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ボケとツッコミは日常的!  作者: サイト
4/17

遅刻の言い訳は日常的

「なぁ、咲って本当に納豆好きなのか?」

「大嫌いよ」

「じゃあ、何で納豆、好きなんて言ってるんだ?」

「納豆を好きになってもらうためよ」

「誰に?」

「アレルギーの人に」

「殺す気!?」

「ヤバイ……」

「ヤバイわね……」

宏平と咲、そして十夜は教室の前で立ち止まっていた。

時刻は八時四十二分。

普通の高校ならば、すでにショートホームルームが始まり、先生が生徒の出席をとったり今日の予定などを説明する時間。

学校に遅刻した三人は、教室のドアの前で座り込みある計画を立てていた。

「では、どうやって教室に入るか?」

「そうね……気づかれずに入ることができたら、先生に怒られずにすむわ」

「いや、普通に謝って入るのはダメなのか?」

十夜は、極真っ当なことを二人に伝えた。

当然、普通の高校生は何のためらいもなく教室に入り先生に起こらるか、注意を受けるくらいで済む。

なぜ、十夜にはこんなことをしてるのかわからなかった。

「馬鹿かお前は!!!!」

「えぇ!なにこの人、バカって言ってきた!」

心に一本の矢が貫いた……感じが十夜を襲った。

「本当よ!馬鹿!カス!」

「この人も馬鹿って言ってきた!おまけにカスって!」

ガクリと十夜は頭を落とした。

「このカス!炭!耳!」

「民主主義!魚介類!イカ!!!!」

「途中からしりとりになってるよ!!!!」

コホンと咳払いをした後、宏平はいつも以上に真剣な顔を作った。

「諸君、今日、我々は遅刻した!しかし、遅刻はしていいものなのか!?」何を言っているんだこいつ……十夜はそう思いながらも口には出さなかった。

「ダメだ!ダメなのだ!だからこそ、ばれずに教室に入らねばならぬ!」

「どうしたら、そういうことになる」

「十夜、人間やらねばならぬ時がある。今がその時だろ!」

「教室に入ることが!?」

「十夜、私は思うの。もし、教室に入ることができたら……死んでもいい」

「そんなに!?」

「見ろ、十夜。教室にいるおびただしい生き物。あぁ、怖い」

「人間だよ!!!!あと、何の話をしてるのお前!?」

「十夜、教室の中を見て、教卓の前にいる動物、何かわかる?」

「先生!!!!ある意味動物だけど、先生って言おうよ!」

「そう、あれはカマキリ」

「違うよ!先生!虫じゃない!」

「カマキリが名字、カマキリが名前」

「名字と名前が同じだよ!」

「カマキリのカと書いて、カマキリよ」

「どうして!?カからあとの三文字は何処へ!?」

「視力、ゼロよ」

「何も見えてない!!!!」

「身長、ゼロよ」

「存在してない!!!!」

「納豆が好き」

「それお前!!!!」

「職業、先生」

「知ってる!!!!」

「疲れたわ」

「こっちの台詞だ!!!!」



あれから一分。



「よし……準備はいいか?ヘンリー、ジョン」

「誰だよ」

「いいわよ、ヘンリー」

「お前がヘンリーかよ」

「では、これより、こっそり入ろう大作戦開始する」

「作戦名ダサ!」

「まず、キャサリー」

「だから誰だよ」

「なに?」

「前のドアか入室。つまり正面突破だ」

「こっそりは何処へ!?」

「そして、カマキリは目が悪いから誰が誰だかわからない。そこを狙い、ザクッと」

「事件が起きてる!それは、まずいよ!あと先生の名前は桐島だから!」

「じゃあ、トイレいたってことにしよう」

「わかったわ」

「いいの!?」

「そして俺はその間に後ろのドアから入室。そして―ポチ」

「犬か俺は!?」

「よく聞け、一度しか言わないからな」

「お、おう。わかった」

「頑張れ」

「ざつか!俺の作戦ざつすぎるだろ!!!!」

「もう一度聞く?」

「聞かねぇよ!」

結果的に、宏平と同じく十夜も後ろのドアから入室することになった。






先生が生徒の出席をとり始め、数人の点呼がおわり、教室のドアがガラーと開いた。

桐島先生は開いたドアを見ると一人の生徒が立っているのがなんとなくわかった。

「えっと、誰かしら?今日、メガネ忘れて見えないの」

「田中ですわ」

「あぁ、田中さんね」

その様子を見ていた十夜は、田中はこのクラスにいないと先生に伝えたくて仕方がなかった。

「それで、田中さんは遅刻かな?」

「いいえ、学校に遅れて到着しただけです」

(それを遅刻って言うんだよ!)

そう思いながら、十夜はツッコミを入れるのを我慢してた。

「そうなの。じゃあ、違うわね」

(何でだよ!!!!)

そこで、再び教室のドアが開く音がした。

ドアの前にいたのは先ほどまで十夜のとなりにいた宏平だった。

「あれ、今度は誰?」

「ヘンリーっス!」

(誰だよ)

「あぁ、ヘンリーくんね」

(だから、いないよ!)

「ヘンリー君は遅刻?」

「道に迷ってたおばあさんを助けてたら……」

「それは、仕方ないわね。今日だけよ」

「ありがとうございます!」

そうして、咲と宏平は自分の席に着いた。

それを、見ていた十夜は―



しまった!タイミングを失った!



と、思った。

仕方なく、十夜も二人の真似をして教室のドア開ける。

「あれ?」

当然、先生がこちらを見てくる。

(大丈夫、先生は俺の顔が見えてない。何とかなる)

「佐々木くん、遅刻?」

(予想外!!!!)

「あぁ、いや。その……」

予想外の展開に十夜はパニックに陥る。

「あの、遅刻じゃなくて、学校に遅れただけで……」

つい咲と同じことを言ってしまい後悔するが、先ほど咲が上手くいった作戦。なんとかなると十夜は思った。

「それを遅刻って言うのよ」

(予想外!!!!)

「いや、その……、道に迷ってたおじさんを助けてたら」

今度は宏平の言い訳を真似してしまった。などと思う十夜だが、そんなことは言ってられない。

「どんな、おじさん?」

(予想外!!!!)

「えっと、白髪のおじさんです」

「名前は?」

「田中さんです」

「さっき、家の人から息子は遅刻ですって連絡がきましたよ」

(予想外!!!!)

「いや、あの……すいません。遅刻です」

「そうですか、では後ほど職員室に来てください」

「……はい」









生徒は皆、帰宅し、屋上に一人十夜は夕焼けを見ていた。

「十夜」

「十夜」

二人の男子生徒と女子生徒の声が聞こえる。

「ごめんな」

「ごめんなさい」

十夜は二人の姿を見るとハァとため息をつく。

「お前ら……」

宏平と咲の姿を見て、十夜は泣きたくなる。

「お前ら……謝る気ないよね?」

セーラー服をきた宏平。

柔道着きた咲。

「「うん」」

と、そう言った。




これが彼らなのだ。

物語は始まったばかりなのだ。



つづく





「授業も終わったし帰るか……」

「おい!十夜!部活わすれるなよ!」

「……部活か」

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