第4話 エルフの里
自分の星を助ける為に召喚した少女に、逆召喚されてしまうなど、
こんな事が現実に起こるなんて、誰が予想できたのであろう。
ただただ、なされるがままに、この身を委ねる事しかできない。
---
この男は不思議だ。
自分の逆に召喚されてしまったというのに、まったく暴れもせず、
私達の星を見ている。もしかして、当たりだったかもしれない。
私達の星は今、壊滅的な状況にある。
自然は豊かに見えるかもしれないが、私達エルフの存続が掛かっている。
この星には、魔女がいる。
魔女とは、悪に身も心を染め上げ、魔道を極めた者。
その魔女は、恐れを込めて、二つ名がある。
炎の特性を極めた赤の魔女。
水の属性を極めた青の魔女。
雷の属性を極めた黄の魔女。
土の属性を極めた緑の魔女。
闇の属性を極めた黒の魔女。
この魔女は、魔界におり、100年に1度に現界し、エルフを喰らう。
100年単位で行われているこの災害が、この5年間で14回行われてしまっている。
しかも現在進行形で。
私たちエルフはこの事態を解決する為に、戦う事を選んだ。
今までも戦った事がなかったわけではないが、
ことごとく敗れた。
今回の戦いでは、確実に勝つ為に、ある秘策を立てたのだ。
それは、勝てる要素を外からもってくる事。
勇者の存在だ。
おとぎ話に出てくるような話だが、それにすがるしか私達にはなかった。
すでに何十人と召喚をしてきたが、いずれも、魔女にたどり着く前に死んだり、逃げ出したりした。
何人か狼藉を働いた「元勇者」は、地下の牢にとらえてある。
それにしても今回のこの男の反応は始めてだ。
それにこの星の空気にも初めから慣れている。
ほとんどの勇者たちはまず、この星の空気に肺を潰される。
それを直す所から私達の仕事が始まるのだが、今回は期待できそうだ。
―エルフの里―
「アイ、よくぞ連れてきた。よもやまた。などという事はあるまいな」
圧倒的に数が減ったエルフの里で一番の長。
この方にまず、勇者としての資質があるか見極めてもらう。
大概は異世界からの来訪者という事でわかるようだが、
褒美欲しさに、偽物を連れてくる輩もいるのだから始末に置けない。
「はい、エルフ長。このものも鑑定をお願いします。」
「うむ、ではこちらに」
見るからに体操な水晶へ案内された。
さて、これからどうなってしまうのだろう。