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転生したら十歳の幼女医師でした~前世の医学知識で異世界医療を改革します~  作者: NN
転生したら十歳の幼女医師でした~前世の医学知識で異世界医療を改革します~

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第41話 王都探索

待ちに待った休日の朝。いつもより早く目が覚めた私は、窓辺に駆け寄る。


夏の爽やかな空気が頬を撫でていく——抜けるような青空に綿雲がゆっくりと流れ、絶好の散策日和だった。


今日はエーリヒと一緒に王都を探索する日。胸の奥で期待が弾む。久しぶりに兄と二人きりで過ごせる貴重な時間だ。


身支度を整え、足取りも軽やかに部屋を出た。



医学院の重厚な正門で、エーリヒが待っていた。


いつもの騎士団制服ではなく、シンプルながら品のある普段着に身を包んでいる。厳格な訓練の疲れも見せず、むしろ穏やかな表情を浮かべていた。


「おはよう、リーゼ」


「おはようございます、お兄様」


嬉しさが自然と表情に現れる。最近は医学院の勉強に没頭していて、家族との時間がいかに貴重かを実感していた。


「準備はいいか?」


「はい!」


「それじゃあ出発だ。王都の真の姿を見せてやろう」


エーリヒが歩き始める。私も足並みを揃えた。新しい発見への期待で、心が躍っていた。



最初の目的地は中央広場だった。


医学院から続く石畳の道を二十分ほど歩くと、次第に賑やかな喧騒が聞こえてくる。威勢の良い売り子の声、値段交渉する客の声、荷車の軋む音——活気に満ちた音の渦だった。


「新鮮な野菜だよ!朝採れたばかり!」


「焼きたてのパン、まだ温かいよ!」


「魚、魚!今朝港から直送だ!」


広場に足を踏み入れた瞬間——圧倒的な光景が目に飛び込んできた。


色とりどりの露店が所狭しと並び、野菜、果物、魚、肉、パン、チーズ、異国の香辛料——ありとあらゆる商品が山積みされている。各店から立ち上る湯気、焼き立てパンの香ばしい匂い、新鮮な魚の潮の香り。


「すごい……」


思わず息を呑む。故郷の小さな市とは規模も活気も桁違いだった。


「王都の市場は王国全土から商品が集結するんだ」


エーリヒが誇らしげに説明する。


「北部の山間地帯からは上質な毛皮と木材、温暖な南部からは甘い果物と貴重な香辛料、肥沃な東部平野からは良質な穀物、西部沿岸からは新鮮な魚介類——王国の豊かさが全てここに凝縮されている」


「まるで王国全体の縮図みたいですね」


一つ一つの露店を興味深く見て回る。野菜売り場では——艶やかなキャベツ、鮮やかなオレンジ色の人参、真珠のような玉ねぎ、土の香りを残すジャガイモ。見慣れた野菜でも、これほど多様な品種があるとは知らなかった。


「お嬢ちゃん、この人参どうだい?甘くて美味しいよ」


露店の主人が人懐っこい笑顔で声をかけてくる。日焼けした顔に刻まれた深い皺は、長年の農作業の証だろう。大きな手で人参を一本取り上げる。


「本当に甘いんですか?」


「ああ、今朝採れたばかりだからな。ほら、この葉の青さを見てくれ」


確かに葉は生命力に溢れ、人参自体もずっしりとした重量感がある。良質な野菜の証拠だ。


「お兄様、購入してもよろしいですか?」


「もちろんだ」


エーリヒが代金を支払ってくれる。人参を受け取ると、土の香りと共に自然の恵みを感じた。


「ありがとうございます」


「また来てくれよ!いつでも新鮮な野菜を用意して待ってるからな」


主人の満面の笑顔に、王都の人々の温かさを感じる。



さらに歩を進めると、薬草の露店が目に留まった。私の瞳が輝く。


「お兄様、あそこ!」


「薬草か。リーゼが興味を示すと思ったよ」


露店には見事に整理された薬草が陳列されている——天日干しされた葉、細かく砕かれた根、美しく粉末化されたもの、琥珀色のオイルに漬け込まれたもの。それぞれに小さな札が付けられ、効能が丁寧に記されている。


「いらっしゃいませ」


露店の女性が温和な笑顔で迎えてくれた。四十代くらいで、薬草師特有の落ち着いた雰囲気を醸し出している。知識と経験に裏打ちされた自信が感じられる。


「これらは全て薬草でしょうか?」


「ええ。王都近郊で慎重に採取したものから、遥か遠方の山間部から取り寄せた希少種まで取り揃えております」


女性が誇らしげに説明する。


「何かお探しのものがございましたら、遠慮なくお申し付けください」


露店全体を見渡す。セージ、タイム、カモミール、ラベンダー——マルタの薬草園で見慣れたものから、これまで見たことのない珍しい薬草まで豊富に揃っている。


「こちらは何という薬草でしょうか?」


黄色い小さな花の乾燥したものを指差す。


「ああ、それはアルニカですね」


女性が親切に解説してくれる。


「打撲や捻挫に卓越した効果を発揮します。炎症を抑制し、痛みを和らげる作用があります。専ら外用薬として使用いたします」


「アルニカ……」


前世で知っていた薬草だった。ホメオパシー医学でよく用いられ、優れた抗炎症作用を持つ。この世界でも同様の用途で使われているのは興味深い。


「他にも珍しいものがございますよ」


女性が次々と別の薬草を紹介してくれる。


「こちらはヴァレリアン。不眠症に絶大な効果があります。こちらはエキナセア。免疫力向上に優れています。そしてこちらはセントジョーンズワート。憂鬱な気分を改善し、心を明るくします」


全て前世で熟知していた薬草だった。しかしこの世界で実物を目にするのは初めて。理論的知識と現実が結びつく瞬間に、胸が高鳴る。


「素晴らしいです……これほど多種多様な薬草が一箇所に」


感動が声に現れる。


「あら、薬草にお詳しいのですね?」


「はい。医学院で薬理学を専攻しております」


「まあ!医学院の学生さんでいらっしゃいますの?」


女性は驚きの表情を浮かべる。


「こんなにお若いのに……将来有望ですわね」


「まだまだ学ぶべきことが山ほどあります」


「それでしたら、こちらをどうぞ」


女性が小さな麻袋を差し出してくれる。


「カレンデュラの乾燥花です。皮膚の炎症に卓効があります。勉強のお役に立てていただければ」


「申し訳ございません、そのような貴重なものを……」


「いえいえ、未来の医師へのささやかな応援です」


女性の優しい微笑みに胸が熱くなる。


「ありがとうございます!」


深く頭を下げる。王都の人々の温かい心遣いが身に染みる。



市場を後にして、次に向かったのは商店街だった。


整備された石畳の道の両側に、専門店が軒を連ねている——パン屋からは小麦の芳ばしい香り、肉屋からは焼肉の食欲をそそる匂い、魚屋には氷で冷やされた新鮮な魚介類、衣料品店には色鮮やかな布地、靴屋には上質な革製品、鍛冶屋からは金属を打つリズミカルな音。


それぞれの店が独自の技術と誇りを持って営業している。


「あ、あそこ」


エーリヒが一軒の店を指差す。


「本屋だ。リーゼなら絶対に興味を示すと思った」


本屋——私の目が輝く。知識の宝庫への扉だ。


「見学させていただけますか?」


「時間はたっぷりある。ゆっくり見て回ろう」


店内に足を踏み入れた瞬間——羊皮紙と革装丁の独特な香りに包まれる。


壁という壁を覆い尽くす本棚、天井近くまで積み上げられた無数の書籍——古い羊皮紙に書かれた手写本、豪華な革装丁を施された学術書、巻物状の古文書。まさに知識の海だった。


「圧巻ですね……」


医学院の図書室も充実していたが、ここはまた違った魅力がある。より多様で、より専門的な書籍が揃っている。


本棚に近づいて背表紙を確認する。『王国建国史』『騎士道精神論』『料理技法大全』『薬草栽培指南』『天体観測論』——あらゆる学問分野の書籍が整然と分類されている。


「何かお探しでしょうか?」


店主らしき老人が穏やかに声をかけてくる。長年の読書で培われた知的な雰囲気を漂わせている。


「医学関係の書籍はございますか?」


「もちろんです。専門書棚はこちらです」


老人が奥の一角へ案内してくれる。そこには医学書がぎっしりと並んでいる——『解剖学概論』『病理学入門』『外科手術技法』『薬理学大全』『内科診断学』。どれも学術的価値の高そうなタイトルばかりだ。


『外科手術技法』を手に取る。ページをめくると、精密な解剖図、詳細な手術手順、重要な注意事項——全てが学問的厳密さと実践的有用性を兼ね備えて記述されている。


「こちらを購入したいのですが」


エーリヒに相談する。


「構わないが、かなり高価だぞ」


店主が価格を告げる。確かに高額だ。しかしこの知識の価値を考えれば妥当だろう。


「お父様からいただいたお金で購入いたします」


決意を固める。


エーリヒが苦笑いを浮かべる。


「リーゼは本当に勉強熱心だな。休日でも学問のことばかり考えている」


「でも、これは楽しいんです」


率直に答える。


「新しい知識を獲得することが、何より嬉しいんです」


「それがお前の情熱というわけか」


エーリヒが私の頭を優しく撫でる。


「なら、購入しよう」



本屋を出てさらに街を歩く。


通りには実に多様な人々が行き交っている——絹の衣装に身を包んだ上級貴族、商談に忙しい富裕商人、熟練の技を持つ職人たち、素朴な農民たち。それぞれが自分なりの人生を歩んでいる。


王都の社会の多層性を肌で感じる。


ある建物が目に留まる。純白の石造建築で、正面には蛇と杖を組み合わせた医療のシンボルが威厳を持って刻まれている。


「薬屋でしょうか?」


「ああ。王都で最も規模の大きな薬屋だ」


エーリヒが説明する。


「王宮御用達でもあり、最高品質の薬草と調合技術で知られている」


「見学をお願いできますでしょうか?」


「もちろん。中を見てみよう」


薬屋の内部は想像を超える規模だった。


広々とした店内、壁面を覆い尽くす無数の引き出し、一つ一つに美しい文字で薬草名が記されている。まさに薬草の図書館と呼ぶにふさわしい。


カウンターでは薬剤師らしき男性が深い集中力で作業している——五十代くらいで、清潔な白衣を身にまとい、真剣な表情で薬草を調合している。長年の経験に裏打ちされた職人の気概を感じる。


「いらっしゃいませ」


助手の若い女性が丁寧に声をかけてくる。


「見学をお願いできますでしょうか?」


「もちろんです。どうぞごゆっくりご覧ください」


店内を興味深く見て回る。引き出しの一つ一つが探求心をくすぐる。セージ、タイム、カモミール——馴染みのある薬草でも、ここのものは量も品質も格段に優れている。全てが厳格な品質管理の下で選別された最高級品だ。


「失礼ですが……」


勇気を出して薬剤師に話しかける。


「はい?」


作業の手を止めて振り返ってくれる。


「これらの薬草は、どちらから仕入れていらっしゃるのでしょうか?」


「多方面からです」


薬剤師が丁寧に答えてくれる。


「王都近郊で採取できるもの、各地方の信頼できる業者から取り寄せるもの、時には遠い外国から輸入するものもあります。全ては厳格な品質検査を経て、最良のもののみを選別しています」


「素晴らしい品質管理ですね」


心から感心する。これほどの徹底した管理は並大抵の努力では実現できない。


「医学院の学生さんでしょうか?」


「はい」


「でしたら、調剤室もご覧になりませんか?」


薬剤師が奥の扉を指差す。


「未来の医師に、我々薬剤師の仕事を理解していただきたいのです」


調剤室に案内されると、さらに専門的な世界が広がっていた。


広い作業室に最新の器具が整然と配置されている——各種サイズの乳鉢と乳棒、精密な蒸留器、正確な計量を可能にする天秤、温度調整可能な加熱器具。全てが医療専用に特化した道具だ。


「ここで患者様お一人お一人の症状に合わせた特別な薬を調合いたします」


薬剤師が職業的誇りを込めて説明する。


「煎じ薬、軟膏、チンキ剤、散剤——形態は様々ですが、全ては患者様の早期回復を願ってのことです」


その言葉に深く頷く。医師と薬剤師——立場や手法は異なるが、患者を救いたいという根本的な使命は共通している。



薬屋を出ると、ちょうど昼食時になっていた。


「腹が減ったな。どこか食堂に入ろう」


エーリヒが提案する。


近くの食堂を見つけて入る。「旅人の憩い」という親しみやすい看板が掲げられている。


店内は多様な客層で賑わっていた——商談中の商人、旅の疲れを癒す旅人、地元の住民——身分や職業を問わず、皆が和気あいあいと食事を楽しんでいる。


「いらっしゃいませ!」


店主が元気よく迎えてくれる。中年の男性で、人当たりの良さそうな笑顔だ。


「お二人様ですね?あちらの窓際のお席はいかがでしょうか」


案内された席に着く。窓の外には王都の美しい街並みが一望できる——整備された道路、特色ある建物群、行き交う人々。活気に満ちた都市の光景だ。


「本日のおすすめは、ローストチキンと根菜のシチューでございます」


「それをお願いします」


エーリヒが注文する。


「お二人様分ですね。少々お待ちください」


待ち時間を利用して、兄妹の会話を楽しむ。


「お兄様、騎士団での日々はいかがですか?」


「厳しいが、それ以上に充実している」


エーリヒが満足そうに答える。


「訓練は確かに過酷だが、仲間たちは皆素晴らしい人間ばかりだ。実力主義の環境だから、努力が正当に評価される。やりがいを強く感じている」


「素晴らしいですね」


「リーゼも医学院で順調に成長しているようだな」


「はい。毎日が新しい発見の連続です」


この一週間の出来事を詳しく話す——薬理学の複雑な授業内容、皮膚病の診断に成功した喜び、同級生たちとの有意義な交流。全てが医師としての成長に繋がっている。


「友人もできたんだな」


「はい。ルーカス先輩、エリーゼ、フリードリヒ……皆さん本当に良い方たちです」


「信頼できる仲間がいると、困難も乗り越えやすいだろう」


「おっしゃる通りです」


その時、食欲をそそる香りと共に料理が運ばれてきた。


こんがりと焼き上げられたローストチキン、湯気を立てる色とりどりの根菜シチュー——見た目からして美味しそうだ。


「いただきます」


一口味わう。期待を上回る美味しさだった——チキンは外側がパリッと香ばしく、内部は驚くほどジューシー。シチューは野菜本来の甘みが見事に凝縮されている。


「絶品ですね」


「ああ。この店は王都でも評判なんだ。騎士団の仲間も推薦していた」


美味しい食事を味わいながら、王都での新生活について語り合う——エーリヒが体験した騎士団での厳格な訓練、私が学んでいる医学院での高度な授業、それぞれの新環境での発見と成長。全てが新鮮で刺激的だった。



食事を終えて、最後の目的地である王宮に向かった。


遠くからでも圧倒的な存在感を放つ建造物——純白の石材で築かれた威厳ある宮殿、天に向かって優雅に伸びる数本の塔、丹精込めて手入れされた美しい庭園。


「圧巻です……」


思わず立ち止まって見上げる。これほど壮大で美しい建築物は人生で初めて目にする。


「王宮は一般市民も庭園までは見学可能なんだ」


エーリヒが説明する。


「宮殿内部は関係者限定だが、庭園だけでも十分に見応えがある」


「ぜひ拝見させていただきたいです」


正門に向かう。門前には威厳に満ちた衛兵が立哨している——完璧に磨き上げられた鎧、長大な槍。王国の威厳と力を象徴する存在だ。


「見学でいらっしゃいますか?」


衛兵が礼儀正しく尋ねる。


「はい」


「どうぞお入りください。庭園をお楽しみください」


衛兵が重厚な門扉を開いてくれる。


庭園に一歩足を踏み入れた瞬間——息を呑むような美しさに圧倒された。


広大無辺な敷地、絨毯のように完璧に整備された芝生、幾何学的に配置された色彩豊かな花壇。中央では壮麗な噴水が水を高々と噴き上げ、陽光を浴びて虹色に輝いている。


「美しい……まるで夢のようです」


ため息が自然と漏れる。これは庭園というより芸術作品だ。


「王宮庭園は王国最高の庭師たちが総力を挙げて維持管理している」


エーリヒが誇らしげに語る。


「四季を通じて異なる花々が順次開花するよう計算されている。今はちょうど夏の花が最も美しい季節だ」


確かに夏の花々が見事に咲き競っている——色とりどりのバラが香りを放ち、鮮やかなラベンダーが風に揺れ、白いユリが清楚な美を誇っている。


噴水の周囲に設置された大理石のベンチに腰を下ろす。静寂に包まれた贅沢な空間——噴水の水音だけが心地よく響き、時の流れがゆっくりと感じられる。


「リーゼ」


エーリヒが真剣な表情で切り出す。


「王都に来て、本当に良かったと思うか?正直な気持ちを聞かせてくれ」


「はい」


迷うことなく即答する。


「心から良かったと思います。ここでは知識を吸収する機会が無限にあります。素晴らしい友人たちにも恵まれました。そして何より、お兄様がこんなに近くにいてくださる安心感があります」


「そうか」


エーリヒが安堵の表情を浮かべる。


「実は俺も同じ気持ちだ。王都に来て大正解だったと確信している。騎士として大きく成長できているし、リーゼも医師として着実に進歩している。お互い、これからも精進しよう」


「はい。お兄様」


庭園で穏やかな時間を過ごす。平和で貴重なひととき——兄妹の絆を再確認する大切な時間。こうした心の支えがあるからこそ、日々の厳しい努力を続けられるのだろう。



夕方、医学院に戻った。


心も体も充実感に満たされた一日だった——活気に満ちた市場、知識の宝庫である本屋、専門性の高い薬屋、威厳ある王宮庭園。全てが新しい発見と学びの機会となった。


部屋に戻り、購入した『外科手術技法』を開く。


ページをめくると精密な解剖図が目に飛び込んでくる——これは間違いなく貴重な学習資料だ。今夜から集中して勉強しよう。


窓を開けると、夕暮れの空が美しく広がっていた。オレンジ色に染まった雲、その間から顔を覗かせ始める一番星——一日の終わりを告げる静謐な光景だ。


「今日も、素晴らしい一日でした」


小さく呟く。


王都での生活は想像以上に充実している。学ぶべきことは山のようにあり、出会う人々は皆温かく親切だ。そして何より、エーリヒという心強い支えがすぐ近くにいる。寂しさを感じる間もなく、毎日が発見と成長の連続だ。


「お父様、お母様、マルタさん」


夜空に輝き始めた星々に向かって心の中で語りかける。


「私、精一杯頑張っています。王都で多くのことを学び、多くの経験を積んでいます。いつか故郷にお帰りする時、必ずもっと立派な医師になってお帰りします。どうか見守っていてください」


星々が優しく瞬いている——まるで遠く離れた家族からの愛情と応援を伝えてくれているかのように。


ベッドに入り、今日の出来事を心の中で反芻する。


明日からまた新しい授業が始まる——未知の知識を吸収し、実際に患者を診察する機会もある。全てが楽しみで、期待で胸が躍る。


「おやすみなさい」


小さく呟いて、深い満足感に包まれながら眠りについた。


王都での休日——充実と幸福に満ちた一日。こうした日々が私の心を支え、明日への活力となっている。エーリヒという頼れる兄の存在、温かい人々との出会い、豊かな学習環境——全てが私を成長させてくれる。


少女医師リーゼの王都生活は、順風満帆に進んでいる——

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