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傷みと痛みの間(留羽目線)
――――圭ちゃん…。
中学時代、ずっと同じクラスだった男の子。
私の、初めての“彼氏”。
悲しい初恋。
もう忘れてしまいたかったのに…会ってしまうなんて最悪だ。
――――しかも、奏太の目の前で。
やめよう。
過去の傷を思い出しても良いことない。
「留羽…大丈夫?」
自分の机に突っ伏していると、頭上から楓の声がした。
「―――おはよう」
――――私、うまく笑えてるかな?自信ないな…。
「会ったんだって?元彼に」
「あぁ、うん…」
―――なんだ、楓知ってたのか。奏太から聞いたのかな…?
ということは、奏太も知ってしまったのか…。
知られたく、なかった…。
「心配かけてごめんね」
笑顔で言ったつもりだったけど、楓の表情は険しいままだ。
「…ーーー本当に大丈夫?」
心配そうに楓が言う。
「え?」
―――どういう意味?
「鳥羽くん。―――自分より相手の好きが上回ると冷めるらしいよ?」
ズキッ。
―――――こんなふうに胸が痛むのは…ーーー
それはもう…理屈じゃなくて…
私がすでに奏太を好きだから…――――?




