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転生したら十歳の幼女医師でした~前世の医学知識で異世界医療を改革します~  作者: NN
転生したら十歳の幼女医師でした~前世の医学知識で異世界医療を改革します~

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第45話 重要な来客~新たなる大舞台への招待~

実技試験から三日が過ぎた。私の名前は医学院を超えて広まっていた。


「十二歳で実技試験満点だって!」「史上最年少の記録らしいよ」「天才少女医師って呼ばれてるんだって」


噂は王都中に広がった。医学院だけでなく、貴族たちの間でも話題になっているらしい。廊下を歩くと知らない学生たちまで挨拶してくる。少し居心地が悪いが、悪い気はしない——これが有名になるということなのだろう。



ある朝、ヴィルヘルム院長代理が私を呼んだ。


「リーゼ先生、少しお時間よろしいですか?」


「はい」


院長室へ向かった。扉をノックして中に入ると、今日は少し様子が違った。


広い部屋、大きな机、本棚には無数の医学書。そしてヴィルヘルム先生の隣に、見知らぬ人物が立っていた。六十代くらいの男性で、白髪、立派な髭、威厳のある佇まい。高級な服装から、貴族、いや、それ以上の地位がありそうだ。


「うわぁ……すごく偉そうな人……」


と私は少し緊張した。


「リーゼ先生、紹介します」


とヴィルヘルムが言った。


「こちらは、エルンスト・フォン・ヴァルデック侯爵。王立医学院の理事長です」


私は驚いて立ち止まった。理事長、医学院のトップ!


「り、理事長……!?」


「初めまして、リーゼ・フォン・ハイムダル殿」


とエルンスト侯爵が優しく微笑んだ。


「噂はかねがね聞いております。素晴らしい才能をお持ちだと」


「は、はい……ありがとうございます」


慌てて深く頭を下げた。緊張で心臓がバクバクしている。


「どうぞ、座ってください」


侯爵が椅子を勧めてくれた。私は恐る恐る座る。



「リーゼ先生、実技試験の結果、本当に素晴らしかったですね」


と侯爵が穏やかに言った。


「満点。それも全ての項目で完璧な評価。史上最年少の記録です」


「ありがとうございます。でもまだまだ学ぶことがたくさんあります」


謙遜する私に、侯爵は満足そうに頷いた。


「その謙虚さが、また素晴らしい」


そして表情を改めた。


「実は、あなたにお願いがあります」


「お、お願い……ですか?」


理事長から私に? 一体何だろう……。


「王宮で、医療のデモンストレーションをしていただきたいのです」


侯爵が真剣な顔で言った。


「お、王宮……!?」


思わず声を上げてしまった。王宮って、あの王宮!?


「はい。来週、王宮で医学会が開催されます」


と侯爵が丁寧に説明してくれた。王国中の優秀な医師たちが集まり、最新の医療技術を発表する場だという。


「そこで、あなたの縫合技術を披露していただきたいのです」


私は頭が真っ白になった。王宮で、医学会で、デモンストレーション!


「で、でも……私はまだ十二歳で……」


「だからこそです」


と侯爵は力強く断言した。


「十二歳でこれほどの技術を持っている。それを王国の医師たちに見せることで、若い世代への励みになります」


ヴィルヘルムも熱心に頷いた。


「リーゼ先生、これは本当に大きなチャンスです。あなたの実力を王国中に知ってもらえます」


私は少し考えた。王宮、医学会。想像もしなかった大きな舞台だ。すごく緊張する。でもこれはチャンスでもある——自分の技術を披露でき、多くの医師たちから学べる。そして医療の発展に貢献できるかもしれない!


「分かりました」


と決心した。


「謹んで、お受けいたします!」


「素晴らしい!」


と侯爵は嬉しそうに微笑んだ。


「では、準備を始めましょう」



その日から私は準備に追われた。デモンストレーションの内容を考える。何を見せるべきか、どのように説明するか。


エドムント先生がアドバイスをくれた。


「リーゼ、基本を大切にしなさい」


と先生は真剣な顔で言った。


「奇をてらう必要はない。あなたの完璧な基本技術を、そのまま見せればいい」


「はい!」


「そして一つ一つの動作を丁寧に説明すること」


と先生は続けた。なぜその角度で針を刺すのか、なぜその張力で糸を引くのか。理由を明確に説明すれば、見ている人は必ず理解できる。


「分かりました」


一生懸命ノートに書き込んだ。


フリーデリケ先生も優しく助言をくれた。


「リーゼちゃん、緊張したら深呼吸よ」


と先生は母のように微笑んだ。


「王宮には偉い人たちがたくさんいるけど、彼らもみんな人間。あなたの技術を純粋に見たいだけよ」


「はい。ありがとうございます」


エリーゼとルーカス先輩も心強い言葉をかけてくれた。


「リーゼちゃん、あなたなら絶対に大丈夫!」


とエリーゼが力いっぱい応援してくれた。私たちは見てきた、あなたの完璧な技術を!


「ああ。自信を持て」


とルーカスも真剣に頷いた。


「お前の実力は、間違いなく本物だ」


「ありがとうございます……!」


感謝で胸がいっぱいになった。こんな仲間がいると本当に心強い。



準備の合間に、エーリヒお兄様が訪ねてきた。


「リーゼ! 聞いたぞ!」


と兄は目を輝かせて言った。


「王宮で発表するんだって? すげーじゃないか!」


「はい……でも緊張します」


「何を言ってるんだ」


とエーリヒは私の肩をポンと叩いた。妹が王宮で医療技術を披露するなんて、誇らしいに決まってるだろう、と嬉しそうに言う。


「父上も母上も、きっとすっごく喜ぶぞ」


「お兄様……」


「頑張れよ、リーゼ」


とエーリヒは真剣な顔で言った。


「お前なら絶対にできる。俺も騎士団で頑張ってるからさ。お互い、頑張ろうな」


「はい!」


勇気が湧いてきた。家族が応援してくれている。仲間が支えてくれている。きっと大丈夫だ。



医学会の前日。


私は部屋で最終確認をしていた。デモンストレーションの手順、説明する内容、予想される質問とその答え。全てをノートに書き出す。


窓を開けると夜風が頬を撫でていく。星が美しく輝いている。


「明日、本当に大丈夫かな……」


と小さく呟いた。


不安がある。王宮、偉い人たち、優秀な医師たち。その前で発表する。やっぱり緊張する。でもこれは千載一遇のチャンスだ——自分の技術を磨くチャンス、多くの医師から学ぶチャンス、医療の発展に貢献するチャンス。


「頑張ろう」


星に向かって小さく呟いた。


「お父様、お母様、マルタさん。見守っていてください。私、明日王宮で発表します。精一杯頑張ります」


星が優しく瞬いている。まるで「大丈夫」と言ってくれているかのように。


ベッドに入り、目を閉じる。明日は人生で一番大きな一日になるかもしれない。でも怖くはない——準備はできている。後はやるだけだ。


「おやすみなさい」


小さく呟いて、眠りについた。


でもなかなか眠れなかった。興奮と緊張で頭が冴えている。明日のことを何度もシミュレーションする。デモンストレーションの手順、説明する内容——全てを頭の中で繰り返す。やがて浅い眠りが訪れた。でも体はちゃんと休まった。



翌朝、いつもより早く目が覚めた。


今日がその日だ。王宮での医学会、私のデモンストレーション。


身支度を整えて鏡を見る。医学院の正装。白いブラウス、紺色のスカート。髪を丁寧に結ぶ。緊張で手が少し震えている。深呼吸——落ち着け。大丈夫、準備はできている。


部屋を出ると、ヴィルヘルム先生が待っていた。


「リーゼ先生、準備はいかがですか?」


「はい……準備万端です」


「では、参りましょう」


私たちは王宮へ向かった。馬車に乗って王都の街を抜け、そして王宮の門をくぐった。壮大な建物。白い石造り、天に届きそうな高い塔、息を呑むほど美しい庭園——全てが圧倒的だった。


「すごい……これが王宮……」


馬車が止まった。私は降りた。深呼吸。今日が始まる。


人生最大の挑戦の日。でも恐れはない。私には知識がある、経験がある。そして支えてくれる人たちがいる。きっとやっていける。


「行きましょう、リーゼ先生」


とヴィルヘルムが優しく声をかけた。


「はい!」


私は王宮の中へ足を踏み入れた。新しい挑戦が始まる。


少女医師の最大の舞台。その幕が今まさに上がろうとしていた。

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