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帰宅

「ただいま〜」


 返事は無く、虚しさが残る。

 一人暮らしで誰もいないのは分かってるが、癖だからしょうがない。

 僕はそのままノシノシと部屋に上がり、自分の部屋のベッドにゴロンと体を沈みこませた。


「うがぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛......」


 ため息と呻き声のハイブリッドのような奇声を誰もいない空間に垂れ流す。


 なんだか、今日は異様に疲れた。学校まではいつも通りの日常だったのに......どこで狂ってしまったのか......


——ブブブッ......

 スマホが振動したのに気づき、ベッドに寝転がったままノソノソと確認する。


『琥珀くん! LIMEの交換ありがとう!』


「はぁぁぁぁ......」

 画面越しからも嬉しさと可愛らしさが伝わるようなメッセージに、僕は盛大にため息を垂れ流した。


 さて、この子への対応はどうしよう。

 ナンパから助けた女の子と、どういう訳か付き合うことになり、流れと勢いでLIMEを交換してしまった。本当になんでこうなった。

 流れにまかせてこうなってしまったが、冷静に考えると会ったばかりの女の子と付き合うなんて軽率にも程があるだろう。


 そもそも、僕はあの子の名前すら知らない気がする。

 あのあとはLIMEを聞かれた後すぐにあの子が帰っちゃって、ろくに自己紹介もしてなかった。本当に、謎の多い女の子だ。

 LIMEには「ノマ」という名前で登録されてるが、フルネームは知らない。


「......やっぱり、このまま付き合うのは危ないよな」

 そう独り言ちると、覚悟が決まった。


 このままLIMEの返信をしなければノマちゃん(仮)は僕と話をする機会が無いはずだ。つまり、このまま無視してれば自然と関係が消滅するはずだ。

 ノマちゃんには悪いが、これも僕の平穏な日常を守るためだ。


 僕は開いていたLIMEの画面を閉じた。

「ふぁぁああ......んぅ......」

 あくびをひとつ零すと、急に眠気が込み上げてきた。思えば、今日は面倒事に巻き込まれてしまって疲れていた。


......三十分だけ寝ようか。

 僕は眠気で重くなってる目を擦ると、ゆっくりと目を閉じた。

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