第1話 クオーターのエルフ、レアル
草原を走り回るケイトコーンのようなしなやかな筋肉を持ち、人間よりも長身で運動神経も頭一つ抜けており、直感力が鋭く、野性の本能を持っている。
それはエルフの血が半分でも四分の一でも変わらない事だ。
スプリンググリーンの瞳にフラクスンの髪。自然の中に溶け込みそうな毛色と虹彩はエルフ特有のもの。外見は純血のエルフとほとんど同じだが、耳だけが違った。エルフ本来の針葉樹の葉の形ではなく、広葉樹の葉のような形だ。
その耳は混血である事を現している。
レアル・ブラッドリーは母方の祖母がエルフだ。しかし、その祖母の顔は知らない。エルフは定住生活を好まず、森の中を自由に駆けて生活する。レアルは協会に入り、ほとんど定住生活だったが、純粋なエルフの祖母は違うだろう。
エルフの国と呼ばれるルードフィはほとんど森だ。首都のカラコムといくつかの町は人間文明化し、普通の都市のように建物が立ち並んでいるが、皇宮は大木を刳り貫いた造りになっており、その周辺は広大な庭となっている。国全体が自然豊かな場所であり、木や岩を足場としたスポーツ――ルードヤットの発祥地とも呼ばれる。