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放課後ロルプライズ!  作者: 場違い
3章・絡み合う日常と電脳世界
46/73

要領を得ない会話劇 2

「ここは……?」


「やっと目を覚ましたみたいですね」


「………………何も、覚えていない」


「ん?」


「……どこなんですか、ここは。俺は……いや、僕?……私は、なにをしていたんでしょうか……」


「何をしていたっていうか……たぶん、自殺じゃないかなぁ」


「は!?」


「『車を運転してたらいきなり男が飛び出してきて、轢いてしまった』っていう通報があったみたいですよ。ドライブレコーダーにも、あなたが正面に飛び出して、自分から当たりにいってる姿が映ってます」


「自殺だって……う、ウソですよね」


「……お気づきかとは思いますが、ここは病院。そして私は医者です。あなたを少し検査させて頂きましたが……どうやら、頭にけっこうな衝撃を受けたせいか、記憶の混乱が見られるようです」


「キオクの混乱だって……な、何を言って……」


「現にあなたは、自分が自殺未遂をしたことも、自分の一人称さえも覚えていないようですね。家族のこととかは覚えてますか?」


「わ、分からない……何もだ、何も分からない!」


「落ち着いてください。簡単なカウンセリングをしましょう、それで徐々に記憶が回復するかもしれません」


「は、はい……」


「……では、記憶のことについて聞いても混乱させてしまうだけでしょうから、あなたの本能に聞いてみましょうか。好きな食べ物は何ですか?」


「…………酸っぱいものが好きだと思います。マリネとか……」


「なるほど。では、好きな色とかは……」


「グレー、とか……暗くて地味な感じの色が好きだったように思います」


「……なるほど。グレーから何か連想するものは?」


「連想……。…………煙草、です」


「…………はい。質問をもう少し続けましょうか」



「…………カウンセリングはここまでですが……何か思い出したことなど、あったりしますか?」


「残念ながら」


「はは、即答ですか……参ったな」


「……私は……誰なんでしょうか……」


「気を落とさないでください。……そうだ、よければこちらで、簡単な生活環境を整えますよ」


「本当ですか!?」


「ああ、どのみち経過を診て、いろいろ治療を考えないといけないしね」


「ありがとうございます……助かります」


「あなたが元の暮らしに戻れるように、こちらとしても力を尽くしたいと思います」


「……お願いします」


「……うーん、『あなた』と呼ぶのも違和感がありますね。記憶を取り戻すまでは、何か仮の名前でも決めておきましょうか?」


「か、仮の名前……ですか」


「はは、そんなに難しく考えることはありませんよ。自分の名前を自分で決めるなんてそうそうできないことですし、いかがですか?」


「…………そうですね。では……」




後田創うしろだ はじめ……そう名乗ります」


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