恐れていた最悪の事態(然目線)
今日も、21時になるのを確認して予備校の前で留羽の出てくるのを待った。
―――あ、来た来た!俺の天使。
「る…ーー」
ちょっと待て、留羽の隣に、男?
まさか、まさかな…ーーー。
俺は、冷静に留羽に近付く。
とりあえず、愛想笑いでもしておくか。
「…―――留羽…、隣にいるその彼は?」
俺が尋ねると、留羽がいつも通りクールな眼差しで俺を射止める。
そして、言った。
「あ、彼氏の鳥羽くん」
…―――彼氏の…鳥羽くん?
俺の思考が一瞬停止する。
―――――彼氏って、何だ?
どういう意味だったかなー?
あ、あれか友達以下の人って意味だったよな。
俺がそう脳内変換していると、
留羽の隣にいた男が礼儀正しく一礼した。
「どうも、初めまして。―――お付き合いさせていただいてます、鳥羽奏太です」
「は?」
お付き合い?
このクズ、なにふざけたことを!
「そういうわけなので、もうバイト休んで迎えに来なくていいから」
「な、何言ってるんだ留羽…ーーー」
「行こ、鳥羽くん」
留羽が…俺以外の男の腕に…ーーーー。
自分から、触れた…ーーーだとっ!?
俺が茫然と立ち尽くしている間に、留羽は鳥羽奏太と腕を組んで先を歩いていく。
―――――何が起きたんだ?
留羽に、彼氏?
許さない…ーーー留羽は、俺だけの天使だ!
「もしもし、楓?」
震える手で、俺は楓に電話した。




