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「あ!そうだ、春人君もご飯うちで食べようよ?パパとママも来るけど」
「ああ、流石に悪いですって」
白石さんがそんな提案をしてきたので遠慮してしまった。
「乾くまで時間あるしそれに乾いたら取りに来させるのも悪いし」
「そうだな。遠慮するなよ、春人君」
「椿ちゃん、それでいいでしょ?パパとママも椿ちゃんの学校生活心配してたから友達連れてきたって言ったら喜ぶよ!」
「あ、はい。奏お姉ちゃんがそう言うなら」
「決まり!張り切って晩ご飯作るから期待しててね!」
「あ、私も手伝います」
「んーん、椿ちゃんは春人君と一緒にいて?1人残しちゃ可哀想だからお部屋に行ってて」
そう言われた姫野はこっちだよと俺を部屋に入れた。
「へぇ、これが姫野の部屋かぁ」
「恥ずかしいからジロジロ見ないでくれる?」
「せっかく姫野の部屋に来れたんだから少しはいいだろ?」
「‥‥あの今日はごめんなさい。コーヒーかけたり家に帰るの遅くさせたり、私って飯塚君にそんなのばっかだね。あげくにひどいこともいっぱい言って」
「どうした急に?らしくねぇな」
「別に‥あんたの前だと遠慮しなくなって嫌な私が出てくるから悪いと思っただけよ」
「ふぅん、別に遠慮しなくていいぜ?俺はなんとも思ってないしそんなお前を嫌なんて思ったことないぞ?」
そう言うと姫野は驚いたような顔で目をパチクリさせてこちらを見た。
「あ、あの飲み物もってくるね」
いそいそと部屋から姫野は出て行こうとしてまたドアに頭をぶつけていた。
「いいよ、本当にドジだなぁ」
そして俺は姫野がぶつけた頭にポンと手を置く。
また振り払われるかと思ったら姫野は顔を真っ赤にしてそのままでいる。だからそのまま頭を撫でた。
「椿ちゃん、春人君、パパとママ帰ってきたからご飯にするよー!」
そう聞こえた途端俺もハッとし姫野を見た。姫野もこちらを見た。姫野は涙を流していた。