表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それ、イケメンに限ります?   作者: 夢呂
バレンタインデー【番外編】
39/40

届けたいもの(留羽目線)

大好きだったお兄ちゃんのことが、疎ましく思えてきたのはいつからだったろう。



『え、あれが然くんの妹…?』

『意外!なんていうかさ…ーーー』


『…“地味(フツー)”よね』


中学にあがった私を待っていたのは、好奇の眼差しだった。全くの他人に、期待外れだとクスクス笑われた。


そしてそれは、“劣等感(くろいきもち)”として私に染み付いた。




容姿(みため)はともかく、せめて…大学ぐらいは良いところに行きたい。


お兄ちゃんの大学よりも、上に。

そして周囲に認められたい。


――――分かってる、こんなのただの自己満足。


『 つまらない意地(プライド)、そして願掛けのようなもの。


でも、K大学に受かったら、胸を張って前に進めるんだ。』


――――そう思って、ずっと頑張ってきた。







バレンタインデー前夜、

私は明日に控えたK大学の合格発表に、

居てもたってもいられず、気を紛らすためにチョコレートケーキを作り始めていた。




「留羽、まさかそれ…奏太(あいつ)にーーー?」


キッチンにバイト帰りのお兄ちゃんが現われ、なにやらショックを受けながら聞いてきた。


「あ、うん…」


明日はバレンタインデーだ。うまくいったらラッピングして奏太にあげるのも、良いかもしれない。


私はお兄ちゃんに言われて、そうすることにした。


初詣の時、人前でキスされたのが恥ずかしくて御守りも買わずに逃げた私に、ちゃんと御守り買ってくれてたしね…。


合格祈願の御守りを買ってから、慌てて追い掛けてきてくれた奏太を思い出して、ふっと笑いが込み上げる。



「あーぁ、ついに留羽のチョコレートを俺以外の野郎も食べるのか…」


お兄ちゃんがイラつきながら、言った。


あげるとは言っていないのに、今年も私から貰えると思っているお兄ちゃん。

――――…何なんだろうこの人。



「お兄ちゃんは楓から貰えるでしょ?」


私が真顔で言うと、


「それとこれは別でしょ!」


お兄ちゃんはムキになって言い返してきた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ