中国の文物についての説明
この本は、作者本人がで墓泥棒をした経験を記録した本だ。連載小説のため、どうぞよろしくお願い致します。
僕の名前は銀珉児、大学2年の時、ある同級生が腰のベルトに一つの玉をぶらさげているのを見かけたが、僕は見た瞬間から、なんだか違和感をもった。ある日その同級生と一緒にお酒を飲んだ時、その玉は野玉なのだと言った。野玉とは古人のミイラで取った玉のことだ、昔の人々は、玉を遺体の口や、肛門に入れたまま埋葬したり、遺体に玉の腕輪や玉の指輪を付けたりするのが習慣だった。彼の玉のように、腰のベルトに掛ける玉を「贈」という。僕のお爺さんはこの呼び名が好きで、中国語だと、溜息をつくみたいな発音になる。贈は、無事を祈るための飾り物だ。昔は、戦士が出征する前に、無事を願って家族が「贈」を贈った、特に匈奴人は好んで「贈」を身に付けていた。
僕は一瞬で玉の異常に気付いた。玉にはどろっとした膨らみがあったからだ。それも水っぽいのではなく、柔らかくふっくらとしていて、沈殿している部分は黄色っぽくなっている。僕のお爺さんによると、玉は長時間人の体や骨に触れているため、人の魂が玉に入って、玉は古玉になるらしい。
また、僕は同級生の野玉を見て、お爺さんの話を思い出した。「野玉は安易に身に付けない方がいい。野玉は邪気を払い除けてくれるので、持ち主に福をもたらすこともある。だが、もし邪気を払えなかったら、玉を身に付けた持ち主がどんな死に方をするのか。それは誰にも分からない。」
その話を僕が同級生に伝えたら、同級生は笑いながら、話した。「そんなのは迷信だよ。この玉は哈密市(中華人民共和国のウイグル自治区のクムル市)から出て来た宝だから、10万元の価値があるよ!この玉の価値が知っている人がいたら、50万元だって出すよ。」
でも一週間も経たない内に、同級生は痛い目に遭ってしまった。まず、試験の時、三分の一の学生がカンニングをしていたのだが、彼がカンニングペーパーを取りだした時に、ちょうど試験監督の先生が咳払いをしながら彼の前に来て、彼だけ捕まえて試験資格を取りあげたのだ。さらに悪いことに、その日の午後、彼がサッカーをしていた時、怪我をしてしまい、足が肉まんと同じくらい凄く腫れた。これらの不運な事を聞いた時、僕は思った。「彼が身に付けている玉に関係があるに違いない。」と。
再びその同級生と話をしたのは、およそ二ヵ月後。彼は僕にお金を貸してほしいと頼みに来たのだ。彼によると、足の怪我など今までの不運な出来事は、すべてこの玉に関係があるのではないかと思い、玉を恋人にあげたらしい。恋人は大喜びし、その日の夜は二人でラブホテルに行った。でも最近、恋人は妊娠したのに気づき、まだ大学2年生だったので、人工妊娠中絶を選んだのだという。しかし彼はお金が足りない。だから、僕がお金を貸してあげたのだ。そして僕は、同級生にある方法を教えた。玉を植木鉢に入れ、そこに草を植えてみて、草が育つかどうかを試してみるようにと。
しかし、同級生の恋人はある日、掃除していた時に、うっかり例の植木鉢を触ってしまい、鉢をベランダから落としてしまった。そして、ちょうどマンションの下に駐車していた車のフロントガラスを割ってしまったそうだ。その後、あの玉がいったいどこへいったのか、その行方は誰も知らない。
この話を語ったのは、玉には魂が宿る事をみんなに知ってほしいと思ったからである。もし本物の玉を手に入れたのなら、必ず大切に扱うこと!
お爺さんによると、玉は人間と同じように命がある。注意事項:その一、あなたが玉を身に付けるという事は、あなたは玉の命を護る人になるということである。玉は決して人に触らせない事、恋人であっても触れさせてはいけない。その二、二つの玉を一緒に身に付けてはいけない。たまに玉のネックレスと玉の指輪を同時に身に付けて外出する人もいるが、それは決してしてはいけない事だ。二つの宝物は相性が悪いからである。その三、玉は肌身離さず身に付けること。今日の服にはこの玉、明日の服にはあの玉と、服に合わせて幾つかの玉を交換して身に付ける人もいる。。だがこれは、玉を尊敬しないことになってしまう。
玉は壊れやすい材質なので、気を付けないと壊れてしまう。玉が割れるということは、滅びを意味するので、厄払いをしなければならないし、二度と身に付けてはいけない。もし割れた玉を身に付けたら、不運がその身に降りかかるだろう。もし家に水槽があるのなら、割れた玉を水槽に入れると、水の力で厄払いができる。
また、玉を付ける紐が切れるということは、玉の手足が切れるという事。その場合は、赤い紐で付け直すように。そしてその日から三日間は性交をしてはいけない。
玉は純潔な物、黒い紐で付けないこと。
玉に花がある場合、玉石の花と呼ばれる。暇な時に撫でると、一生分のお金と地位を手に入れる事ができる。
玉は縁があれば出会える物。盗んだり、奪ったりしていけない。
もし野玉を手に入れたら、先に飼い犬に付けた方がいい。犬は運が強いから、犬が野玉を付けても大丈夫なら、人が大丈夫なはず。もし人が野玉を付けて、三日間何事もなければ、運がよくなるはずだ。
ご覧頂き、誠にありがとうございました。