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Star-2

 武器屋を出てから歩く事5分、無事に西門に着く事が出来た。

 噴水広場をこの町の中央と仮定すれば町の端から端まで歩くのに12分程か。

 とりあえずは集まってる大勢のプレイヤーの中から妹を探すとしよう。

 どうせ妹もネトゲで使ってたキャラに似せて作っているはずだ。


「ラグナさんはどこかなっと・・・お、いたいた」


 緑のショートカットに腰のレイピア、高確率で俺の妹だ。


「あの、すいません」


 そろっと近づいて話しかけてみる。

 妹なら俺の姿で分かるだろう。


「あ、はい、なんでしょ・・・お、お兄?」

「正解、ほら、ちゃんと来たぞ。次はどうするんだ?」

「え、えっと、とりあえずこの先の森で鹿を狩るんだけど・・・その腰の物は?」


 苦虫を噛み潰した様な顔で俺の銃を指差すな。


「銃以外の何に見える?ほら、鹿狩りに行くぞ」

「う、うん。なんとなくだけど銃を使う気はしてたよ。

 お兄って確かFPSかなり好きだったもんね・・・」


 すまない妹よ、お兄ちゃんはFPSだけでなくサバゲーにも片足突っ込んでたりするんだ・・・

 と、心の中で謝っておこう。

 でもFPSのおかげで最初からある程度サバゲーでもキル出来たり、逆にサバゲーのおかげでFPSがまた一段と上手くなったのも事実だからな、仕方ない。

 勿論どっちでも使うのはハンドガン一択だ。


「あ、鹿狩りに行くのはちょっと待って。

 実はβで知り合ったフレンドの人を1人誘ってあるんだ」

「β勢か・・・どんな人だ?」

「グルウィっていう紺色の髪を三つ編みにしてるマジックファイターの人でね、βの時はパーティー組んでたんだけど、サブで生産職やってたからパーティーの皆がグルウィさんに色々頼み事とかしてたんだ」


 聞く限りでは悪い人ではなさそうだな。

 マジックファイターか、確か魔法でバフとかしながら近接で戦う型だよな・・・


「お~い!」

「あ、噂をすればなんとやらだね」

「あれがグルウィさんか・・・」


 さっき言われた通りの特徴をした眼鏡の女性キャラが手を振りながらこっちに走って来た。

 振っている手には黒い篭手が装着されている。多分彼女の武器だろう。


「ごめんね待たせちゃって!そちらが例のお兄さん?」

「うん、こちらが例のお兄さん」


 おい、なんだその『例の』ってのは。

 まさか変な事言ってないだろうな・・・最悪の場合ありえるから怖い。


「どうも、ルルークです」

「どうも、グルウィです。

 妹さんとはβの頃から仲良くさせてもらってます。

 それで・・・お兄さんは銃の事を調べた上でお買い上げに?」

「えぇ、まぁ」

「そうですか~、期待してますよ?」


 何をだ。

 別に銃は効率が悪いからああだこうだと言わないのはいいが、何を期待しているんだ。

 もしかして銃にはネットに上がってない隠し効果みたいなのがあるとか?


「それじゃあ西の森に行こうか。

 このゲームってエリア内の人口に応じて敵が増減するからいいよね~」

「まぁそのせいで大量発生した敵モンスに一斉攻撃されて死亡、なんてこともあるけどね」


 β勢2人が笑顔で怖いことを話しだした。

 序盤なんて4,5頭ぐらいの一斉攻撃で本当に死にかねないから怖い。

 ただまぁ、製作側の意図も分かるからなんとも言えない。


「よし、到着!」

「ここが西の森か」


 確かに森だが・・・俺がいつもサバゲーをしている森よりも木と木の間隔が広く思えるな。

 これなら鹿狩りも楽そうだ。


「それじゃあ今からの行動を説明するね。

 私達が狙うのは『ウィンディアー』っていう黄緑色の角をした鹿。

 このエリアには他に『サンディアー』っていう少し成長した個体と、『リィンザード』っていう北の山に生息するトカゲも居るけど、基本的には無視して。

 グルウィはいつも通りに薬草の採取、お兄はFPSで鍛えた目で敵の早期発見をお願い。

 何か質問はある?」

「特には無いな」

「私も」

「じゃあ鹿狩りア~ンド薬草採取、スタート!」


 と言っても、そんな山ほど鹿がいるわけも無いだろ・・・

 なんて思っていた俺が馬鹿でしたすいません。

 周りを見れば少なくとも6頭は見える。

 どうやら『ウィンディアー』のドロップする『そよ風の角』というアイテムは薬草と合わせることで『グリーンポーション』になるらしい。

 で、それを知っているβ勢とその仲間達が今この森に集結しているというわけだ。


「とりあえずこっちに気づいているのは2時の方向に見える2体だけだな」

「じゃあとりあえずそのうちの1体を撃ってみて、そんなに音はしないから周りにはバレないから安心して」


 サイレンサー付きか、確かに耳を保護する物が無い状態で撃つなら必須だな。

 よし、こっちに気づいてるって言っても敵意はまだ無さそうだし、ここは一発、ヘッドショットでも狙ってみるか。

 腰の『レッドショット』を取り出して両手で構える。

 パスッという軽い音と共に一発の弾丸が発射され、鹿の脳天目掛けて飛んでいく。


「よっし!ヘッドショットワンキル!」


 狙い通り弾丸は鹿の頭を貫通して、撃たれた鹿はバタリと倒れた。

 もう一体がこっちに走って来たな、直線で走ってきてくれてるから頭が狙いやすい。


「それじゃあもう一発」


 再びトリガーを引けば二度目のパスッという軽い音と共に鹿が倒れる。

 あれ?普通に銃強くね?


「いや~、さすがお兄さんだね。

 まさか最初から銃の性能をフルに使ってくるとは思わなかったよ」

「銃の性能?悪いが今のは素だ」

「あれま、流石はお兄さんって感じかな。

 さっきお兄さんは銃を両手で構えて撃ったでしょ?これで命中補正30%が付くんだよ。

 撃ってみて感じたと思うけど、この世界の銃は反動が軽いから片手でも簡単に撃てるんだけど、そうやって格好付けて片手でやるとマイナス補正。

 で、さらにヘッドショットすると会心補正100%が付いて確実に会心になるんだよ。

 ネットで威力にムラがあるって書いてあるけど、銃は他の武器と違って当たった場所によってダメージが上下するだけで、実際の威力は普通の武器と同等。

 ヘッドショットの補正を考えれば、1発50Gでも安く感じられるようになってくるよ」


 流石β勢グルウィさん、銃についてかなり詳しいご様子で。

 にしても、期待しているとはこの事だったか。

 会心は確かダメージが250%だったな。

 通常の武器だと会心の確率は2,3%ぐらいだったか、それを100%とは・・・


「ちなみに『ウィンディアー』の経験点は4なので、後3頭でレベルアップするはずですよ」

「後3頭か、となると計5頭でレベルアップと同時に『射手』が習得できるようになるのか」


 技能『射手』、弓や銃を使う際に補正が掛かる技能で基本技能の一つだ。

 弓も銃と同じで矢を買わないと使えない代わりに矢は使用後に敵の死体から回収可能で使いまわしできるらしい。

 だが、だからといって使う者は少なそうだったな、それより魔法の方がいいそうだ。


「そういえば俺1人で2頭とも倒しちゃったけど、2人は大丈夫か?」

「技能のことならご心配なく、総合的に見れば今はお兄さんに『射手』を取得してもらう方がいいですから」

「基本技能ならソロでも簡単に取得できるし、それよりはお兄に『射手』を取得してもらって、戦力を上げる方がいいからね」


 なるほど、確かにβ勢2人ならそこら辺の奴に簡単にやられはしないだろう。

 むしろノーダメでどんどん狩って行く姿が容易に想像できる。


「ちなみにお兄さんは弾薬を幾つ買ったんですか?」

「10発のセットを一つ、残りは8発だな」

「8発かぁ・・・じゃあとりあえずレベルが上がったら戦闘はこっちでやるから、町に戻ったらポーション売って弾薬の補給ね」


 やっぱり銃はそこが問題だよなぁ・・・いつかはサブで別の武器とかも使えるようにした方がいいかな。

 とりあえずは後3頭、狩るとしますかね。

 パスッ

 パスッ

 パスッ

 FPSとサバゲーで鍛えた力で難なく他の鹿達もワンキルしていく。

 テンテテンッと短いレベルアップ音がなると、目の前にレベルアップ後のステータスと残りの技能ポイントが表示されている。

 まぁ、ステータスっていってもHPとMPしかないんだけどさ。

 技能ポイントは初期が3ポイントだから、2ポイント増えたのか。

 メニューを開いて、『射手』は・・・よし、ちゃんと出てるな。

 とりあえず2ポイントぐらい振っておくか。


「それじゃあここからは戦闘は私達がやりますね」

「鹿を見つけたら教えてね~」


 ってな感じでそこから30分間、ずっと鹿を探すだけの係になった俺だった。




 ルルーク Lv2

 HP:32 MP:16

 取得技能:[射手:2]

 残り技能P:3

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