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それ、イケメンに限ります?   作者: 夢呂
学祭【番外編】
36/40

誤解しないで(楓目線)

「さっきの、然先輩だよな?」


何かを察知して猛ダッシュしていった背中を見つめながら、

立ち尽くしていると、声をかけられた。



「あ…」


―――たしか、鳥羽くんと仲良い…。


「俺、ジョー。」

私が微妙な表情をしていたのか、彼は笑顔で自己紹介してくれた。


「あぁ、中谷くんだ!」

私は彼の名前を思い出した。

中谷(なかたに) (じょう)鳥羽奏太(あのイケメン)の友達だ。



「柏木さん…だったよね?留羽ちゃんと仲良い」

中谷くんが、私に笑顔で近づいてくる。


「うん」


「あいつら、上手くいって良かったなー」


「そだね」


そんな他愛ない会話をしていると、


「楓!!」


然くんが、すごい勢いで戻ってきた。



「―――…誰?」


そしてギロリと、中谷くんを睨み付けて私に尋ねる。



―――…なんか、あったのかな?留羽がらみで。


苦笑しながら、私は答える。


「中谷ジョーくん。鳥羽くんの友達で…」


「どうも、はじめまして!俺、七瀬野然先輩にはずっと前から憧れてて…ーーー」


どうやら中谷くんは、然くんのファンだったらしい。

私が言い終わらないうちに、自分から早口で話し掛けていた。


「あ、鳥羽奏太の友達の、中谷くん。どうも、七瀬野然です」


然くんは、中谷くんの言葉を流すように口を開く。

しかも、恐ろしいほどの営業スマイルで。


――――…その笑顔が怖いよ…然くん。


「因みに、楓は、俺の彼女だから」

私の腰を抱き寄せるようにして、然くんが言う。


―――うわ、なに…!?何が起こってるのー!!

とりあえず、然くん落ち着いてー!!!



「あ、はい!知って…ーー」

青ざめながらも、中谷くんがそう言おうとした時、


「知ってるなら、気安く話しかけるんじゃねーよ」


然くんがすかさず言う。


――――…だから…然くん、怖いよその笑顔。



というか、この腰に回してる手ーーーっ!!!


「す、すみませんでしたぁー」

中谷くんが走り去ると、腰に回していた手が私を解放した。


―――ホッとしたような、残念のような…。

なぜか、そんな二つの気持ちが混ざり合う。




「…――また留羽に何か言われたんですか?」


――――分かりやすいなー、然くんは。


拗ねたような横顔に、可愛いなと思いながら私は苦笑してしまう。



「―――…」


然くんが、無言のまま余計に拗ねたような表情になるから、

つい調子にのって、私は続ける。


「もういい加減、留羽と鳥羽くんの邪魔はしない方が…ーーー」


良いですよって言ってるはずの唇を、封じられているのに気が付いたのは三秒後。





「そうだな。俺には楓がいるからな」


そういって唇を舐める然くんに、私は開いた口が塞がらない。



――――ちょ…なんなんですか、それ。


不意討ちやめてくださいって!!


私心臓が止まっちゃいますから!!




「だから、他の男と楽しそうに喋るなよ?」


「え!!」


――――――――…然くん、…もしかして…。



拗ねてたのは…留羽がらみじゃなくてーーーー。


そう思い返して、私は一気に顔が赤く染まる。



「そこは、“はい”でお願いしたいんだけど?」


然くんが、そんな私を楽しそうに見つめて、言う。


「はい、喜んで!!」


――――あ、なんかどこぞの居酒屋みたいになってしまった。

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