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私の願い(留羽目線)
「留羽…どうして鳥羽くんと連絡先を交換したの?」
鳥羽くんが居なくなると、
楓が腑に落ちないといった表情で私に尋ねる。
「あの人、楓と同じ匂いがした。」
――――あの人は、裏表なさそう。無害。
だからきっと大丈夫。
楓には、兄と幸せになってもらいたい。
だから私は、まず、あの兄を何とかしなければならない。
「七瀬野さん」
予備校の自習室の前で、今日連絡先を交換した鳥羽くんに会う。
さっそくlineを使って、彼に連絡をとった。
「鳥羽くん。私のお願い、聞いてくれます?」
「――――ん、なに?」
鳥羽くんは、唐突な話に一瞬目を丸くした。
でも、微笑んで私の言葉を待っている。
私は、彼に賭けてみることにした。
「私と、付き合って欲しいんです」




