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1.地球は無くなりました

ベタな異世界転生物語です。剣と魔法、ダンジョン探検にモンスターがわんさか。多少流血場面もありますので、気持ち悪くなられた方は、閲覧を中止してください(でもそんなにひどくないかも……)

 布団とは段違いに柔らかい感触が掌に当たり、山田和哉は眼を覚ました。


「ああよかったっ!! やっとお目覚めですねっ」


 アニキャラ女子の、キャピッ、としたかわいい声が頭上から降って来た。

 誰? と、和哉は首を上げる。

 視覚に入って来たのは、暗黒。


「な……?! ここ、どこ?」


 驚いて身を起こした――積りだった。が、身体は全く重力を感じず、和哉はその場で、ぐるん、と一回転してしまった。


「あ、まだそんなにお急ぎにならないで下さいっ。ただ今、そちらへ参りますからっ」


 ポウっ、と、闇の一点が明るくなった。そこに、銀色の髪をツーテールにした女の子が現れた。

 女の子は、髪だけでなく、ノースリーブの襟付きブラウスもふわっとした可愛いチュチュも、全部銀色をしていた。

 おまけに、あろうことか、背中に生えた、蝶のような羽まで銀色である。


「初めまして。私、月天使のナリディアといいます」


 にっこり笑うきゃぴ系女子――ナリディアの目も、銀色。


 やっぱアニキャラ? と、和哉は、突飛な色彩の少女に戸惑いながら、「……初めまして」と小さな声で返した。


「あっ、私の格好って、やっぱそんなにキバツですか? 地球の方が、みぃんな驚かれるので」


「やっぱ、キバツだと、思います。が」


 でも、コ○ケなんかに行けば、きっとこんな格好の女子、結構居るのかもしれない、と、和哉は内心呟く。

 いや。もしかして、このナリディアという少女も、コスプレイヤーなのかもしれない。

 自分はきっと、寝ている間に誰か友人の冗談で、真っ暗なこの部屋へ運び込まれたに違いない――

 という考えを、だが、和哉は途中で止めた。

 確か、この場所に来る前は、自分は学校にいた筈だ。しかも、化学の実験で、化学室の椅子に座っていた。

 目の前には、水と薬品が入ったビーカーがあって、そこにガラス管を入れて、下からバーナーで炙って……


 爆発、したのだ。


 ガラス管と、ビーカーが。


 いや、違う。


 爆発したのは、教室そのものだ。

 一瞬、目の前のガラス容器全部が、真っ白な光に包まれて、それから、凄まじい爆音が和哉の鼓膜をつんざいて――


「――教室。どうなった?」


 思わず訊いた和哉に、ナリディアの表情が曇った。

 しゅんとなって項垂れた少女は、呻くような声で「ごめんなさい」と言った。


 ******


 降り立ったのは、草原だった。


 どこまでも続く、緑の波。その先に、小さな林があり、民家が何軒か見えた。

 集落――村だろう。民家の近くには柵があり、多分、中には家畜がいる。

 さらに、その周囲には畑が広がっている。田圃は無い。

 和哉が知っている限り、この風景は中世ヨーロッパに近い。

 もっと言えば、ゲーム機の画面で見慣れている景色。


「想像した風景、か……」


 先刻まで、和哉は異空間にいた。ナリディアと名乗る、自称《月天使》の異星人らしき少女と一緒に。

 彼女と出会う前の場所がどうなったのかについて尋ねると、ナリディアは、和哉に、深々と頭を下げた。


「ごめんなさい。あなたが居た星は、私のコントロールミスで、無くなっちゃいました……」


「え……? それ、どういうこと?」


 何のコントロールミス? それで、どうして地球が無くなる?


「実は、私達は宇宙空間管理システムエンジニアなんです。――ああ、地球の方々は、他の星の方と比べて文明が進んでいらしたので、お話しても理解されますので、ご説明させていただくのですが」


 ナリディアの話では、彼女達《月天使》は、宇宙空間同士の接触や離散を別時空からコントロールし、生物が多様化した宇宙や銀河を極力保護する役割をしていたらしい。

 が。《月天使》達の世界時間で、二百四十二時間前、ある宇宙空間が暴走する兆しがあった。


 宇宙空間の暴走自体は、そう珍しい現象ではないらしい。一定時間が経った宇宙では、急速に萎む、あるいは急速に膨張する前に、宇宙空間全体が《ゆらぎ》の上を走り出し、他の宇宙空間に接触することがあるという。

 走る先に多様生物が散布している宇宙空間がある場合には、管理担当者の月天使は、暴走宇宙とぶつかられそうな宇宙にチェックを入れ、運動値を書き換えて暴走方向と回避方向をコントロールする。


「そのチェックの時に、暴走速度の数値を誤って入力してしまい……。地球は、膨張宇宙に巻き込まれて、無くなりました」


 唖然とした和哉に、ナリディアは「お詫びとして」と、いくつかの提案をして来た。


「現在、地球の皆さんは真我の上にアストラルボディを被せた形で、私達が個々に保護をしています。

 で、今までの地球での生活を続けたい方は、元の肉体に近いものをご用意させて頂いて、環境がそっくりな異世界の星へとご案内します。

 また、地球環境ではない、別世界への移住をご希望の方は、幾つかの条件を承諾して頂き、その世界の住人として相応しい、ご希望の能力値を付加させて頂いて、移住していただきます」 


 ナリディアの提示した異世界は、それこそ百とあったが、和哉はその中から、即座にRPGゲーム風の世界を選んだ。


 それはそうだろう。


“憧れのゲーム世界”。


“冒険者となり、一獲千金を目指して、世界を放浪してみたい”。


 地球では絶対お目にかかれない、ドラゴンやフェニックスが、本当に存在するという世界なのだ。

 幼い頃からゲームに慣れ親しんだ十七歳の男子高校生にしたら、夢のような話だ。


 全く、全然、これまでの生活に未練は無かった。

 和哉は元々、ぱっとしない男子高生だった。平均的な生活水準の家庭に生まれて育ち、学校でも、成績にしろ友人関係にしろ、教師の評価にしろ、常に平均値。

 そんな平々凡々な自分を、リセット出来るものならリセットしたかった。だから。


 迷わず、地球を切って捨てた。

 

 そして、その移住の条件は――


「ご家族を、忘れることです」

初めて書いてみましたっ、本格的異世界転生物語っ!!!!


……って、胸張って威張れるシロモノではないですが。ぼちぼち書いて行きますので、よろしくお願いいたします。

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