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16話 終焉の息吹



この世界にはいくつかの勢力があった。


もっとも力を持つ帝国。

騎士団が存在し、魔王を守りながら、他勢力や未開拓の地の調査を主に行っている。

この世界の半分以上の帝国の領土だ。


もっとも魔力をもつエルフ族。

一人ひとりのマナが大きく、特殊な魔法を使う者も多い。

争いごとには関与せず、深い森の中で静かに暮らしている。


もっとも攻撃的な種族、魔族。

好戦的な種族で、帝国との領土を取ったり取られたりを繰り返している。

帝国の数の暴力に負け、ほとんどの雄がいない。

田種族との配合で強い子孫を作る事が出来る。


もっとも恐ろしい魔女たち。

どのカテゴリーにも属さない、圧倒的なマナと魔法を持ち、恐れられている存在。

どこからともなく現れる者もいれば、既存の種族からの突然変異から魔女になる者もいる。

魔女には色で区別がされており、赤、青、黄色、緑、黒などがある。

魔眼を開眼できる力もあると噂されており、挑んだもの全てがかえってこなかったことから、確証はない。


もっとも知恵のあったニンゲン。

すでに絶滅をしている種族。

その昔、科学の力で文明を発達させ、星のマナなしで世界を独占出来た。

進みすぎた科学は同族殺しを経て、衰退。

他の勢力に拉致、実験、拷問を経て、消滅した種族。



この少ない種族で構成されている星こそが、マナそのものであり、

マナに愛されているものは強大な力を使う事が出来た。

ここにもまた一人、マナに愛された青年がいた。



―帝国―


無我夢中だった。

母さんの事、帝国での事、魔女との事。

今の俺は忠義なく、裏切りの限りを尽くしていた。

魔女から貰った、この魔眼 灼眼の魔眼は、詠唱なしで大気中のマナを使い、

地獄の業火を自然発火させる。


かつて親しみのあった帝国は、エルフや魔人族の襲撃で見る影もなく、

その威厳はとうになくなっていた。

ここで魔女に操られて、帝国で暴れていれば、トラ様がきっときてくれる。


トラ様なら、この魔女にも勝って俺を開放していれる。

それだけを信じて、焼き尽くした。

町も人も何もかも。



「あんた、ちょっと無駄が多いね。何か待ってるみたいだけど」


背筋にヒヤリと冷たいものを感じた。

もしかしてバレている。


「まあいいけどね、トラの事だからお前の仕業だとすぐに気づくさ」


こんな俺はトラ様に助けてもらう資格があるのだろうか。

今は焼くしかない。

しかし最後までトラ様は来なかった。俺は裏切りの虐殺の限りを尽くしただけだった。



―エルフの里(滅亡後)-


青の魔女に全て破壊された。

私はひとり、この深い神殿の中で眠っている。

食事も必要にならないほど、仮死状態の魔法で保護されている。

それがわかる。


姉さんが死んだ。

里もめちゃめちゃにされた。

きっと生きているエルフは私だけなのだろう。

もう外に出る必要はないかもしれない。

考える事も疲れた。

もうこのまま。。。



-辺境の地-


なぜか転移魔法が母上に使えなかった。

私ひとり、魔人族で生き残ってしまった。

あの青の魔女、母上以外は歓迎だけど、どうして突然に。

そう、それはあまりにも一瞬の事だった。


帝国奇襲作戦が、魔女と魔王の乱入で失敗に終わり、私達は里に戻った。

抹殺対象の勇者の子は、どうやら魔女に連れ去られたそうだ。

仕留めたと思った少年は、影武者で、本人は無傷。

それに対し、魔人族は戦えるもの半分以上が戦死。


やっと村に帰ってこれたと思ったら、魔女が現れた。

私達のすべてを壊して、踏みにじった。

母上だけでも救おうと転移魔法を使ったが、なぜが出来ず、母上だけ残して転移してしまった。

いまは、このどことも知らない辺境の地で生活をしている。

必ず復讐をしてみせる。


「何?あの光は」



決意を胸に空を見上げると、まばゆいまでの光がこの空いっぱいに広がっていた。


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