最終話 繰り返される悪夢
最終話 繰り返される悪夢
昔話をしよう。
勇者と呼ばれる男がいた。
この男は、現存する世界から自然発生するのではなく、異世界から召喚する事で誕生する。
その男は一見するとなんの変哲もない男で姿も頼りなさそうだ。
だが、男には不思議な力があった。
その男の子孫は桁違いの魔力を持って生まれるという事。
それに気づいた者達はこぞって子孫を増やそうとしたが、なぜか一人だけしか子を宿すことが出来なった。
噂を聞きつけた他種族も同じ事をすると子を宿したが、二人目はどうにも作れなかった。
どうやらその種族につき、一人だけしか勇者の子供を孕むことは出来ないようだった。
ここまでくるともう勇者の意思は関係がない。
それぞれの種族で一人、桁違いの魔力を持つ子孫を作り、その子供が種族の長となる。
そんな風習がずっと続いた。
ある時は子供に恵まれない種族や、行為自体が不可能の種族に勇者を殺され
食べられることでその力を我が者にしようする事もあったが
食べてもその力は継承されず、男は死ぬ。
勇者の子孫たちは、ある時期を境に瞳が七色になり、世界を滅ぼした。
エルフの時もあれば、魔族の時もあった。
そのたび、あらゆる世界線から召喚される108人の神が形成した聖杯システムによって、過去現在未来に於いて適切だと思われる英雄が現界し、これを滅ぼした。
何度も繰り返される勇者と神の戦いにおいて、一際異才を放つものがいた。
それは、原初の魔王だといわれる。
この魔王は、異世界から召喚した勇者が、悪魔と契約をし、神を食らった結果だといわれている。
108人の神に滅ぼされても因子を時代に残すことでいずれ必ず転生するようになった。
108人の神は考えた。
いつ、どこの次元、世界、星に転生するかわからない為、108人の神が、
それぞれが管轄する次元を決め、その時を待つことにした。
108人の神はすでに形はなく、概念として存在をしていた為
直接原初の魔王を討つことは出来ない。
そもそも当時は108人でようやく倒せた魔王は、転生と受け継がれる魔力によってどんどん強くなっていた。
108人の神はある計画を作る。
原初の魔王にはひとつだけ弱点があった。
自分の子孫にだけは、その力を消滅される。
108人の神は、ありとあらゆる次元と世界と星を使って、もっとも原初の魔王を討つに相応しい兵器を作る事にした。
その者は運命のハーフエルフと名を付けられ、108人の神のマナを集めて凝縮した聖杯システムに封印された。
この聖杯システムは原初の魔王が発現する七色の魔眼に反応をし、発現をする。
その次元、世界、星に瞬時に運命のハーフエルフを召喚、打倒したのち聖杯に還元させるものだ。
限定的な運用をする事でハーフエルフの力は原初の魔王を凌駕する事が出来る。
その変わり、強くなり続ける原初の魔王にいつかは負ける。
その時為に秘策が用意されていた。
ある次元で奇跡が起きた事がある。
なんの因果か原初の魔王と運命のハーフエルフで、子を孕んだことがあった。
気が遠くなる世界線の中でもたった一度しかなかった。
その子は原初の魔王を因子毎消滅をさせ転生できない程、滅ぼし
この無限に続く因果を断ち切る事ができる、が、
この子供は原初の魔王を消滅させたのち神を超え、この概念全ての頂点に立ち、
108の神を殺し、聖杯システムを破壊し、世界を作りなおす運命にあった。
時をつかさどる神が予見し、世界が終わるその時に時間を巻き戻した。
しかしそれはあくまでも破滅を先延ばしにしたに過ぎず、その時は必ずくる。
奇跡の子が原初の魔王を消滅させたその時にこの子供も終わらせなくてはいけない。
時をつかさどる神にかかれば、1秒あれば事はたりる。
奇跡の子を聖杯システムに取り入れる事が出来れば、この戦いは終わりを迎えるという事である。
だが、事は簡単ではなかった、原初の魔王の遺伝子を持ったその奇跡の子は、
聖杯システムを嫌い、神に歯向かうというシナリオであったからだ。
つまり、原初の魔王を消滅させる為に奇跡の子がすべてを終わらせてしまう為
本末転倒な結末になってしまう。
解決の糸口を探す為、108人の神は、世界を何度もやり直し模索をしているのだった。
何度やり直したかわからない、この悪夢の中で、人形たちは踊り続ける。
そして次の世界でもまた繰り返される。
書き始めてからずいぶんの時間が経ちました。
初めての執筆で、やる気があるときだけ進めたのでそれがダメでした。
だらだらと進めていても仕方がないので区切りをつける為に強制セルフ打ち切りをします。