可愛い妹からの告白(然目線)
「お兄ちゃん、私ね…ずっと言いたかったことがあって…」
潤んだ瞳で、留羽が俺を見上げる。
―――このシチュエーションは、ヤバすぎるよ留羽ちゃん?
「私…お兄ちゃんのことー―――好きだったの…」
「留羽…」
俺もだよ、と言おうとしたが、なぜか声が出なくなった。
―――なんでだよ、俺も留羽に伝えたいのに…ーーー!!
目を覚ましたら朝の10時を過ぎていた。
―――夢かよ、チクショー。リアル過ぎたわ…。
まだ少しドキドキしながらも、現実に目をやると、楓からlineが来ていた。
『今日会えますか?』
――――会える。とだけ返す。
そしてベッドから起き上がると、
ボーッとした頭で、そろそろかなと思った。
――――今日は、留羽が受験していたK大学の合格発表の日だ。
俺は留羽に、『絶対に合格するまでは受験した大学名は言いたくない、だから調べたりもしないで』と釘を刺されていた。
―――なんか、『鶴の恩返し』みたいだな。
まぁ、俺も『鶴の恩返し』の爺さん同様、気になって気になって、結局こっそり調べてしまったんだけど。
そろそろ結果が分かったところだろう。それで自然と目が覚めたわけだ…、納得。
「お兄ちゃん、おはよう」
一階のリビングに向かうと、キッチンから甘い香りと一緒に留羽の天使のような笑顔が俺を迎えた。
――あれ?これはまだ夢の中なのか…ーーー?
信じられない状況に、俺は戸惑う。
「受かったよ!K大!」
満面の笑みで、留羽が報告する。
「良かったな、留羽!可愛いぞ!」
――――あれ?ちょっと待てよーーーーー?K大?
「もしかして…留羽、東京で一人暮らしとか…ーーー」
「うん、考えてる」
―――あぁぁぁ、俺はバカだ…K大学は東京なんだから一人暮らしになるに決まっていたのにぃー!
「お兄ちゃん、私合格したらお兄ちゃんに伝えたかったことがあるの」
膝から崩れ落ちた俺の前に、いつの間にか留羽が立っていた。
「今までありがとう。私…お兄ちゃんの妹で良かったって思ってるよ」
「止めてくれ…」
そんな可愛い顔で、そんな言葉を聞いたら…ーーーー。
「お兄ちゃん、大好き」
留羽が優しく微笑んで、俺の顔を覗き込む。
―――やっぱりこれは、夢なのか…?
「留羽…お兄ちゃんも大好きだぁー」
感激のあまり、ガバッと立ち上がり両腕を広げると、
「あ、抱き付くのとかはやめてください。」
いつもの留羽に戻っていた。
――――あれ?おかしいな、ここは抱き合うところなんだけどな…。
「はい、チョコレート」
ブツブツ言っている俺の前に、留羽が照れながら小さな箱を手渡してきた。
「お兄ちゃん、トリュフ好きでしょ?」
――――トリュフが好きな訳じゃないよ、留羽が小さな手で一生懸命コロコロ丸めてくれたから好きなだけで。
でもまぁ、いいか!留羽が久しぶりに『大好き』だと言ってくれたんだから。
「ありがとう留羽。大好きだ!」
俺は、心から気持ちを伝えながら、頭の中では次のことを考えていた。
―――――さて、今からK大学に編入する手続きでもするか。




