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「ごめんね、こんな遅い時間まで。服乾いたから‥」
「まぁご飯ご馳走になったし。姫野の部屋にも入れたし別にいいかな」
「あんたって‥‥」
「はははッ、やっぱそのままの姫野の方が可愛いな」
「‥あ、の」
「え?」
「ありがとう‥」
「ありがとう。嬉しかった」
そう言った姫野は本当の笑顔のように感じた。涙まじりでもなく作ったような笑顔でもなく、本当の‥
とても綺麗で可愛くて俺は目が離せなかった。いつも可愛いとは思ってたけどこんなに可愛いんだな姫野は。
「飯塚君?」
姫野が目を丸くして驚いている俺を不思議そうな顔で見ている。
「あ、いや。なんでもない」
俺は姫野を本当に好きになってしまった。
「じゃあ俺はそろそろ行くな」
「うん、気を付けてね‥‥また明日」
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飯塚君が行くのを見届けた後玄関に入った。
自分が一体なんなのかわからない。飯塚君の目の前で泣いたり怒ったり‥
でもさっきのお礼は私の心の底から出てきた言葉だ。
私は彼に何を感じているんだろう?
階段を昇り部屋に行こうとすると奏さんがいた。
「椿ちゃん、春人君といるといつにも増して可愛いね!なんていうか乙女な顔してるって感じかな?」
「わからないんです。自分でもよく‥」
「椿ちゃんは春人君に恋しちゃってるんじゃないの?」
「こ、恋?私が?飯塚君に?」
「私も最初は優のこと興味があったってだけだと思ってた。だけどいつの間にか優のことばっかり考えてた。もうそれは優のことを好きになっちゃってたって少ししたら気付いたの」
奏さんの話を聞いた後私は部屋に戻った。これは本当に恋なんだろうか?私にはまだ全然わかんないや。
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椿ちゃんはまだ私たちに遠慮してるみたいで私心配だったんだけどちゃんといい人を見つけたみたいでちょっと安心した。
私や優たちにもいつか椿ちゃん自身として普通に接してくれたらいいな。
「奏、なんか考え事?」
「うん、椿ちゃん春人君には建前とか使ってないで普通に話せてるんだろうなって」
「そうだな、なんか俺と奏みたいだな」
「だったらあの2人も上手くいって欲しいな」
「どうなっても後は椿ちゃんたちの事だから良くてもダメでも優しくしてやろうな?」
「うん。えへへ、私やっぱり優のことを大好きだよ」
「俺もだよ。奏」
読んでいただきありがとうございます。ここまで3作品書いてきましたが何か良いとこダメなとこあったら気軽に指摘してください。