嫉妬の先に得たもの(奏太目線)
ジョーと何を話してたのか、親密な二人の雰囲気に嫉妬に狂っていた俺は我慢できなかった。
こうして怒りを留羽にぶつけて…―――文字通り“ただの八つ当たり”ってやつだ。
分かってるのに、止められなかった。
「俺はこんなに好きなのに、留羽は…ーーーー」
俺が文句を言おうとした口を…、留羽の小さな唇がそっと塞いだ…。
そして彼女は、涙を堪えてもう一度謝罪の言葉を口にした。
「ごめん…」
―――ちょ、待て…っ!?い、今キスした?
俺は反射的に口元を手で押さえる。
「私の方が好きで…ごめん」
「?」
一生懸命答えを出そうとしたけれど、現在思考回路ショート中。
留羽の言う“ごめん”の意味が、どういう意味か分からない。
というか、留羽からキスされたことで、衝撃ハンパないし。
すると、留羽がボロボロ涙を流し出して、顔を覆いながら言った。
「――――…き、嫌いにならないで…」
――――…ねぇ、なにこれ。
襲って良いのかな?良いってことだよね?
いやいや、泣いてるし…、今はダメだよな。
可愛い泣き姿の留羽を押し倒したい衝動を、なんとかわずかな理性で止めながら尋ねる。
「留羽?嬉しすぎる告白してくれたのに、なんで謝るの?」
―――嫌うわけないじゃん。
というか、留羽より俺の方が好きだという自信あるし。
俺が留羽の頭をポンポンして顔を覗き込むと、
留羽は泣きじゃくりながら話す。
「奏太、相手…の、気持ち…の方が上回ると、冷める…んでしょ?」
―――はい?…―――なんだよそれ。
「私…奏太に、嫌われたくなくて…。」
―――だから“ツンデレ”だったの?
『留羽が甘えてきたらどうする?』
柏木さんがさっき言っていたことは、そういうことか。
俺はニコッと笑って、留羽を見つめる。
「やっぱり許さない」
「え…?」
「おしおき、決定、な」
――――…ねぇ留羽、もっとお互いを知ろうか?
とりあえず、不安がなくなるまで…ーーーもっと。




