ガラクタの正体
部屋に無造作に積まれたガラクタの数々は、俺が元いた世界の家電や日用品だった。
(これを使えばお金を稼げるかも……!)
それから、あれこれ考えながら暫く部屋の片付けを続ける。
「よし!まぁこんなもんかな。これ以上は今は片付けようがないし」
一息ついて、俺は片付いた部屋を見渡す。
どうにか寝る場所は確保出来たのだが、ガラクタは多すぎてどうにもならなかったので、部屋の隅にまとめて置くことにした。
これから暫く住む部屋としては、少し心許ないが、これでも外に出るよりは数万倍マシだろう。
片付けを終えて、一息ついていると玄関の方から物音と猫の鳴き声が聴こえてきた。どうやらリリィが帰って来たようだ。
俺は玄関に行き、リリィを迎える。
「おかえり、リリィ。収穫はどうだった?」
リリィは残念そうに、
「残念ながら、これといった手がかりは見つからなかったわ」
「そうか。そんなにすぐ見つかるわけないよな。焦らずにゆっくりと探してくれればいいさ」
「ありがとう。あなたにそう言ってもらえると少し気が楽になったわ。ところで、部屋は片付いた?」
「あぁ。今片付け終わったところだ。それと、部屋にあるガラクタのことなんだけど」
「あぁ、あれね。あれは私が今までの召喚で出した物なの。大抵は動かなかったり、使い道がわからなくて売れなかったからあそこに保管してたんだけど……それがどうかしたの?」
「実は、そのガラクタの殆どは俺が元いた世界のものなんだ。もしかしたらあれをお金に出来るかもしれない」
「ほんとに⁉︎もしそれが出来ればすごく助かるわ!」
「けど、それにはリリィの協力が必要不可欠なんだ」
「私に出来ることならなんでも協力するわ。ところで、私は何をすればいいの?」
「俺が元の世界の技術を使って何か作ってもこの世界に既にあるものだったら意味がないだろ?だから、それをリリィに確認してもらいたいんだよ」
「それだけでいいの?じゃあ、何か出来たらいつでも言ってね」
「ありがとう。実はもう何を作るか少し考えてあるんだ。完成したらまた声をかけるよ」
「ええ。わかったわ。それじゃあ私は部屋で調べ物の続きをしておくわ」
そして、各々部屋に戻り、俺は片付けの最中にガラクタの中から見つけた物を使って「ある物」を作り始めた。