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9

飯塚君から再び走り去り女子トイレに篭った。

バタンとドアを閉め私は座り込む。


だんだん冷静になってきた。

なんであんなに怒ってしまったんだろう?ああ、そうか。あの軽い感じがお父さんになんだか似てて許せなかったんだ。


どうせ都合悪くなったらポイされる。

それがどれだけ辛いかわからないでしょう?もう彼とは関わりたくない。


帰ろう‥‥


「はぁ」


ため息を吐き女子トイレを出た。

学校の中にはもうあんまり人が残っていなかった。


今頃になり先ほど大声を上げてしまった時誰も周りにいなくてよかったと思った。もし見られてたら明日何を言われるかわからない‥


昇降口まで来て靴を履き歩こうとしたら足がもつれて転んでしまった。


痛い‥私ってドジだ。ぶつかったり転んだり。


「青」


「え?」


後ろから声が聞こえたので振り返る。

するとそこには関わりたくない飯塚君がいた。


「パンツの色」


それを聞いた瞬間カァ〜っと恥ずかしくなった。見られた、それもこいつに!


「最低!スケベ!死ね!なんでここにいんのよ!?」


「死ねとは酷いな、姫野は口悪いなぁ」


「あんた私に嫌われたくてしょうがないのね!」


「いや、もう一度ちゃんと謝りたくてここで姫野が来るまで待ってたんだ」


「はぁ?私からしたら怒らせたくて絡んできてるようにしか見えないけど!?」


「いや、あんなに何もないとこで盛大にコケるなんて俺も思っても見なかったし‥‥」


それを言われるととても恥ずかしくて私は黙ってしまった。もういいや、さっさと帰ろう。


「おい」


「何よ?」


「膝、擦りむいてるぞ?」


「いいよ、これくらい」


そう言うと飯塚君が私の前に回り込み鞄をガサゴソして絆創膏を取り出した。


「あげる」


「いらない」


「いいから素直に受け取れよ!」


そう言うと私の手を掴んで絆創膏を握らせた。


「じゃあな」

そして飯塚君は帰っていった。


彼に握らされた少しグチャッとなった絆創膏を見つめた。

手暖かいんだな‥‥


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