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転生したら十歳の幼女医師でした~前世の医学知識で異世界医療を改革します~  作者: NN
転生したら十歳の幼女医師でした~前世の医学知識で異世界医療を改革します~

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第068話 王立医学会での発表

 王立医学会の当日が来た。


 早朝から緊張していた。


 何度も発表原稿を読み返す。


 図表を確認する。


 全ての準備は整っている。


 でも、不安は消えない。


「リーゼ、大丈夫?」


 エリーゼが心配そうに聞いた。


「少し緊張してる」


 私は正直に答えた。


「王国中の医師が集まるのよ。失敗したら——」


「大丈夫よ」


 エリーゼが私の手を握った。


「あなたの研究は素晴らしい。自信を持って」


「ありがとう」


 ルーカス先輩も励ましてくれた。


「リーゼ、お前なら絶対できる」


 先輩が私の肩を叩いた。


「今まで何度も困難を乗り越えてきただろ? 今回も同じだ」



 王立大講堂へ向かう馬車の中。


 窓の外を見ると、多くの馬車が同じ方向へ向かっている。


 全員、王立医学会へ向かう医師たちだ。


 大講堂に到着すると、すでに多くの人が集まっていた。


 立派な服装の医師たち。


 様々な年齢、様々な地域から来ている。


 王国最大の医学学会——その規模を実感する。


「リーゼ先生」


 ヴィルヘルム先生が迎えてくれた。


「準備はいいか?」


「はい」


 私は頷いた。


「全力を尽くします」


「よし。お前の発表は午後の部、三番目だ」


 先生が説明してくれた。


「それまで、他の発表を聞いて落ち着くといい」


 控室に案内された。


 そこには、他の発表者たちが待機していた。


 みんな緊張した顔をしている。



 午前の部が始まった。


 私も聴衆席に座り、他の発表を聞く。


 最初の発表——新しい外科手技について。


 詳細で、分かりやすい。


 質疑応答も活発だ。


 二番目の発表——薬草の新しい効能について。


 実験データがしっかりしている。


 聴衆も真剣に聞いている。


 どの発表も高いレベルだ。


 私の発表も、このレベルに達しているだろうか?


 不安が込み上げてくる。


「リーゼ」


 エリーゼが隣で囁いた。


「あなたの研究は、どの発表にも負けていないわ」


「ありがとう」


 友人の言葉が、心強い。



 午後の部が始まった。


 最初の二つの発表が終わった。


 そして——


「次は、リーゼ・フォン・ハイムダル先生による発表です」


 司会者が私の名前を呼んだ。


 会場がざわついた。


「リーゼ・フォン・ハイムダル?」


「あの二年生の?」


「王国医学協会認定医師だろう」


「王宮で診察も行っているそうだ」


 様々な声が聞こえる。


 深呼吸。


 落ち着け。


 壇上へ歩く。


 一歩、一歩。


 確実に。


 壇上に立つと、数百人の視線が私に集中した。


 重い。


 でも、負けない。



「皆様、こんにちは」


 私ははっきりと言った。


 声が会場に響く。


「王都医学院二年生のリーゼ・フォン・ハイムダルです」


 一瞬の静寂。


「本日は、全身性エリテマトーデスの診断と治療について発表させていただきます」


 最初のスライドを示す。


 タイトル——「全身性エリテマトーデス:症例分析と治療法の確立」


「全身性エリテマトーデスは、自己免疫疾患の一種です」


 私は説明を始めた。


「患者自身の免疫系が、自分の体を攻撃してしまう病気です」


 次のスライド——症状の一覧。


「特徴的な症状として、蝶形紅斑があります」


 ソフィア様の症例図を示す。


「顔に、蝶のような形の発疹が現れます」


 会場が静まり返っている。


 みんな真剣に聞いている。



「第一症例を紹介します」


 ソフィア様のケース——もちろん、許可を得ている。


「十五歳の女性。三ヶ月前から原因不明の体調不良」


 詳しく説明していく。


 初診時の症状。


 診察所見。


 そして診断に至るまでの過程。


「蝶形紅斑、光線過敏症、口腔内潰瘍、関節痛——これらの特徴的な所見の組み合わせから、全身性エリテマトーデスと診断しました」


 治療法のスライドを示す。


「薬草を組み合わせた治療を行いました」


「柳の樹皮、カモミール、ターメリック——抗炎症作用」


「セイヨウニワトコ、エキナセア——免疫調整作用」


 治療経過のグラフを示す。


「治療開始から一週間で、症状の改善が見られました」


「一ヶ月後には、日常生活が可能になりました」


 会場から小さなざわめき。


 良い反応だ。



 最後のスライド——治療マニュアル。


「詳細な治療マニュアルを作成しました」


「薬草の配合比率、服用方法、経過観察のポイント——全てを記載しています」


「このマニュアルは、後日公開する予定です」


 発表を終えた。


 深呼吸。


 やり遂げた。



 一瞬の沈黙。


 そして——拍手が起こった。


 一人、二人、やがて会場全体が拍手に包まれた。


 スタンディングオベーション。


 全員が立ち上がって拍手している。


「素晴らしい!」


「これは画期的だ!」


「二年生でこの研究とは!」


 称賛の声が聞こえる。


 私は深く礼をした。


 質疑応答の時間になった。


 多くの手が上がった。


「リーゼ先生」


 一人の老医師が立ち上がった。


「素晴らしい発表でした。一つ質問があります」


「はい、どうぞ」


「薬草の配合比率は、どのように決定したのですか?」


「試行錯誤の結果です」


 私は丁寧に答えた。


「最初は文献を参考にしましたが、患者の反応を見ながら調整しました」


「なるほど」


 医師が満足そうに頷いた。



 次々と質問が来る。


 全てに丁寧に答えていく。


 診断基準について。


 鑑別診断について。


 治療中の注意点について。


 質疑応答は三十分続いた。


 最後に、司会者が言った。


「リーゼ先生、素晴らしい発表をありがとうございました」


 大きな拍手。


 壇上を降りると、多くの医師が近づいてきた。


「リーゼ先生、名刺を」


「ぜひ一度、私の病院に来てください」


「共同研究をお願いできませんか?」


 次々と声をかけられる。


 全てに丁寧に対応する。


 ヴィルヘルム先生が誇らしげに言った。


「リーゼ、見事だった」


 先生が微笑んだ。


「王立医学会史上、最年少の発表者として、完璧な発表だった」


「ありがとうございます」



 その時、会場の後ろから一人の男性が近づいてきた。


 六十代くらい、白髪の威厳のある医師だ。


 豪華な服装——高位の貴族だと分かる。


「リーゼ先生」


 男性が声をかけた。


「私はフリードリヒ・フォン・ヴェルナー」


 王国医学協会の会長だ。


 私はすぐに深く礼をした。


「会長、お目にかかれて光栄です」


「顔を上げてください」


 会長が微笑んだ。


「素晴らしい発表でした」


「恐れ入ります」


「実は、お願いがあるのです」


 会長が真剣な顔になった。


「王国医学協会の特別研究員として、あなたに就任していただきたい」


 私は驚いた。


「特別研究員……ですか?」



「はい」


 会長が説明してくれた。


「王国医学協会の特別研究員は、王国の医学発展のために研究を行う役職です」


「通常は、三十歳以上、十年以上の研究実績がある者にのみ与えられます」


「しかし、あなたの業績は例外的です」


「全身性エリテマトーデスの研究、王宮での複数の難症例診断、そして古医学書の解読」


「これらの功績を鑑みて、特別に就任をお願いしたいのです」


 私は少し考えた。


 大きな責任だ。


 でも、これは千載一遇のチャンスでもある。


「お受けします」


 私は決意した。


「ありがとうございます」


「素晴らしい」


 会長が満足そうに頷いた。


「正式な任命式は、来週行います」


「よろしくお願いします」



 発表会が終わり、エリーゼとルーカス先輩が駆け寄ってきた。


「リーゼ、すごかったわ!」


 エリーゼが涙を流して抱きついてきた。


「完璧だったわよ」


「お前、やったな」


 ルーカス先輩が笑った。


「特別研究員だって? 二年生でそれは前例がないぞ」


「みんなのおかげです」


 私は微笑んだ。


「一人では、ここまで来られませんでした」


 トーマスとクラウディアも祝福してくれた。


「リーゼ、おめでとう!」


 トーマスが拳を握った。


「お前、本当にすごいよ」


「王国医学協会の特別研究員なんて、夢のようだわ」


 クラウディアも感動していた。



 その夜、医学院で祝賀会が開かれた。


 学生、教授、医師——みんなが集まって祝福してくれる。


「リーゼ先輩、おめでとうございます!」


 一年生たちが次々と声をかけてくる。


「素晴らしい発表でした」


「私も先輩みたいになりたいです」


 ヴィルヘルム先生が乾杯の音頭を取った。


「王立医学会での発表成功、そして特別研究員就任——リーゼ・フォン・ハイムダルに乾杯!」


「乾杯!」


 会場が歓声に包まれる。


 温かい。


 みんなの支援があったからこその成功だ。


 エリーゼが隣に来た。


「リーゼ、今日は本当にすごかったわ」


「ありがとう、エリーゼ」


 私は友人の手を握った。


「あなたがいつも支えてくれたから」


「当たり前よ」


 エリーゼが微笑んだ。


「私たち、友達でしょ」



 祝賀会が終わり、部屋に戻った。


 疲れたが、充実感がある。


 王立医学会での発表——成功だった。


 そして、特別研究員への就任。


 予想外の展開だったが、嬉しい。


 窓を開けると夜風が入ってくる。


 星が美しく輝いている。


「お父様、お母様、マルタさん」


 星に向かって小さく呟いた。


「今日、王立医学会で発表しました」


「大成功でした」


「そして、王国医学協会の特別研究員に就任することになりました」


「二年生では前例のないことだそうです」


「これからも、もっと頑張ります」


「もっと多くの人を救います」


 星が優しく瞬いている。


 まるで祝福してくれているかのように。



 机の上には、明日の予定表があった。


 授業、実習、古医学書の解読、そして特別研究員としての初仕事。


 全てが重要な仕事だ。


 責任は大きくなったが、やりがいもある。


「おやすみなさい」


 小さく呟いて、ベッドに入った。


 王立医学会での発表——それは大きな転換点だった。


 特別研究員への就任——新たな責任を負うことになった。


 でも、怖くはない。


 準備はできている。


 仲間がいる。


 そして使命がある。


 もっと学び、もっと成長し、もっと多くの人を救う。


 それが私の目標だ。


 明日からまた、新しい挑戦が始まる。


 でも、一歩ずつ進んでいこう。


 少女医師の挑戦は、続いていく。

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― 新着の感想 ―
更新、ありがとうございます。主人公の境遇は順調すぎる気がします。権力闘争、陰謀、パンデミック等なんでもいいですが、主人公の手に余るような事態を発生させて、苦労して乗り切るような、お話に起伏が必要かと思…
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