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転生したら十歳の幼女医師でした~前世の医学知識で異世界医療を改革します~  作者: NN
転生したら十歳の幼女医師でした~前世の医学知識で異世界医療を改革します~

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第58話 医学会での発表

一週間後、王立医学会の総会が開催されることになった。年に四回開催される、この国最大の医学集会だ。


ヴィルヘルム先生が、私に発表の機会を与えてくれた。


「リーゼ、全身性エリテマトーデスの症例を発表しなさい」


先生が、言った。


「多くの医師に、この知識を共有するべきだ」


「はい」


私は、頷いた。でも、心の中では緊張していた。


王立医学会。王国中の医師が集まる。その前で、発表する。それは、大きな挑戦だ。



発表の準備に、追われた。論文の推敲。図表の作成。発表原稿の練習。全てを、完璧にしなければならない。


エリーゼが、手伝ってくれた。


「リーゼ、この図、分かりやすいわ」


友人が、図表を見て言った。


「症状の進行が、一目で分かる」


「ありがとう」


私は、微笑んだ。


「エリーゼのアドバイスのおかげよ」


ルーカス先輩も、発表の練習に付き合ってくれた。


「リーゼ、もっと声を大きく」


先輩が、アドバイスしてくれた。


「聴衆全員に届くように」


「はい」


何度も、何度も練習する。声の大きさ、話すスピード、図表を示すタイミング。全てを、調整していく。


アンネリーゼも、訪ねてきてくれた。


「リーゼ先生、発表の準備はいかがですか?」


北部での任務で一緒だった宮廷医師だ。


「順調です」


私は、答えた。


「でも、少し緊張してます」


「当然です」


アンネリーゼが、微笑んだ。


「王立医学会の発表は、大きな責任です」


「でも、あなたなら大丈夫」


「ソフィア様の症例は、画期的です」


「必ず、評価されます」



発表の前日、部屋で最終確認をしていた。原稿を、何度も読み返す。図表を、確認する。全てが、準備できている。


でも、不安は消えない。


窓を開けると、夜風が入ってくる。星が、美しく輝いている。


「お父様、お母様、マルタさん」


星に向かって、小さく呟いた。


「明日、大きな発表があります」


「王立医学会で、多くの医師の前で話します」


「緊張していますが、頑張ります」


「見守っていてください」


星が、優しく瞬いている。まるで、応援してくれているかのように。


ベッドに入り、目を閉じる。でも、眠れない。心臓が、高鳴っている。


明日の発表。それは、私の医師人生の大きな節目だ。


成功すれば、大きく前進できる。失敗すれば……。


いや、失敗は許されない。


深呼吸。落ち着け。


大丈夫。準備は、完璧だ。知識も、ある。経験も、積んだ。


自信を持って、臨もう。



翌朝、王立医学会の会場へ向かった。王宮の大講堂。美しい建物だ。高い天井、大きな窓、立派なシャンデリア。全てが、圧倒的だった。


エリーゼとルーカス先輩が、見送ってくれた。


「リーゼ、頑張って」


エリーゼが、抱きしめてくれた。


「あなたなら、絶対大丈夫」


「お前の実力を、見せつけてこい」


ルーカス先輩が、私の肩を叩いた。


「ありがとうございます」


会場に入ると、すでに多くの医師が集まっていた。百人以上。いや、二百人近くいるかもしれない。王国中から、医師が集まっている。様々な年齢、様々な専門。全員が、経験豊富な医師たちだ。


その前で、発表する。私の心臓が、さらに高鳴った。



開会の挨拶の後、いくつかの発表があった。外科手技の改良、新しい薬草の発見、疾患の統計分析。全てが、高いレベルの内容だ。


そして、私の順番が来た。


「次は、リーゼ・フォン・ハイムダル先生による発表です」


司会者が、私の名前を呼んだ。会場が、ざわついた。


「リーゼ・フォン・ハイムダル?」


「あの、王家認定医師の?」


「まだ、十二歳だろう?」


私は、壇上へ歩いた。一歩、一歩。確実に。


壇上に立つと、全員の視線が私に集中した。


重い。プレッシャーを感じる。でも、負けない。


深呼吸。落ち着け。大丈夫。


「本日は、全身性エリテマトーデスの症例について発表させていただきます」


私は、はっきりと言った。声が、会場に響く。


よし。うまくいっている。



「全身性エリテマトーデスは、自己免疫疾患の一種です」


私は、説明を始めた。


「患者自身の免疫系が、自分の体を攻撃してしまう病気です」


図表を示す。症状の一覧、診断基準。全てを、分かりやすく説明する。


「特徴的な症状として、蝶形紅斑があります」


私は、ソフィアの症例を描いた医学図譜を見せた。もちろん、事前に許可を得ている。


「顔に、蝶のような形の発疹が現れます」


会場から、小さなざわめき。


「他にも、関節痛、倦怠感、微熱、肝脾腫などの症状があります」


一つ一つ、詳しく説明していく。


「診断は、これらの症状を総合的に判断して行います」


診断のフローチャートを示す。医師たちが、真剣に見ている。メモを取る人もいる。


よし。関心を持ってくれている。


「治療法について、説明します」


私は、次の図表を示した。


「抗炎症作用のある薬草と、免疫調整作用のある薬草を組み合わせます」


「具体的には、柳の樹皮、カモミール、ターメリック」


「そして、セイヨウニワトコ、エキナセアです」


医師たちが、驚いた顔をしている。


「これらを、適切な配合で使用することで、症状をコントロールできます」



「症例を紹介します」


私は、ソフィアのケースを説明した。最初の症状、診断の過程、治療法の選択、そして経過。


「治療開始から一週間で、症状の改善が見られました」


図表を示す。体温の変化、関節痛の軽減。全てが、データで示されている。


「二週間後には、ベッドから起き上がれるようになりました」


「一ヶ月後には、日常生活が可能になりました」


会場が、静まり返っている。全員が、真剣に聞いている。


「もちろん、完治したわけではありません」


私は、正直に説明した。


「この病気は、慢性疾患です」


「生涯、管理が必要です」


「でも、適切な治療により、普通の生活を送ることができます」


発表を終えた。会場が、しばらく静かだった。


失敗した?


そう思った瞬間。一人の老医師が立ち上がった。白髪の、威厳のある医師だ。


「素晴らしい」


その医師が、言った。


「これは、画期的な発表だ」


拍手が始まった。一人、二人、やがて会場全体が拍手に包まれた。



質疑応答の時間になった。多くの医師が、手を上げた。


「柳の樹皮の使用量は?」


「一日、乾燥した樹皮十グラムを煎じて服用します」


「免疫調整薬草の副作用は?」


「適量であれば、ほとんどありません。ただし、過量投与は避けるべきです」


一つ一つ、丁寧に答えた。医師たちは、納得した顔をしている。


中年の医師が、質問した。


「リーゼ先生、この病気の概念は、どこから学んだのですか?」


その質問に、私は少し考えた。前世の知識。それを、どう説明するか。


「様々な文献を読み、症状を分析して、理論を構築しました」


私は、慎重に答えた。


「そして、実際の症例で検証しました」


医師は、感心したように頷いた。


「十二歳で、そこまでできるとは」


別の医師が、立ち上がった。


「この治療法を、他の医師も使用できるようにしてほしい」


「もちろんです」


私は、答えた。


「そのために、詳細な治療マニュアルを作成しています」


「近日中に、公開する予定です」


大きな拍手が起こった。



発表が終わり、壇上を降りると、多くの医師が近づいてきた。


「リーゼ先生、素晴らしい発表でした」


「治療マニュアル、ぜひ読ませてください」


「私の患者にも、似た症状の人がいます」


次々と声をかけられる。名刺を渡される。質問を受ける。全てに、丁寧に対応した。


ヴィルヘルム先生が、近づいてきた。


「リーゼ、見事だった」


先生が、微笑んだ。


「お前の発表は、医学会の中でも最高レベルだった」


「ありがとうございます」


私は、深く頭を下げた。


アンネリーゼも、祝福してくれた。


「リーゼ先生、おめでとうございます」


「これで、あなたの名前は王国中に知られるでしょう」


会場を出ると、エリーゼとルーカス先輩が待っていた。


「リーゼ!」


エリーゼが、抱きついてきた。


「すごかったわ!」


「私、聴衆席で聞いてた」


「完璧だったわ」


「お前、やったな」


ルーカス先輩が、私の頭を撫でた。


「王立医学会を、完全に掌握した」



その夜、研究室で一人考えた。王立医学会での発表。それは、大成功だった。


多くの医師が、私の研究を認めてくれた。治療法を、共有することができた。これで、同じ病で苦しむ患者を、他の医師も救える。


それが、何よりも嬉しい。


窓を開けると、夜風が入ってくる。星が、美しく輝いている。


「お父様、お母様、マルタさん」


星に向かって、小さく呟いた。


「医学会での発表、成功しました」


「多くの医師が、認めてくれました」


「これからも、もっと研究を続けます」


「もっと多くの人を、救います」


星が、優しく瞬いている。まるで、祝福してくれているかのように。


机の上には、明日の予定表があった。授業、実習、研究。そして、ソフィアの経過観察。全てが、大切な仕事だ。一つ一つ、丁寧にこなしていく。それが、医師の責任だ。


「おやすみなさい」


小さく呟いて、研究室を後にした。


廊下を歩きながら、考えた。医学会での発表。それは、一つの節目だ。でも、ゴールではない。これは、始まりに過ぎない。


もっと多くの研究をする。もっと多くの論文を書く。そして、医学の発展に貢献する。それが、私の使命だ。


部屋に戻り、ベッドに入る。今日は、よく眠れそうだ。


成功の達成感がある。でも、同時に新たな責任も感じる。多くの医師が、私の研究を待っている。多くの患者が、私の治療を待っている。


その全てに、応えていく。


少女医師の挑戦は、続いていく。


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