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 いま、僕は夢を見ている。


 僕の目の前には小学校低学年の頃の僕がいて、それを俯瞰してるように見ている感じだ。


 当時の僕は変に正義感をこじらせていて、どんな小さな悪いことも許せないといった性格だった。喧嘩をするなとか、暴力を振るうなだとか、いちいち口うるさく言うような子供だった。


 今思えば、かなり面倒な子供だったと思う。

 特に子供からしたら、自分の自由にケチつけてくる目の上のたんこぶみたいな奴だろう。僕に対して気に食わない人間が出てくるのも当然だ。


 ただ、その時の僕は絶対的な正義があると信じていただけだ。悪気などは一切なく、間違ったことを許したくないというその一心だった。

 正しいと思うことをするのが正義だと、信じていただけだ。


 その正義感が、ある日友達を傷つけてしまった。


 僕の目の前には、悲しそうに顔を歪めて泣きじゃくる友達の姿と、友達を傷つけてしまったことに絶望する子供の頃の僕の姿が見える。


 僕は正しいことをしたつもりなのに。間違ってないはずなのに。僕は悪くないはずなのに。


 それでも、僕は友達を傷つけてしまった。僕を信じてくれてた友達を裏切ってしまった。

 あいつの泣いた顔を初めて見た。

 その時に僕は気づいた。どうやら僕の中の正義は、間違ってたらしい。


 友達を傷つけることが、正義なはずがない。


 それ以来、僕は学んだ。自分の意見を人に押し付けると波風を立ててしまうと。そして、波風を立てると自分の大切な人まで巻き込んでしまうと。


 それから僕は、自分の意見を主張することがなくなった。周りの意見に合わせて対応することで、トラブルを起こさないように立ち回ることを覚えたからだ。

 僕には、この平穏な日々が性に合っている。


 

 だけど、ただ一人。


 ただ一人だけは、僕の厄介な正義感を認めてくれた。人から腫れ物扱いされてた考え方を、その人は肯定してくれた。


 そして、大好きと言ってくれた。


 名前も、声も、顔も、ほとんど覚えてないが、断片的なその記憶は僕にとって大切なものとして焼き付いてる。

 本当に、大切な人だった。


............どこいっちゃったの。ねいちゃん。


 懐かしいその記憶は刹那に霧散して、僕は夢から覚めた。

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