール人で基本性別が男だったのを知った時は愕然としたっす…。
だからできるだけ、ショウンさんには女の姿になってもらわないといけないっす!
これは、おいらの初恋を打ち砕いてくれたショウンさんへの復讐っす!
けっして、基本性別が男だからおっぱいを触ってもあんまり怒らないからじゃあ、ないっすよ?
視点終了
ショウンは、気を許した相手からの押しに弱い気がします。
ショウン・ライアットに対する周囲の評価はこんな感じです
カタツムリ
スピードを出さない
真面目
堅物
仕事が正確で丁寧
料理が上手いらしい
お金を貸してくれない
女の時美人
女の時おっぱいデカイ
女の時に罵って欲しい
女の時に御姉様と呼びたい
女の時に一晩お願いしたい
女の時に乳を揉ませない
女の時にヤらせてくれない
男の時に女にもてそうなのがムカつく
男の時に一晩お願いしたい
以上です
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします




