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File11 惑星オルランゲアへの貨物輸送④ 身勝手の塊

本当にお待たせいたしました


ちょっと短いです


次回は早めに投稿したいです。


額に麻酔針を受けて、パメラは意識を失った。

「とりあえず一段落だな」

「ショウンさん…シュメール人だったんですね」

短針銃(ニードルガン)をホルスターにしまうと、マリーダが声をかけてきた。

「気に入らないか?」

「いえ、ちょっとびっくりして…」

そうはいうが、顔を見る限り、不機嫌な様子が見えかくれしている。

まあ学生時代、といっても中学までだが。にも、嫌悪を示す輩がいたからいまさらだ。

「監禁されている人達を助けてきますっ!」

マリーダは、それを隠すように2人だけ残してブリッジをでていった。

「それにしてもGCPOは遅いな…」

俺はため息をつきながら、通信士席(オペレーターシート)に座った。



視点変換 ◇マリーダ・ウェスロック◇


貨物輸送業者(トランスポーター)のショウンさんのおかげで、船の支配権はとりもどせました。

首謀者の2人を拘束したあと、機関長のソーカと操舵士のミュナンを残して、監禁されているみんなを助けに向かうことにする。

それにしても、ショウンさんがシュメール人だとは思わなかった。

しかも女性になった時の見た目がすごい美人!

スタイルも羨ましすぎるものだった。

あれはシュメール人の種族的な特徴なのか、それとも食事なのか、生活のリズムなのかはわからない…。

でもとにかく、羨ましい…

思わずガン見してしまったけど、不機嫌そうな顔になってたらどうしよう?!



視点返還 ◇ショウン・ライアット◇


マリーダ達が出ていってから5分も立たずにGCPOから通信(コール)があった。

『こちらGCPO。航海練習艦スターメイス号に告ぐ。直ちに停船せよ。繰り返す。直ちに停船せよ』

「こちら航海練習艦スターメイス。直ちに停船する」

操舵士のミュナンに、停船するように合図をおくる。

『通報者はいるのか?』

モニターに映ったのは無精髭を生やした中年男で、

「お久しぶりですね。警部殿」

『お前は…ショウン・ライアットか!』

知り合いのレストレイド・リュオウ警部だった。

ちなみに、レストレイドと呼ばれると渋い顔をする。

なんでも、古典文学にでてくる有名な警官の名前なので、はずかしいのだそうだ。

「通報者は俺です。まあ、船内はほぼ制圧しましたけど」

『流石だな。ところで船の乗組員はどうしたんだ?』

「クーデターを起こした連中はほぼ拘束。正規の艦長と他3名は、監禁されている乗組員の救出に向かっています」

『わかった。ところでほぼってのはどういうことだ?』

「クーデターメンバーの一部がでてきません。まあ、人身御供になったっていう女性教師に乱暴してるのかもしれませんが…」

『では急いでもらいたい!』

「だ…誰だ?」

俺と警部殿の会話に、軍服を着たイケメンが割り込んできた。

『失礼。自分は銀河共和国防衛軍主力艦隊司令官兼旗艦カシナート艦長、ラインハルト・シュタインベルガー准将です』

見た感じ、20代後半か30代前半。

それで准将とは、ウルトラがつくエリート中のエリートだ。

「なんで軍が?」

たが、GCPOにくっついてくるのも謎だし、こんなエリート准将閣下がでばってくるのも謎だ。

それを察したのか准将閣下は、

()()GCPOの出動に立ち会うことが出来たのと、その船にまつわる()()()()がありまして』

ざっくりと説明してくれた。

「なるほど。()()()()ですか」

多分、軍でもこの船が怪しいと考えて調べていたんだろう。

しかし、デルノフの父親が圧力をかけてきたため、手が出せなかったってとこか。

もちろんその逆もあるかもしれないが、GCPOが一緒なら大丈夫だろう。

「せ…船体停止完了…連結可能…です」

そのうちに、船が停止したのを、ミュナンが報告した。

「了解した。聞いた通りわかると思うが、連結通路は二本頼む」

「り…了解。連結通路を…2つ…展開します」

「じゃあエントランスに、こいつらを連れていくか」

通路が展開されたのを確認すると、2人を引きずってエントランスにむかった。


連結通路がつながると、GCPOの警官と軍の制圧部隊が乗り込んできた。

そのなかに、警部殿と准将閣下の姿もあった。

「大変だったな」

「大変なのは監禁されていた連中と、未だ見つかってない女性教師だと思いますよ」

「一歩まちがえれば()()も危なかったんですよ」

「こいつはそうそうやられるタマじゃない」

警部殿とは、祖父が存命だった頃からの知り合いで、俺がティナ姉ちゃんの訓練を受けていることを知っている人だ。

ちなみに俺が警部殿と呼ぶのは、まだ平巡査だったころにじいちゃんにからかわれていたのを俺が聞き、定着してしまった。

今は本当に警部なので問題はないはずだ。

「しかし、()()のような民間の方が、学生とはいえ、軍の訓練を受けた人間を制圧するとは、信じられません」

「荒事が多いんですよ」

「しかし…」

俺が警部殿と話していると、准将閣下がちょくちょく口をはさんでくる。

なんだってこの准将閣下はこうもからんでくるんだ?

俺が不思議そうな顔をしていると、警部殿がため息をつきながら指摘してきた。

そして気がついた。

「ショウン。お前今『月のもの』なのか?」

「あ」

さっき女に変わったままだったのを。

だからこの准将閣下はやたらに絡んできたわけか。

「俺はシュメール人です。制圧したときは男ですから」

「そうなんですか…」

それを聞くと、准将閣下はテンションが下がった。

納得して黙ったならいいが、シュメール人差別主義者だからというなら、これ以上話しかけない方がいいだろう。

その時、警部殿に通信がはいった

「ちょっとすまん。どうした?…」

「ともかく、医師の診察は受けてくださるように」

警部殿は通信に答え、准将閣下は一応心配はしてくれているらしい。

「ええ、わかっ」

わかっていますよ。と、答えようとした瞬間。

俺は意識を失った。



視点変換 ◇レストレイド・リュオウ◇


部下から、監禁されていた生徒達を発見したという報告を受けていた時に、事態は起きた。

ショウン・ライアットが銃撃されたのだ。

襲撃者は、軍服を着た女だった。

近くにいた俺の部下と軍人が、直ぐ様女を取り押さえた。

「ドクターをエントランスに!早く!」

准将殿は、監禁されている生徒達の捜索班にいる軍医を呼び出し、俺は女が持っていた銃を取り上げる。

俺の部下が、手錠で女を拘束していると、生徒の2人が声を上げた。

「「ローア先生?!」」

『なに?!』

そこにいた、生徒とその女以外の全員が驚いた。


監禁されていた生徒達と一緒に戻ってきた軍医の話では、生徒達の方は精神的にはともかく、肉体的には問題はなかった。

ショウンの方は、外傷はないが意識がない。

おそらくスタナーで撃たれたのだろう。

場合によっては死亡することもあるので心配だ。

首謀者は全員拘束してGCPO(うち)の船に収容。

ショウンを撃った女教師も収容しないといけないのだが、生徒達がどうしても女教師に聞きたいことがあるというので、拘束したまま会話を許可した。

そして、艦長だという女子生徒が、女教師を問い詰め始めた。

「ローア先生。どういうことなのか説明してください。どうしてショウンさんを撃ったんですか?」

「あの女が()()()()()()()()()()()()に色目を使ったからよ!」

生徒達の追及への逆ギレを皮切りに、女教師は堰を切ったようにわめき散らし始めた。


「私があの色ガキを焚き付けて、私が全部指示したからよ!」


「私はいずれワリシーナ・ローアからワリシーナ・シュタインベルガーになるのよ?その私があんなガキどもに身体を許すわけないじゃない!」


「獲物を選ぶのは私がかって出たわ。現金輸送の船が居なかったのは残念だった。でも『銀河大宝石展』に展示される宝石なら、シュタインベルガー様と結ばれる私には相応(ふさわ)しいでしょう?」


「こっそり用意させておいた部屋にいって乱暴されたように見せかけて、シュタインベルガー様に助けてもらうはずだったのに、あの女がっ!あの女がっ!」


女教師が口を開く度に、生徒達の顔に影が入っていくのがわかった。

特に女子生徒は、身を挺して自分達を守ってくれていたと思っていただけに、ショックが大きいようだ。

「連れていけ」

まだわめき散らす女教師を、部下に指示してうちの船に押し込む。

これ以上この女教師を、生徒の前に置いておくのはよくないだろう。


残りの反乱生徒の捜索はまだ続いている。

監禁されていた生徒達は、死者や重傷者がいないだけよかった。

あとは、ショウンの奴が無事なら、まあよしと出来るのだが


視点終了 

主人公が撃たれました


女教師はモデルがいます。性別は男ですが


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