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「えーと、姫野?」


袖を引っ張って離そうとしない姫野が泣いているからまた俺が触ったせいかと思った。


「‥‥‥ないから‥」


「え?」


「なんでもないから‥‥」


「じゃあなんで泣いてるの?」


「嫌で泣いたんじゃないから‥」


「‥‥う、嬉しくて‥」


「私の嫌なとこ嫌じゃないって言ってくれて‥‥うぅっ」


ああ、そういうことか‥‥

嫌われないように必死で取り繕っているのは姫野はとても苦痛だったんだな。


素がこれだから余計に辛かったんだろう。


「ああ、嫌じゃないさ。俺の前ではいつだって本音で言ってくれて構わない」


「あんたなんか大嫌いだったのに‥なんであんたなんかに!」


「よしよし」


そしてまた姫野の頭を撫でてあげる。そうするとビクッとしたけど拒んではいないようだ。


「椿ちゃん、春人君?」


白石さんがガチャッとドアを開けた。なかなか来ないからだろう。

だけど思いっきり見られてしまった。


すると白石さんは一瞬驚いてたけどすぐニコッとしてもうちょっとしたらきてね、と言い出て行った。


白石さんが来て姫野もビックリしたのか俺のジャージの胸元辺りを掴んで顔を疼くませている。


「姫野?大丈夫だよ?」


「何が大丈夫なの?しっかり見られたじゃん」


「恥ずかしいよぅ‥‥」


「俺も一緒に行くから大丈夫だ」


そうしてやっと姫野は俺から離れた。姫野の手を取りリビングに向かう。


リビングには白石家の家族と優さんが揃っていた。


「あらあら、椿ちゃんこんなかっこいい子捕まえちゃって」


「椿ちゃんはうちでも気を張っちゃうから心配だったんだけどちゃんと彼氏を見つけたんだな」


「か、彼氏じゃないです。同級生です‥」


「パパ、ママ彼氏じゃなくてもいいじゃない、そのうちなるかもしれないし」


「そうねぇ、奏も優君とお付き合いするのに大分頑張ったものねぇ」


「わ〜!それはいいから!」


白石さん、とても可愛いのにそんなに頑張ったのかぁと俺が思っていると姫野が背中をグイッと押した。


「座れば?」


「あ、ああ」


「それにしても春人君だっけ?椿ちゃんと仲良くしてくれてありがとう。学校では椿ちゃんどんな感じだい?」


「姫野はこの通りとても綺麗なので学校では人気ですね、俺とも同じ図書委員になってよくやってくれています」


姫野をチラッと見ると赤くなって俯いている。


「春人君もかなりかっこいいじゃない?モテるでしょ〜?」


「いやぁ、それなりです」


「奏と優君はもう結婚までしちゃうと思うから奏が居なくなって寂しくなっても椿ちゃんが娘になってくれたから私たちも嬉しいのよ」


「まぁ俺たちがそうなるとしたら大学卒業して就職してからですねぇ」


「本当に奏ったら優君にベッタリでどこまでもついて行こうとするものねぇ」


「だ、だって優だからだもん」

白石さんも真っ赤になっている。


「春人君もそのうち椿ちゃんとくっついたりしてねぇ、美男美女でとってもお似合いよ」


そうして終始白石さんと姫野がからかわれて白石家の晩ご飯は終わった。

いい家族なんだなと思い俺もなんだか安心した。





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