「お前とは婚約破棄だ!」「残念だったわね。私達は影武者よ」「は!?」
短いです
名前を借りました
公爵令息マンクスと婚約してから、私バーミーズは命を狙われている。
ある時は誘拐されそうになり
ある時は乗っていた馬車を襲われ
ある時は歩いている所を突き飛ばされ
ある時は盗賊がやってきて
ある時は飲み物に毒を入れられ
…よく生きていたな私…
公爵家は、よくある事だと言って、何も対策してくれなかった。
我が伯爵家では、影武者を作って、似た名前の令嬢をうろちょろさせたり、人前に出なくなったり、地道な努力と苦労をした。
それでも、公爵家に近付きたい家の者達、公爵家に敵対する者達に、ずっと狙われていた。
数年後、とある夜会。
「バーミラ!お前とは婚約破棄だ!」
婚約者マンクスが突然言った。
私の影武者に向かって。
「私、婚約者じゃないわ」
バーミラは、正直に言った。
「は?」
やっぱり分からなかったんだね。
婚約者が分からないってどうなのかな?
命を狙われるから、影武者を立てるって報告したはずだけど?
「貴方の婚約者じゃないと言ったのよ」
「え?」
それから、隣にいるバリニーズを見て
「お前か?」
と言った。
「私じゃないわ」
バリニーズは言った。
「じゃあ…お前か?」
と、私の隣にいたバーマンに言った。
「私じゃないわ」
バーマンが言った。
「え?」
まだ分かっていない婚約者。
本当に婚約者なのかな?
ま、浮気ばかりで、何の交流もしてないし。
「残念だったわね。私達は影武者よ」
バーミラが言った。
「は!?」
「婚約者なのに、名前も覚えてないの?」
バリニーズが正論パンチした。
「え?」
まだ困惑している婚約者を見て
「本物の婚約者は、そちら」
バーマンが私を示した。
「「え?」」
マンクスと浮気相手の男爵令嬢コラットが、私を見た。
「余りにも命を狙われるから、影武者を作ったのよ。そう報告したはずだけど」
私は言った。
本当に忘れていたんだな。アホだな。
「えっ…貴女が婚約者だったの?…そんな…ごめんなさい…」
コラットが、顔を真っ青にして謝ってきた。
私は以前、偶然だったがコラットの命を助けた。
だから、コラットは、私に恩義を感じている。
でも、私の婚約者と浮気してるんだけどね。
恩義とは?
「え?」
またもや置いてきぼりの婚約者。
「命の恩人の婚約者とは思わなかったのよ!」
言い訳を始めるコラット。
「命の恩人じゃなければ、婚約者を奪っても良いと?」
「違うの…ごめんなさい!」
知ってる。婚約者がいる男を奪いたくなる病気なのよね。
「良いの…お2人共、お幸せになってね」
私は、マンクスとコラットに向かって笑顔で言った。
「「え?」」
「浮気する人は、何度でも浮気すると言うわ。私、そんな人いらないもの」
「「え?」」
「貴方と婚約してから、誘拐されたり、毒を飲まされたり、本当に生きた心地がしなかったわ。これで、やっと安心して暮らせるわ!婚約破棄してくれてありがとう!さよなら」
私は、ルンルン気分で、影武者達を連れて帰った。
「ちょ…」
取り残された元婚約者と浮気相手は、立ち尽くすしかなかった。
婚約は、元婚約者有責で破棄された。
浮気したからね。
元婚約者は、勝手に婚約破棄を宣言した挙げ句に、婚約者が誰か分からなかったという情けなくも恥ずかしい事をした為、領地に閉じ込められた。
浮気相手も、他人の婚約者を奪ったと白い目で見られ、社交界から消えた。
命を狙われる理由が無くなり、私は安心して暮らせるようになった。
死線を一緒に乗り越えてきた影武者達(親戚の子達)や、護衛や家族と、祝杯をあげたのだった。
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